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資生堂の構造改革

資生堂は未だ構造改革の局面が続いています。記事の通り、米州では「ドランク エレファント」の大苦戦を受けて、300人規模の人員削減を発表しました。主に2010年代に買収した海外ブランドに足を引っ張られるケースが多いようです。

今回発表した1〜6月期の売上高も日本事業は横ばいを維持したものの、中国・トラベルリテール事業、欧州事業、アジア・パシフィック事業など軒並み減収なのが気になります。海外の構造改革にメドをつけた後、成長戦略にスムーズに移管できかが焦点でしょう。

「WWDJAPAN」副編集長
林 芳樹
NEWS 01

資生堂25年中間期は「ドランク エレファント」不振響く 米州改革で300人削減へ

資生堂の2025年1~6月期連結決算は、売上高が前年同期比7.6%減の4698億円、コア営業利益が同21.3%増の233億円、純利益は同636倍の95億円だった。中国・トラベルリテール事業や米スキンケアブランド「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」の苦戦が響き減収となったが、日本事業の構造改革が奏功した。通期の業績予想(売上高9950億円、コア営業利益365億円、純利益60億円)は据え置く。

事業別では、日本事業の売上高は同0.6%減(実質0.4%減)の1458億円、コア営業利益は同3.07倍の195億円だった。早期退職による人件費削減やマーケティング投資の効率化といった構造改革の効果が利益改善に寄与した。一方、訪日客売り上げは同1ケタ台前半%の減少となった。廣藤綾子CFOは「円高などによる内外価格差の縮小に加え、中国の618商戦の期間延長や低価格競争の激化などにより、日本で購入する価格的メリットが薄れた」と説明する。

米州事業の売上高は同10.1%減(実質9.0%減)の514億円、コア営業損益は58億円の赤字(前期は25億円の赤字)だった。「ドランク エレファント」は同50%超の大幅減収となり、「ナーズ(NARS)」も同1ケタ台前半のマイナスとなった。早期黒字化に向けて米州事業の構造改革アクションを加速させる計画だ。

中国・トラベルリテール事業の売上高は同12.4%減(実質10.0%減)の1739億円、コア営業利益は同15.6%減の388億円だった。「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」「ナーズ」は好調だったが、「シセイドウ(SHISEIDO)」はECでの販売が堅調だった半面、オフラインは引き続きマイナス成長だった。中国本土の同1ケタ台前半%の増加だったが、トラベルリテールはアジア市場の低迷が続き、同20%台前半の減少となった。

欧州事業の売上高は同5.3%減(実質3.8%減)の594億円、コア営業損益は25億円の赤字(前期は20億円の黒字)だった。主に「ドランク エレファント」の販売不振とマーケティング費用の増加が響いた。フレグランスは堅調だった。アジアパシフィックの売上高は同2.3%減(実質0.5%減)の336億円、コア営業損益は1億円の赤字(前期は8億円の黒字)だった。

ブランド別の売上高は、「クレ・ド・ポー ボーテ」が同3%増、「ナーズ」が同2%増、「エリクシール(ELIXIR)」が同12%増と堅調に推移し、全体の成長をけん引した。「シセイドウ」は同4%減だったが、新美容液“アルティミューン”がヒットし、日本国内では2ケタ成長を実現した。「アネッサ(ANESSA)」は同15%減と苦戦。トラベルリテールや訪日客需要の減少が響いた。

「ドランク エレファント」は同57%減で、依然として再建の途上にあり、今後も改善に取り組む方針。フレグランスの「ナルシソ ロドリゲス(NARCISO RODRIGUEZ)」は同1%減、「イッセイ ミヤケ パルファム(ISSEY MIYAKE PARFUME)」は同9%減だったが、フレグランス市場が拡大する中、下期に向けて巻き返しを図る。

米州は約300人の人員削減
「ドランク エレファント」再建急ぐ

米州事業は、4月から暫定最高経営責任者(CEO)を務めるアルベルト・ノーエ(Alberto Noe)氏のもとで、事業再編を急ぐ。組織のスリム化と効率化を進め、生産性向上と持続可能な成長につながる体制構築を目指す。

構造改革によるコスト削減効果は、25年7月〜26年6月の1年間で約150億円を見込む。このうち約75億円は約300人規模の人員削減によるもので、残りはオフィスフロアの縮減、間接購買の見直しなどによる経費削減が中心となる。オフィスフロアの縮減では、40億円超の構造改革費用を25年7〜9月期に計上する予定。

米国で苦戦が続く「ドランク エレファント」については、顧客離れによるブランド基盤の弱体化、クリーンビューティの一般化による差別化の難しさ、製品開発力の停滞といった課題を抱える。今年度は市場在庫の適正化、在庫水準の抑制、店舗での顧客接点強化に注力し、ブランド価値の再定義を進める。

藤原憲太郎社長は「来年以降に予定する“ブランドリセットキャンペーン”の成功につなげ、改めてブランドポテンシャルの再評価を実施していきたい」と語る。

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NEWS 02

花王、25年1〜6月期は化粧品事業が黒字転換 通期予想を上方修正

花王は2025年12月期の通期業績予想を上方修正する。収益性改善の進展を受け、売上高は1兆6900億円(修正前は1兆6700億円)、営業利益は1650億円(同1600億円)、純利益は1210億円(同1160億円)を見込む。

25年1〜6月期連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年同期比2.7%増の8090億円、営業利益が19.9%増の694億円、純利益が14.3%増の496億円と増収増益だった。ファブリック・ホームケアが堅調に推移したほか、化粧品事業の収益性が大幅に改善し、3期ぶりの黒字転換を果たしたことが増益に寄与した。

化粧品事業の売上高は同1.5%増(実質2.1%増)の1185億円だった。注力6ブランドである「センサイ(SENSAI)」「モルトンブラウン(MOLTON BROWN)」「カネボウ(KANEBO)」「ソフィーナiP(SOFINA iP)」「キュレル(CUREL)」「ケイト(KATE)」の成長が加速。「キュレル」「ケイト」「カネボウ」は好調を維持し、「センサイ」はインバウンド需要を獲得。「ソフィーナiP」は新製品が好調だった。営業利益は、ブランドへの集中投資や人材構造改革などが利益改善に大きく寄与し、前期の61億円の赤字から4億円の黒字に転換した。

日本市場はこれら6ブランドの売り上げが15%増、ASEAN市場では11%増を達成。特にタイは「ケイト」や「カネボウ」が計画比を上回り、27%の増収を記録した。欧州では「モルトンブラウン」が引き続き好調に推移。「キュレル」が欧州でのプレゼンスを強化し、約70%増の売り上げを達成した。

昨年苦戦を強いられた中国市場も立て直しの兆しが見えた。中国の大型ECモール天猫(TMALL)での「キュレル」、「フリープラス(FREEPLUS)」旗艦店での売り上げが同3%増と伸長。EC内非正規店でも価格回復が進んだ。「キュレル」の美容液のECセルアウト金額は約80%増加し、現地生産品の育成にも寄与した。

ヘルスビューティケア事業(スキンケア、ヘアケア、パーソナルヘルスを含む)は、売上高が同0.4%増(実質1.6%増)の2115億円となった。スキンケアは、日本ではUVケア製品やハンドソープが好調に推移した一方で米州は「ジャーゲンズ(JERGENS)」が競合からの攻勢を受け、前年同期を下回り、全体としては微減した。

ヘアケアは、日本市場で昨年発売した高価格帯の「メルト(MELT)」と「ジアンサー(THE ANSWER)」、リブランディングした「エッセンシャル(ESSENTIAL)」が引き続き好調で伸長した。一方で欧米の売り上げは、ヘアサロン向けの「ゴールドウェル(GOLDWELL)」が米国や欧州の景況感悪化の影響を受け、前年同期を下回った。パーソナルヘルス製品の売り上げは、日本では新製品「ピュオーラ 炭酸ハミガキ」、中国では「めぐりズム」 の貢献により前年同期を上回った。

また、第1四半期でセグメント事業名を変更。「コンシューマープロダクツ事業」を「グローバルコンシューマーケア事業」、「ハイジーン&リビングケア事業」を「ハイジーンリビングケア事業」、「ヘルス&ビューティケア事業」を「ヘルスビューティケア事業」に改称した。「グローバルコンシューマーケア事業」はハイジーンリビングケア事業、ヘルスビューティケア事業、化粧品事業、ビジネスコネクティッド事業を含む。また、業務用衛星製品とライフケア製品などで構成するビジネスコネクティッド事業をグローバルコンシューマーケア事業の中に新設する。Washing Systems, LLCはケミカル事業に組み入れる。

下半期は高付加価値品の提案を強化し、特にGC事業では高付加価値化を伴う価格改定を実施する予定だ。収益性をさらに高めてグローバル成長の基盤作りを推進する。また、米国の関税政策の変更に伴い、リスク影響額を見直す方針だ。

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