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走れる「ブルガリ ホテル 東京」

 「ブルガリ ホテル 東京」が東京ミッドタウン八重洲内にいよいよ開業です。今では当たり前になったラグジュアリーブランドのホテル事業参入ですが、「ブルガリ」は早くから手掛けていた先駆者的存在。そんなパイオニアが構想に8年をかけたのですから、やはり何から何まですごい。中でも特に驚いたのは、都内最大級の416平方メートルというブルガリ スイートでした。写真を見ると、もはや走れます。ジム付きなので、筋トレもできます。リアルな体験を求めている次世代富裕層には、ほぼ間違いなく響きそうです。

大塚 千践
NEWS 01

「ブルガリ ホテル 東京」が八重洲にオープン 都内最大416平方メートルのスイートにはジムも

 ブルガリ ホテルズ&リゾーツは4月4日、「ブルガリ ホテル 東京(BVLGARI HOTEL TOKYO以下、ブルガリ ホテル)」を東京ミッドタウン八重洲内40~45階にオープンした。同ホテルは、グループで8つ目のホテルで構想に8年を掛けた。インテリアデザインは、今まで同様、イタリアの建築事務所である「ACPV アーキテクツ アントニオ・チッテリオ・パトリシア・ヴィール」が担当。イタリアと日本のクラフツマンシップが融合した洗練されたラグジュアリーな空間だ。

 4日に行われた記者会見で、ジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)ブルガリグループ最高経営責任者(CEO)は、「日本のお客さまを喜ばせることができれば、世界中のお客さまを喜ばせることができるはず」とコメント。オープニングのために来日したブランドアンバサダーのアン・ハサウェイ(Anne Hathaway)をはじめ、Koki、森星、山下智久ら日本のアンバサダーらと共に写真撮影に応じた。

ミシュラン3つ星レストランや都内最大スイート

 40階には、レセプションやボールルームのほか、ミシュラン3つ星を獲得したイタリアン「イル・リストランテ ニコ・ロミート」や同じく3つ星の福岡「鮨 行天」 の行天健二が監修する「SUSHI HOSEKI」、「ブルガリ イル・チョコラート」のショップがある。同フロアの一角にあるプールとスパには専用エレベーターで客室のフロアからアクセスできるなどプライベートにも配慮されたつくりになっている。45階にあるバーへも40階から専用エレベーターでアクセスが可能。地中海をイメージした広いテラスがあり、各所にレモンの木の鉢植えが置かれている。

 41〜44階の客室は全98室。うち、23室がスイートになっている。都内最大級のブルガリ スイートは416平方メートルで仕切りができるリビングルームが3つあり、キッチン、バー、ウオークインクローゼットのほか、ジムも完備している。角部屋のため、スカイツリーや天気がいい日には富士山の景観が楽しめる。

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NEWS 02

「NARS」の国内チームを率いるブランドマネージャーの原点は「常に挑戦」【私が新入社員だったころ vol.3】

 「WWDJAPAN」は4月3日号で、ファッション&ビューティ業界の新入社員や若手社員に向けて、「プロになろうーー知っておくべき業界の今」と題した特集を掲載している。それと連動し「WWDJAPAN.com」では、業界で活躍するアラフォー世代以下のリーダーたちに、自身が若かったころに心掛けていたことや、それが今にどうつながっているかを取材。連載形式でお届けする。今回は資生堂ジャパンで「ナーズ(NARS)」のブランドマネージャーとして働く山中美樹さんに話を聞いた。

WWD:化粧品業界に入ったいきさつは?

山中美樹ナーズ ジャパン ブランドマネージャー(以下、山中):実は化粧品会社は資生堂1社しか受けていません。学生時代にNPOを通じて発展途上国でフィールドワークをしていたので、就職先も途上国の女性の経済自立に貢献できる仕事に就きたいと考え、政府機関やNGOなどで考えていました。そのほかも菓子メーカーなど、女性の教育機会や経済自立に市場を見出して活動している企業という視点で探していました。

WWD:フィールドワークなどの活動のきっかけとなった出来事は?

山中:子どもの頃に親戚がメキシコに住んでいて、小学生高学年の時にその親戚を訪ねて行ったんですが、初めてストリートチルドレンを目にして以来、ずっと関心がありました。それでジャイカ(国際協力機構)が主催するイベントに幼い頃から参加するなどしていました。

WWD:最終的に資生堂に入社したのは就職活動を通して変化があったから?

山中:当初は直接的に女性たちを支援するのが正しいと思っていたんですが、支援が継続しないと発展につながらないと感じるようになりました。こちらが支援的な立場になるのではなく、彼女たちに経済の仕組みの中に入ってもらえるようにしなくてはならないと思ったんですよ。経済を回している企業がそこに価値を見出して事業にしなければ、自立や発展にはつながらないと考え企業に入った方がいいのではないかと。資生堂は、BOP(Base of the economic Pyramid=世界の人口の過半数を占める低所得消費者)プロジェクトやSLQ(資生堂ライフクオリティーメーキャップ)※事業、資生堂子ども財団などの活動に形だけでなく取り組んでいるところが決め手でした。

※ソーシャルビジネスの位置付けで超高齢化社会の課題解決を目指す事業。2013年から「資生堂ライフクオリティービューティーセミナー」を展開

WWD:やりたいことについては、入社してから上司に話していた?

山中:20代のうちに国際部に行きたいという目標を立てて、機会があれば現地で働くことも含めて常々上司に希望を伝えていました。そのためにマーケティングの知識を身につける必要を感じていましたし、経験を積みたいという話もしていました。私が入社した当時は、総合職は全員営業に配属が決まっていました。営業として仕事をスタートし、転勤も含めて3年ごとに3カ所をジョブローテーションのような形で回ります。その中で“資生堂人”として価値を生むために学べることはたくさんありますし、そこで成果を上げなければ違う部署には行けないということも分かっていたので、全力で取り組みました。運よく、最初からグローバルな商品に携われるデパート営業本部に配属されて、その後国際部に行く先輩も結構いたので、いろいろと話を聞くこともできました。最近はジョブ型雇用になってきているので、専門的なキャリアステップを踏む人も増えてきています。社内公募制度を使って自分がやりたいことをジョブエントリーできたり、チャレンジできたりする風土はあります。

WWD:デパート営業本部の営業時代に力を入れていたことは?

山中:1年目で千葉エリアを担当して、2年目には(2年目が抜擢されるのは)かなり異例ではあったんですが、銀座や日本橋エリアを担当していました。その時ちょうど三越銀座店で新館が改装オープンするタイミングで、そのプロジェクトの営業担当のとしてリーダーを任されました。当時は、社名を冠したブランド「シセイドウ(SHISEIDO)」が本格的に立ち上がり、「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」と切り離して販売促進していこうとしていた初期。営業活動も従来とは違うアプローチが必要でした。店舗のミッションをクリアしつつ、自分のチームの50人ほどの美容部員とブランドホルダーの間に立ってブランドの価値をお客さまに伝えるためにイベントを企画したりセミナーを開催したり。小さなマーケッターとして、店舗の課題を分析してどう売り上げを作っていくかを考えていました。

WWD:新入社員時代にこれをやっておけば良かっということは?

山中:営業時代に意識していたのは、先輩たちがやってきたことをそのままやるのではなく、新しいことの提案。そうしたチャレンジ精神が今に生きていると思います。その後マーケティングに異動になりましたが、当時配属されたデパート部には20代はほぼいませんでした。営業などで約10年経験を積んだ社員が異動することが多く、自分は周りより若かったですが、多分会社がチャンスをくれたんだと思います。

WWD:現在は資生堂ジャパンの戦略ブランド部で「ナーズ」の国内市場を管轄するブランドマネージャーの立場だが、期待されているミッションは何だと思うか?

山中:「ナーズ」は日本ではニッチなブランドでしたが、今はある程度育ってきました。私のミッションはあと3年で、もう一段階上のメジャーブランドに持っていくことだと思っています。マス化するのでではなくメジャーなブランドです。つまり、格好良さや先進的なイメージ、ブランドの価値を保ちながらメジャーにするということです。「ナーズ」はここ数年、大きく成長できました。それはベースメーキャップを核に人気アイテムを育てることができた結果なのですが、ベースメーキャップは購入に際しエモーショナルな側面よりも機能的な価値が受けられてきたと言えると思います。「ナーズ」にしかない(エモーショナルな)価値を磨いて市場に伝えていくこと、ファンを増やすことが必要だと思っています。

WWD:今後の目標は?

山中:化粧品は顔を綺麗にするだけではなく、気持ちを動かすことができる商品。社会の価値観を変える提案ができたらと思います。たとえば「目が大きくて二重の人が綺麗」という価値観があったとします。それを「切れ長の目に細いアイラインを引くのがかっこいい」というような多様な考え方に価値観を変える提案をできるのがビューティの魅力。今の社会は個性や自分らしさが大事というムードがあるけど、プレッシャーを感じて悩んでいる人も結構いる気がします。お客さまや社会が抱えている不安に対してブランドを通してそうではない価値観を提供したいと思います。つまり、自己表現に対して課題となっているインサイトがあるとしたら、それを取り除けるようなメッセージを発信していきたいですね。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。