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またも「バレンシアガ」がフワッと乗り越えた

「バレンシアガ」のクチュールストアがオープンしました!が、「クチュールストア」という言葉には、違和感を覚えずにはいられません(笑)。オートクチュールは、基本一点モノ。だからストアに並ぶようなモノは、無いハズなのです。

 が、記事にもある通り「バレンシアガ」はクチュールの再始動から一貫して、この試みもまた「特に若い新世代にとって、依然として極めて閉ざされた世界であるクチュールへの入り口」と表現します。こんな風に業界の当たり前や既成概念を、哲学や想いでフワッと乗り越えられるあたりに、「バレンシアガ」の強さを感じずにはいられないのです。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

「バレンシアガ」のクチュールストアがオープン 世界でここだけの限定アイテムが並ぶ

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は51回目のオートクチュール・コレクションを発表した7月6日、クチュールストアをオープンした。場所は、ショー会場となったクチュールサロンがあるジョルジュ・サンク通り10番地の建物の1階部分。 2階のサロンとつながった店舗はメンズとウィメンズそれぞれのスペースからなり、世界で同店限定のウエアやアクセサリー、オブジェを取り扱う。

 販売するウエアはすべて、クチュールと同じアプローチに基づき、パリのアトリエで仕上げられたもの。中には、デムナ(Demna)=アーティスティック・ディレクターにとって2回目となる今回のショーで披露されたばかりのデザインもある。そのほか、スパンコールやビーズ装飾たっぷりのバッグ“アワーグラス”や、クリスタルが敷き詰められたハート型クラッチバッグ、サングラス、ラバー製の“スペース”シューズ、ランウエイでモデルが携えていた「バング&オルフセン(BANG & OLUFSEN)」とのコラボによるスピーカー内蔵バッグ、クチュールサロンの香りのキャンドルなどもラインアップ。いずれのアイテムも非常に限られた数での展開になる。また、購入客の体型や好みに合わせて、2階のサロンとアトリエでサイズ直しやパーソナライズすることも可能だ。価格帯は、アルミニウムをボンディングした形状記憶Tシャツ7500ユーロ(約103万5000円)、スピーカー内蔵バッグ8500ユーロ(約117万3000円)、バッグ1万ユーロ(約138万円)〜、サングラス3500ユーロ(約48万3000円)、キャンドル350ユーロ(約4万8300円)など。最も高価なアイテムは、10万ユーロ(約1380万円)に上るという。

 複数回のフィッティングを経て完成する「高級仕立て服」のオートクチュールは、通常、店頭で販売されることはない。この革新的な店舗について、セドリック・シャルビ(Cédric Charbit)最高経営責任者は「特に若い新世代にとって、依然として極めて閉ざされた世界であるクチュールへの入り口」と表現。「新店舗では、プロダクト、オーダーメードサービス、卓越したリテールが、『バレンシアガ』の顧客体験を刷新する。私たちにとって歴史的な場所で、素晴らしいクラフトやクリエイティビティー、フランスのサヴォアフェールを紹介できるのは、とてもエキサイティングなこと。ここは小売店ではなく、最高のサービスを受けることができ、夢を体験できる空間だ」と話す。

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NEWS 02

外商ビジネスで好調の「ラ・プレリー」 フィケ新社長が語る成長戦略

 スイス発ラグジュアリースキンケアブランド「ラ・プレリー(LA PRAIRIE)」が百貨店の富裕層向け外商ビジネスで売り上げを伸ばし好調だ。4月には国内初の旗艦店「ラ・プレリー サロン」をギンザ シックス(GINZA SIX)にオープンし、発信を強めている。1月に就任したヨアン・フィケ(Johann Fiquet)=ラ・プレリージャパン社長に今後の成長戦略について聞いた。

WWD:20年以上化粧品業界に携わる中で、「ラ・プレリー」の独自性はどこにあるか?

ヨアン・フィケ=ラ・プレリージャパン社長(以下、フィケ):完璧なものを追求する、執着心とも言えるこだわりが非常に強いブランドで、感銘を受けた。それが製品やサービス、コミュニケーションを通して最終的にお客さまのエクスペリエンスにつながっている。その価値を最大化させるのが私の使命だと考えている。

WWD:国内初となる旗艦店の狙いは?

フィケ:世界観や製品などブランドが持つ最高のものを見せるショーケースとしての場を日本市場で作ることが最大の狙いだ。日本市場は非常に特異な性質を持っている。と言うのも私は欧州やアジアの市場を長く経験してきたが、日本人は化粧品に対するこだわりが強く、ラグジュアリーなものへの購買意欲も高い。「ラ・プレリー」はそうした高い要求に応えられる自負があり、まだ成功の余地があると確信している。ブランドとしては、日本市場に旗艦店がないことを注視していた。

WWD:2月には44年ぶりにブランドロゴを刷新、それに続くNFTアートの発表など新しい動きが活発だ。

フィケ:新しいロゴは創業時のロゴをベースに、今までのヘルベチカ書体をミックスしている。ブランドコンセプトの一つとして「時の流れに揺るがない美しさの追求」があるが、創業時から続く精神性やヘリテージを引き継ぎつつ、新しい世界へ一歩進もうというものだ。ラグジュアリースキンケアブランドといえば「ラ・プレリー」と言われるよう、価値や存在感を示していきたい。

WWD:ブランドを成長させるにあたり課題は?

フィケ:素晴らしいブランドであることは前提としてあるが、まだまだニッチで認知度の低さが一番の課題だ。これまでは外商ビジネスを含め百貨店が主たる販路でeコマースに手を延ばしていなかった。そのことが今後大きくのしかかってくるだろう。オンライン上のコミュニケーションを改善する必要がある。「ラ・プレリー」だけでなく、ラグジュアリーブランドといわれるところは業界を問わずeコマースに対してちゅうちょがあった。リアル店舗の補足的な立ち位置としてオンラインを捉える傾向があったと言える。すでに時代が変わり、今最も注力すべき領域である。

WWD:具体的にデジタル施策はどのようなものが考えられるか?

フィケ:単純に現状はデジタルソサイエティー、デジタルワールドでの「ラ・プレリー」の情報量の少なさを改善したい。ブランドバリューに対して存在感が低いと認識している。ソーシャルメディアやウェブメディアをもっと活用し、ユーチューバーやインフルエンサーとの取り組みも考えている。

WWD:新たな成長戦略で、ターゲットは変わるか?

フィケ:現在の顧客層は50代がボリュームを占めている。これらの既存のお客さまを大事にしつつ、ターゲットを広げていく。35歳〜40代が今後の大きなポテンシャルにつながると考えている。中国市場では既に、顧客の平均年齢が35歳になっている。日本でもそうしたシフトが可能だろう。

WWD:足元の商況はどうか。

フィケ:今年に入り2桁成長と非常に順調に進んでおり、年内にコロナ以前、2019年の水準まで回復するとみている。遅くとも年明けには可能ではないか。コロナ下、販売員を増やしたり、LINE公式アカウントを立ち上げデジタルコミュニケーションを積極的に行ったりして、既存の顧客に地道にアプローチしたことが今実を結んでいる。ただし、着任してまだ間もないので、これらは始まりにすぎないことを強調したい。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。