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パンの匂いに包まれるメガネ屋さん

 見た目に驚きますね、前橋にオープンする「ジンズ パーク」。全然メガネ屋さんに見えません(笑)。実際に、中にはベーカリーが入って、パンやコーヒーを販売し、広場ではマルシェなども行われるそうです。モノを売るよりも、人々が集う居心地のいい空間作りを優先していそうで、田中仁CEOの地元への愛が感じられます。

 パンやコーヒーの匂いって、なんだか幸せな気持ちになりますよね。こういう施設は、実際に運営する人たちの腕にかかっているといっても過言ではありません。オンラインでは味わえない“つながり”が生まれる場所に育つといいなと思います。

「WWDJAPAN」副編集長
小田島 千春
NEWS 01

「ジンズ」最大施設が創業地・群馬県前橋にオープン 初のベーカリーカフェもお目見え

 眼鏡企業ジンズ(JINS)は、創業地である群⾺県前橋市に新施設「ジンズ パーク(JINS PARK)」を4⽉29 ⽇にオープンする。

 敷地面積は「ジンズ」の施設最大となる1720平方メートルで、施設名の通り、公園のように“みんなの場所”という思いを込めた。設計は、建築家の永⼭祐⼦。誰もが⾃由に使⽤できる屋外広場や、 エントランス中央の⼤階段や屋上テラスなど広々とした空間を複数設けることで地域との交流、共⽣を図る。

 さらに大きな特徴は、眼鏡ブランド「ジンズ」の販売はもちろん、飲⾷事業として新たに展開するベーカリーカフェ「エブリパン」を併設したことだ。“みんなが愛する味を、いつも出来⽴て、作り⽴てでお届けしたい”という思いをブランド名に込めた。メニューは 群⾺県産の⼩⻨や地元の新鮮な素材にこだわった総菜パンを中⼼に、定番の焼きたてパン「いつものパン」や、オーダーが⼊ってから調理を開始する「とくべつパン」など約60種類ある。価格は湯種食パン900円、パンドミ280円、かつパン960円、つなレモンサラダ630円など。なお、飲食事業の今後の展開は未定。

 田中仁ジンズCEOは2014年に個人で財団を設立し、地元の若い人材育成や老舗の白井屋旅館の再生プロジェクトに携わるなど、地域の活性化事業に積極的に取り組んでいる。「良い眼鏡とは、未来の景色を変えるものでないといけない。社内でも、社員1人1人が社会や地域のために何ができるかを考えている。今後は、サステナブルアクションを成長の力としたい」と話し、社内にサステナブル委員会を設置した。「ジンズ」の立ち上げ20周年で、故郷に錦を飾った。

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NEWS 02

資生堂が歓送迎会シーズンに“手守り習慣”訴求で医療従事者に感謝を届ける

 歓送迎会シーズンを迎え、危惧されていた新型コロナウイルスの感染拡大が現実となった。その中で資生堂は「正しい手指の消毒による感染予防」と「手洗いや消毒による手荒れを防ぐハンドケア」を実施する“手守り習慣”の大切さを伝える「資生堂 Hand in Hand Project」を4月30日まで実施中だ。3月中旬からは人気動画クリエーターのKemioを起用し、新型コロナウイルス感染経験者と医療従事者と言葉を交わすインタビュー動画「資生堂 Hand in Hand CALL」をユーチューブやテレビCMで放映し、関心を集めている。

“手守り習慣”の第2フェーズ

 「資生堂 Hand in Hand CALL」はKemioが電話インタビューで新型コロナウイルス感染経験者から感染経路や症状だけでなく、隔離期間に感じたことや不安だったことなどを聞く様子を映し出す。医療従事者にも話を聞いて、医療現場で感じていることや感染予防の大切さを伝える。Kemioを起用した理由について、「卒業・入学など人生の節目を迎える期間は外出が多くなるので、若い層に“手守り習慣”の重要性を知ってほしかった」と石川由紀子資生堂ジャパンチーフマーケティングオフィサーは語る。Kemioも「自粛生活が1年以上も続いている中で、自粛疲れもあって日々の手洗い・うがいをおこたってしまうというか、このくらいで大丈夫なんじゃないかと思ってしまっていた。“手守り習慣”というのを今一度考えて取り組んでいけば、少しずつ前の生活に戻っていくのではないか」とコメントする。
 手指の消毒は日常化しているものの、この時期を“手守り習慣”の第2フェーズととらえ、昨年末からプロジェクトを実現するためのチーム作りが始まり、1カ月弱で小売店にも協力を得た大きな取り組みを実らせた。

プロジェクトのきっかけは魚谷社長のメール

 同プロジェクトのきっかけは、魚谷雅彦資生堂社長兼最高経営責任者(CEO)のメールだった。同社は昨年6月から消毒液を生産し医療施設や特定の地域に販売していたが、12月には全国で販売できるほどの供給体制を構築。そこで魚谷社長兼CEOから「消毒液で利益を得るのではなく、社会に役立つこと、利益を医療従事者に還元できないか」と投げかけがあったという。石川チーフマーケティングオフィサーが手を挙げ1月6日にキックオフした。営業、マーケティング、PR、リスクマネージメント、ファイナンスなど各部門からメンバーが集結。「一つのプロジェクトにこれだけのメンバーが集まるのは稀なケース。短期間でパフォーマンスを発揮するには必要な人材が集まった」(石川チーフマーケティングオフィサー)。それぞれが通常の業務と並行して週2回(通常の新規プロジェクトは週1回ペース)の定例会議を実施。メンバーは各部門の要職者だったこともあり、迅速かつ完成度高く物事が進み、2月1日に「資生堂 Hand in Hand Project」にスタートし、公式サイトもオープンした。

協力の和が広がり展開店舗は600から1500店舗に拡大

 医療従事者への感謝と敬意を届ける意味も持つ「資生堂 Hand in Hand Project」の対象商品は「S 手指消毒用エタノール液(指定医薬部外品)」や「資生堂 ハンドクリーム N」など全21アイテム。これら商品の利益を医療現場に寄付するものだが、プロジェクトの認知拡大と商品を販売するには小売店の協力が欠かせなかった。「通常半年かけて商談を行うが営業担当が奮闘し2週間で600店が参画してくれた」。その後もプロジェクトに共鳴する小売店が増え、現在では1500店舗まで拡大する。「今回のプロジェクトは社内横断、容器などのサプライヤー、小売店、お客さまがハンドインハンドで協力して成立したもの。その思いを医療現場に届けたい」。また、「不透明な時代にスピード感をもって行動することが重要。自主的に部署を横断し自主的に動き完成するプロジェクトは今後増えていくだろう」と述べた。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。