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チョコの祭典は学びが多い
「松屋銀座がメールマガジン会員にアンケートをしたところ、今年のバレンタインにかける予算は本命チョコ5573円に対し、自分用チョコ1万662円で約2倍の差がついた」という「WWDJAPAN」1月5&12日合併号の欄外メモを読みました。
もはやバレンタインは口実(笑)。コーヒーや紅茶のペアリング提案は客単価を上げますし、「1粒売り」は、間違いなく裾野を広げます。チョコ好きでなくても、さまざまな発見がありそうです。
阪急うめだ本店のバレンタイン 全館で”チョコレート百貨店”打ち出す
阪急うめだ本店の「バレンタインチョコレート博覧会2026」が1月21日に開幕した。今年のテーマは「“好き”を見つける、チョコレートの旅へ」。9階の祝祭広場と催場を中心に、地下2階の食品売場から12階のレストラン街まで全館を活用してバレンタイン博覧会を展開する“チョコレート百貨店”として打ち出す。メイン会場の9階では前半(1月21日~29日)、後半(1月30日~2月14日)で内容が入れ替わる2部制を初めて導入。期間中に販売する商品は、約350ブランド、約3000種類に及ぶ。
同店では現在、5階の一部と6階を改装工事中で、ラグジュアリーブランドの仮説店舗を9階などに移設している。その影響でこれまでフロア全体で展開していたメイン会場は規模を大幅に縮小し、それを補う形で各階での展開を強化した。
「コロナ禍以降、全館あげてバレンタイン商戦に取り組んできたが、メイン会場以外の売上も年々増えている。ただ、認知度の点では課題があった」と、バレンタインチョコレート博覧会責任者の高見さゆり氏は話す。
今回はバレンタイン企画に携わる約100人がそれぞれの思いを凝縮した売り場を各階で展開する。フロアの特性に合わせて装飾やブランド選定、チョコレートまで徹底的にこだわり、企画ものや限定商品、ファッションブランドとのコラボを充実させた。
チョコに合わせるコーヒーや紅茶
例えば3階モードとビヨンドワールドフロアには、「トム ブラウン チョコレート」「マルニ フラワー カフェ」「ビューティフルピープル×マリベル」のほか、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のケーキ、「ディーゼル(DIESEL)」のバレンタイン限定チョコレートが登場する。4階「コトコトステージ41」では、インスタグラムのフォロワー数15万人のEC発レディスブランド「ジプソフィア(GYPSOPHILA)」と、食感や味にこだわるスイーツ「キャナエボン(KYANAE.BON)」のコラボ商品が2月4日〜14日まで販売される。自然と共生する暮らしを提案する8階「グリーンエイジ」フロアには、オーガニックやグルテンフリー素材を使った地球と体に優しいチョコレートやスイーツが多数展開される。
メイン会場でもこれまで以上に趣向を凝らした多彩な売り場が登場。会期前半の9階祝祭広場では、「チョコ菓子喫茶店」と題し、コーヒーと紅茶、それぞれ異なるブランドによるコラボ企画商品やチョコ菓子とのペアリング、コーヒーや紅茶を使用したチョコ菓子を展開する。また、シェフが考えたペアリングを楽しみながらシェフ本人と会話を楽しめる日替わりの喫茶店「シェフズ喫茶」も登場する。さらに、チョコ焼き菓子やそれに合うコーヒー、紅茶のドリップパックを1個から買える集積コーナーをバレンタイン博覧会では初めて展開する。
催場では「47チョコ列島」(前半)と題し、日本各地の素材を見直す趣旨で47都道府県の地元愛あふれるチョコレートやチョコ焼き菓子のブランドを紹介する。「ゴディバ(GODIVA)」ではショコリキサーと各地の素材を掛け合わせた47種類のオリジナルチョコドリンクを楽しめるほか、47都道府県の素材を使ったボンボンショコラを1粒から試し買いできるコーナーなど、何度も会場に足を運びたくなる仕掛けが随所に見られる。
気軽に買える1粒売りのチョコ増やす
チョコレート以外の商品の拡充や単品少量買い、試し買いニーズに対応する背景には、カカオ高騰などに起因するチョコレートの価格上昇だけでなく、バレンタイン商戦自体の変化がある。「高級チョコを1箱買うにはハードルが高いという声が、若い世代から上がってきた。そこで、失敗したくない、試したいというニーズに応えるため、1粒売りのボンボンショコラやミニタブレットを各社に依頼。いろいろ食べて楽しみたいという欲求に寄り添う提案が、結果的に購買拡大につながっている」(高見氏)という。
長らく義理チョコを含めたギフト主体だったバレンタイン商戦は、自家需要の高まりからさらに進化し、近年は体験型イベントへと様相が変わりつつある。同店でも子供から高齢者まで誰もが楽しめる空間づくりをめざし、会場内で食べ歩きできるソフトクリームなどのワンハンドスイーツを増やしている。
ジャン=ポール・エヴァン、ル・ショコラ・アラン・デュカスなどこれまで9階メイン会場の主力商品だった海外の人気ショコラトリー・パティスリーは、地下1階に集結させた。地下2階にも特設会場を設け、「まず駆けつけたい場所、戻ってきたくなる拠点をめざす」。
改装に伴う規模の縮小により、今年の売上目標は2025年度の1割減にあたる約29億円を計画する。規模の大きさよりも多様なチョコレートの楽しみ方を提案するイベントとして訴求する。
シンフラックスが5.2億円調達 欧州サステナ投資の最上位層参画、サザビーリーグIRISと提携も

衣服の設計段階から生地廃棄を減らす技術を手がけるシンフラックス(Synflux)が、総額5.2億円の資金調達を完了した。今回の資金調達では、欧州で最も厳格とされるサステナブルファイナンス開示規制「SFDR」のアーティクル・ナイン(Article 9)に該当する投資家であるコラテラル・グッド(Collateral Good)が参画。日本企業としては国内初となる事例だ。リード投資家はGoldwin Play Earth Fund。このほか、環境省所管の官民ファンドである脱炭素化支援機構、循環型経済や自然再生分野に特化した投資ファンドであるサーキュラーエコノミー・ネイチャーポジティブ1号投資事業有限責任組合、サザビーリーグが出資した。これにより、同社の累計調達額は7.4億円に達する。
SFDRはEUで2021年に適用が開始された金融規制で、投資家に対しサステナビリティに関する詳細な情報開示を求めるものだ。なかでもアーティクル・ナインは、「環境・社会への明確な貢献」を投資目的として掲げるファンドにのみ認められ、“ダークグリーンファンド”とも呼ばれる。コラテラル・グッドそのアーティクル・ナインに該当し、今回が日本初投資となる。同社のマイケル・クラインドル ファウンディングパートナーは、「シンフラックスは、繊維廃棄を削減しながら、導入ブランドに即時的な経済メリットをもたらす。これは当社の戦略と強く一致している」と評価する。
またこの資金調達と並行して、シンフラックスはサザビーリーグのIT子会社であるサザビーリーグIRISと資本業務提携を締結した。両社は、アパレルの企画から製造に至るまでの工程を横断してデータを一元管理するプラットフォームの共同開発を開始。設計・生産・管理をつなぐ情報基盤の構築を通じて、サプライチェーン全体の可視化や業務効率化、ESG関連データの管理高度化を目指す。
設計段階から廃棄を減らす「アルゴリズミック クチュール」
シンフラックスは「惑星のためのファッション(FASHION FOR THE PLANET)」を掲げ、機械学習や3Dシミュレーションを活用した独自の設計システム「アルゴリズミック・クチュール(Algorithmic Couture)」を開発。衣服の型紙やデザインをアルゴリズムによって最適化することで、生産過程で避けられない素材廃棄を最小化する。
同社の技術はすでに複数のブランドで商用導入されており、原材料ロスの削減に加え、リードタイム短縮やコスト削減といった事業上のメリットも評価されてきた。今回の資金調達により、OEM・ODMを含む上流サプライチェーンへの導入を本格化させ、欧州市場での展開を加速させる方針だ。
3月30日発売の「WWDJAPAN」は、2026-27年秋冬東京コレクションの特集です。他にも「バーバリー」のジョシュア・シュルマンCEOや、そごう・西武の田口広人・社長へのインタビューを掲載。エスティ ローダーとプーチが合併協議など話題を豊富に収めています。