ファッション

「帽子好き」をどう増やす? 「カシラ」が大阪の新旗艦店に込めた思い

「カシラ(CA4LA)」が、大阪・梅田の「ルクア イーレ」に関西の新たな旗艦店をオープンした。従来の店舗を移転・刷新し、関西初となる「カシラ アトリエ」を併設し、職人による帽子のオーダーや修理、カスタマイズにも対応する。単なる販売拠点にとどまらず、モノ作りの魅力や帽子文化を発信する場所としての役割も担う。新店舗の全貌やアトリエの取り組みを紹介するとともに、秋元信宏「カシラ」ディレクターへのインタビューから出店の狙いと今後の展望をひもとく。

関西の旗艦店として
ブランドの世界観を発信

従来のルクア店を移転・刷新した「カシラ ルクア イーレ」は、売り場を約144平方メートルに拡張。関西エリアの旗艦店として、品ぞろえ、空間、サービスを大幅に強化した。

店頭には、シーズン商品や定番アイテム、コラボレーション商品など、ブランドのフルラインアップを展開。カテゴリーやテイストを横断して商品をそろえ、多彩な帽子の魅力を一度に体感できる構成とした。内装はレンガと木製什器を基調とした温かみのある空間に仕上げた。売り場の奥には関西初となる「カシラ アトリエ」を設け、ガラス越しに職人の作業風景を見られる開放的な設計を採用。完成した帽子だけでなく、その背景にある技術や手仕事にも触れられる。

オープンに合わせて、店舗限定のリバーシブルベレーも発売。ヒョウ柄のジャカードニットと立体感のある花柄のカットジャカード生地を組み合わせたデザインで、ベージュとブラックの2色を用意する。

商品、空間、モノ作りを一体化した新店舗は、関西における「カシラ」のショーケースとして、ブランドの現在地を発信する。

職人と直接相談できる帽子作りの拠点

新店舗の大きな特徴が、関西初となる「カシラ アトリエ」の併設だ。物販スペースの奥には職人が常駐し、帽子のフルオーダーやカスタムオーダー、修理・メンテナンスなどの相談に応じる。

フルオーダーは5万5000円から。頭の形やサイズ、好みのシルエットなどを丁寧に聞き取り、パターンから製作する。素材やディテールを選んで仕上げるカスタムオーダーも用意し、初めてオーダー帽子に挑戦する顧客にも間口を広げる。特徴的なのは、相談の対象を「カシラ」の商品に限定していないこと。他ブランドの帽子についても、状態や構造に応じて修理やカスタマイズの相談を受け付ける。アトリエに立つのは、兵庫県西宮市のアトリエで帽子作りに携わってきた職人たち。これまで製作を専門としてきた職人が顧客と直接向き合い、一人一人の要望を聞きながら帽子を仕立てる。

目指すのは、敷居の高い工房ではなく、誰もが気軽に立ち寄れる「帽子の相談所」だ。帽子を購入するだけでなく、直しながら長く愛用する楽しさを伝え、帽子好きが集うコミュニティーのような場所を目指す。

「帽子を楽しむ人を増やしたい」という
関西旗艦店の狙い

秋元ディレクターは「大阪に旗艦店を構える構想は10年ほど前からあった」と語る。出店場所を慎重に探してきた中で、人やモノの流れが集まる梅田・大阪駅周辺に着目。関西初のアトリエを備えた旗艦店として、今回の出店を決めた。重視するのは、デザインだけでは伝わらない帽子の価値だ。「SNSやインフルエンサーをきっかけに商品を知る顧客が増える一方、流行だけでは継続的な関係につながらない」と考える。「素材やかぶり心地、製作の背景にある技術まで含めて、帽子の魅力を伝えていくことが重要だ」という。

「カシラ」は近年、国内生産の強化にも取り組んできた。メード・イン・ジャパン100%を目指し、インポートアイテムのバイイングを終了するとともに、国内の帽子工場への発注を増やすことで、日本の職人や産地を支える。長く愛用できる帽子作りを目指す姿勢も、こうした取り組みの背景にある。「帽子業界の課題は、ブランド同士でシェアを奪い合う以前に、『帽子の愛用者』そのものを増やす必要があることだ」と秋元ディレクターが語るように、新旗艦店を西日本の顧客が集う拠点と位置付け、大阪駅から日本の帽子作りの魅力を国内外に発信していく考えだ。

レセプションは帽子を通じた交流の場に

オープン前日には、関係者やゲストを招いたオープニングレセプションを開催した。会場にはファッションやクリエイティブに関わるゲストをはじめ、多くの来場者が集まり、新たな旗艦店の誕生を祝った。
来場者の関心を集めたのが、店内に新設した「カシラ アトリエ」だ。職人が実際に手を動かす様子を間近で見学し、普段は目にする機会の少ない帽子の製作工程や手仕事に触れた。
売り場では、帽子を試着しながらスタッフと会話を楽しむ姿や、来場者同士が交流する様子も見られた。商品やモノ作りをきっかけに自然と会話が生まれ、会場はにぎわいを見せた。
単なる新店舗のお披露目にとどまらず、帽子を介して人と人がつながる場となった今回のレセプション。「販売の場を超えた体験」を打ち出す新旗艦店の方向性を象徴するイベントとなった。

PHOTOS:YURIE FUNAI(TAKASE OFFICE)
問い合わせ先
「カシラ」プレスルーム
03-5773-3161