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スニーカー市場はブームが去った今こそ面白い
オリンピックで連日沸いていますね。個人的に楽しみにしていた今朝のサーフィンは延期になりましたが、タヒチ・チョープーの波は迫力がスゴいなんてもんじゃなく、決勝までワクワクです。あとはクライミングも楽しみにしております!
オリンピック関連で選手のウエアやスニーカーにも注目が集まっていますが、ことスニーカーって、過去数年のコラボスニーカーの投機的ブームはすっかり去って盛り下がっているかと思いきや、イノベーションで機能や製法をどんどん進化させようというムードが特に新興メーカーで強く、むしろ今こそ面白い市場と感じています。その代表格が本日1本目の記事の「オン」。2本目記事の「テバ」のトレランサンダルも新興スポーツメーカー「ホカ」の創業者が開発しており、売れているのも納得です。
スイス発「オン」がパリでスニーカーの新製法を公開 「業界を変える革命的技術」の裏側
スイス・チューリッヒを本拠地とするスポーツブランド「オン(ON)」は、ランニングシューズのアッパー製造の新技術「LightSpray」を、パリで披露している。「従来の製法を根本からくつがえす革命的な技術」として注目を集めるなか、2024パリオリンピック・パランリンピックの開催に合わせて期間限定でパリ11区にラボを開設し、一般公開。「オン」はパリでは、昨年11月にサンジェルマン・デ・プレ地区に第1号となる旗艦店を構え、続く2店舗目を19年まで「ナイキ(NIKE)」の店舗だったシャンゼリゼ通り沿いに数週間前にオープンしたばかり。それもあってか、観光客と地元民を合わせ、パリの街中で「オン」の着用者をこのところ頻繁に見かけるようになっている。
パリのラボには、地上階に2つの展示スペースと、2階にアスリート向けのラウンジを設けている。2階ラウンジは一般には開放しておらず、オリ・パラ会期中にアスリートがリラックスするためのスペースとして構えた。入り口すぐの1階の展示スペースでは、「オン」のランニングとテニスの2つのラインをフィチャー。ランニングでは、7月上旬に販売開始したマラソン向けの最速レーシングモデル、“クラウドブーム ストライク(Cloudboom Strike)”と、中距離向け“クラウドスパイク シティウス(Cloudspike Citius)”と長距離向け“クラウドスパイク アンプリウス(Cloudspike Amplius)”のスパイクモデルに加え、16年から提供するランニングウエアなどアパレル製品も展示する。
“クラウドブーム ストライク”の最初のモデルは、20年に発表された“クラウドブーム(Cloudboom)”。それから4年間で4回の大きな改変を経て完成し、その製作過程のプロトタイプを一般向けに初めて公開している。テニスのラインでは、スイス出身の男子プロテニス選手ロジャー・フェデラー(Roger Federer)が投資家およびアドバイザーとして「オン」に参加。同選手が開発に参画する“ザ ロジャー プロ2 クレイ(The Roger Pro 2 Clay)”のシューズとアパレルを展示する。
わずか3分でアッパーを製作
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米「テバ」副社長が語る「トレイルランニング用サンダル」の可能性
「サンダルの軽快さとトレイルランニングシューズの体験を融合させる」。こう話すのは、スポーツサンダル「テバ(TEVA)」を製造・販売する米デッカーズブランドのリー・コックス氏(テバ副社長兼ゼネラルマネージャー)である。6月に発売したトレイルランニング用サンダル“アベントレイル(メンズ、ウィメンズ各2万900円)”が売れている。発売2カ月足らずで早くも品薄になるほどの反響を得た。
整備されていない自然の山野を走るトレイルランニングシューズは、ランニングシューズのクッション性・反発性とトレッキングシューズの耐久性を掛け合わせて開発される。そこに「テバ」は、サンダルで軽快さを加えた。コンセプトは「つま先で、風を感じよう。」オープントゥのサンダル特有の開放感と新鮮さがランナーの心を捉える。
開発者は同じデッカーズブランド傘下の「ホカ(HOKA)」の創設者であるジャン・リュック・ディアード氏(イノベーション部門のグローバルVP)。トレランを知り尽くすディアード氏が「テバ」でサンダルのイノベーションに挑んだ。
過酷な山道を高速で走るトレランでのサンダル着用を、最新鋭のテクノロジーで可能にした。アッパー部分にはソールの下をぐるりと巻き込むWストラッピングシステム。足をしっかりとホールドし、安定したフィット感を提供する。反発性とクッション性に優れたハイパーコンフォテクノロジーのミッドソール、グリップ力に長けた独自のスパイダーラバーのアウトソールによって、下り坂でも十分なサポートを実現する。
日本のトレランの競技人口は約 20 万人と推定され、愛好者は増えている。地方での競技大会の新設も相次ぐ。デッカーズブランドの「ホカ」以外にも「サロモン」「アルトラ」、あるいは「ナイキ」「アディダス」といったブランドが激しい競争を繰り広げる市場だ。
「テバ」ではトレラン用サンダルという新ジャンルを確立すべく、マーケティングに力を入れる。リー・コックス氏は「実際のランナーがさまざまな地形でアベントレイルを使用する様子をリアルに紹介し、個人の目標や冒険を体験し達成するのを支援するかを伝える」と言う。
リー・コックス氏はデッカーズに入社する前は「イノヴェイト」「ニューバランス」「リーボック」で要職を歴任してきた。トライアスロン選手として世界的なレースに出場するアスリートとしての顔も持つ。そんな彼から見て、「テバ」のポテンシャルは大きく映る。「『テバ』はアウトドアに深く根付いており、さまざまなエキサイティングな冒険に対応する機能的なパフォーマンス製品を作ってきた」「トレイルランニング、ウォーターアクティビティー、キャンプでのリラックスシーンなど、あらゆる形の冒険にインスピレーションを与え、サポートするための製品を提供していきたい」と話す。
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