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あだ花ではなかった「グロシエ」

主販路はD2C、その分、店舗では販売よりも体験価値を重視する−−。ニューヨークを発信源に、2018年ごろから吹き荒れたそんなリテールの潮流の中でキラ星のごとく輝き、コロナ禍と共に名前を聞かなくなった米ビューティブランドの「グロシエ」が、なんとV字回復だそうです。時代のあだ花として消えたのかと思っていましたが、ちゃんとゴリゴリ修正かけていたんですね。あっぱれです。お帰りなさい!

D2C一本槍戦法から、セフォラなど有力専門店への卸も行う方針に切り替えたことが、復調要因の1つのようです。直販重視のもとでスポーツ量販店への卸を絞って失速し、いま再び卸を増やしているナイキの姿と重なりますね。

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

米コスメブランド「グロシエ」が21年の売上高26%減から73%増とV字回復 カギは“D2C”からの脱却

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米国発D2Cビューティブランド「グロシエ(GLOSSIER)」が、低迷時期を脱し再び躍進を遂げている。ピンクを基調としたメイクアイテムがミレニアム世代を中心に支持されたもののその人気は陰りを見せ、2021年の売り上げは前年比26%減と低迷していた。ところが23年には同73%増とV字回復を遂げる。また業界筋は24年の総売り上げを約2億7500万ドル(約37億円)と推定し、今後さらなる成長が見込まれるという。復活のカギをひもとく。
 

「グロシエ」は、エミリー・ワイス(Emily Weiss)創設者(現エグゼクティブ・チェアマン)が14年に創業。「SKIN FIRST. MAKEUP SECOND」をブランド理念に掲げ、当時は画期的だったほとんど何もメイクしていないようなナチュラルな仕上がりをかなえる商品群がミレニアル世代を中心にカルト的な人気を誇った。企業評価額は18億ドル(約2430億円)としてこれまで総額2億6500万ドル(約35億円)の資金を調達するなど、ユニコーン企業としても注目を集めていたが、ここ数年人気が低下していた。
 

内部告発による業績低迷

  
低迷の引き金となったのは、20年に元従業員がインスタグラムの匿名アカウントを開設し、同社にはびこっていた人種差別、パワハラ、悪質な労働環境などを内部告発したことだった。

またニューヨークを拠点とするジャーナリスト、マリサ・メルツァー(Marisa Meltzer)が同社の内情にまつわる暴露本を出版したことでも話題をさらった。同著は同社の採用基準の甘さ、急激なビジネスの拡大、精彩を欠いた商品開発、さらには19年に誕生した姉妹ブランド「グロシエ プレイ(GLOSSIER PLAY)」(1年後に休止)に至る一連の失敗を指摘している。
 

 
ワイス=創設者は元従業員の告発を受け、公式に謝罪し改善を約束した。22年5月にはCEOを退任し、「コール ハーン(COLE HAAN)」出身のカイル・レイヒー(Kyle Leahy)最高経営責任者(CEO)がトップに就任。その後大幅な組織とビジネスモデルの再編に踏み切り、経営陣にはマリー・スーター(Marie Suter)=最高クリエイティブ責任者(CCO)、クレオ・マック(Kleo Mack)=最高マーケティング責任者(CMO)、チトラ・バリレッディ(Chitra Balireddi)=最高商務責任者(CCO)、セウン・ソディポ(Seun Sodipo)=最高財務責任者(CFO)、サラ・スチュアート(Sarah Stuart)=最高人事責任者(CPO)ら、大手テクノロジー企業や「シャネル(CHANEL)」「ロレアル(L’OREAL)」など美容業界で豊富な経験を持つ多様性に富んだ女性陣を迎えた。

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NEWS 02

【追記あり】しまむら、無印、ユナイテッドアローズが2ケタ増 専門店12月度、低気温で冬物好調 

【追記:1月9日】国内ユニクロは9日、2024年9〜11月決算発表に合わせて、12月度の既存店売上高も公表した。前年同月比15.3%増と、11月に続き2ケタ増。「気温が低く推移し、防寒衣料が動いた。“年末感謝祭”も好調で、単月売り上げとして過去最高を記録した」と、岡﨑健ファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員CFO。

専門店チェーン、セレクトショップの2024年12月度業績(既存店ベース)は、気温低下のもとで引き続き冬物衣料の販売が進んだといった声が中心だ。なお、国内ユニクロは24年9〜11月期決算発表と合わせて1月9日に12月度業績を公開予定。

しまむらの「ファッションセンターしまむら」は前年同月比14.9%増。11月21日〜12月20日集計のため、11月末に急激に気温が下がった分の需要も反映している。特に好調だったのは、インフルエンサーコラボ企画商品やキャラクター商品、保温の機能性肌着や寝具など。

良品計画の「無印良品」は同15.3%増と、11月に続き2ケタ台後半の伸びを達成。衣服・雑貨カテゴリーに限れば同20.7%増とさらに伸びている。「衣服・雑貨は、前年冬物の在庫不足があった反動もあって高い伸びとなった」(発表資料から)。

アダストリアは同1.4%増と、前年実績は超えたものの他社と比べると控えめ。前年12月も同1.0%と発射台が高いわけでもない。「ニットや防寒アウターのほか、ブーツ、ストール、ホリデー向け生活雑貨やブランケットが好調だった」(発表資料から)。

ユナイテッドアローズは同17.2%増と、12カ月連続で前年実績超えを達成。低気温が後押しし、12月は11月に続き2ケタ増となった。「シャツ、ジャケット、パンツ、ワンピースなどが継続的に売れたことに加え、冬物アウターやマフラー、グローブなど防寒アイテムの動きが目立った」「前年よりもVIPセール対象会員が増加し、既存店客数も2ケタ増となった」(発表資料から)。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月8日号は、2026年春夏シーズンのメンズ・リアルトレンド特集です。この特集は、国内アパレル企業やセレクトショップのクリエーションの“今”を捉えるために、毎シーズン続けている恒例企画です。今回は特に、「シャツの着こなし」に焦点を当てました。夏の暑さがますます厳しくなる影響もあり、26年春夏の欧州コレクションでは、シャツの見せ方がより自由で軽やかになり、着方そのものがクリエーションとして際立つブランドが目立ちました。その発想や潮流は、国内のリアルクローズ市場ではどのように解釈され、取り入れられているのでしょうか。