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タンカーが40年続く秘訣
吉田カバンの「ポーター」が、アイコンシリーズの“タンカー”を今春刷新しました。1990年代のヘルメットバッグ大ブームも懐かしいですが、“タンカー”って、もう販売開始から40年以上経つんですね。ブランドでも商品でも、それだけの期間売り続けるって、本当に大変なことだと思います。
東レと吉田カバンで組み、植物由来のナイロン糸を量産化。素材をそちらに変えたことが今回の刷新の目玉ですが、付随して価格もかなり上がっています。ヘルメットバッグで7万円超。卸先も高感度セレクトショップのみに絞り込んでいます。みんなの“タンカー”からプレミアムな“タンカー”に変わることに、市場がどう反応するかはここからしっかり見ていきたいですが、このように模索して変革することこそが、シリーズが40年以上続いてきた秘訣なんでしょうね。
「ポーター」の“タンカー”が生まれ変わった理由 「50年、100年後も作り続けるために」

「ポーター(PORTER)」はこのほど、ブランドを代表するトラベルシリーズ“タンカー(TANKER)”を刷新した。ヘルメットバッグ(7万2600円)やダッフルバッグ(9万9000円)など全40型を販売中だ。価格帯は2万5300〜13万2000円。
旧作と大きく異なるのは素材使いで、東レが製造する「エコディアN510」を採用する。これは従来の石油由来ではなく、トウモロコシとヒマを原料とする100%植物由来のナイロン糸になる。同社と吉田が協業した結果、世界で初めて量産化に成功した。
「ポーター」を展開する吉田カバンの広報担当者は、今回のアップデートについて「1983年誕生の“タンカー”は昨年で40周年を迎えた。従来、ナイロンは石油を原料とているが、石油は資源が有限。50年、100年後も同アイテムをブランドのレガシーとして作り続けていく上で、使用素材を切り替える決意をした」とコメントしている。
これまでの“タンカー”は実店舗でポーターストアを含む500弱の店舗(コーナー含む)で購入可能だったのに対し、新作は34店舗のみの取り扱いになっており、卸先は群馬県のエスティーカンパニー(ST COMPANY)、富山県のカーネーション(CARNATION)、熊本県のアートワーク(ARTWORK)の3セレクトショップに限定している。「素材を変更した分、価格を上乗せせざるを得なかった実情がある。『ポーター』の思いも含めて、開発背景についてしっかりとお客様に伝えてくれるお店を卸先に選ばせていただいた」(同社広報)。
ユニクロ5月度は8.4%増、客数も維持 ユナイテッドアローズは4月に続き2ケタ増

専門店チェーン、セレクトショップの2024年5月度売上高(既存店ベース)は、大型連休を含め好天に恵まれたことで、前年実績を超えたという声が中心となっている。
ユニクロの国内売上高は、前年同月比8.4%増と、同18.9%増の大幅増となった4月に続き好調。連休商戦や5月24日から実施した40周年感謝祭が盛況で、値上げ以降割り込むことが増えた客数も同0.2%増。「連休商戦、感謝祭とも期間は昨年と変わらない中で、客数が維持できている」(広報担当者)と、手応えを感じている。売れ筋はメンズはUT、エアリズムコットンオーバーサイズT、ポロシャツなど、ウィメンズはブラトップ、ウルトラストレッチボトムス、パラシュートパンツなど。
しまむらの「ファッションセンターしまむら」(4月21日〜5月20日で集計)は同5.7%増で、客数は同3.5%増。連休商戦や母の日の打ち出しにより「婦人衣料の“素肌涼やかパンツ”や実用品のアームカバー、サンダル、冷感ラグや敷きパッドなど、実需商品が売れた」(発表資料から)。
良品計画の「無印良品」は同3.5%増だったものの、客数は同1.0%減と微減。客数は前年4月も同17.0%減と大きく落としていた。改革を進めてきた衣服・雑貨カテゴリーの売上高は同3.6%増と引き続き復調傾向で、4カ月連続で前年実績を超えた。
アダストリアは同4.6%増で、客数は同1.0%増。昨年自社ECで実施したタイムセールに代えて、今年は5月15〜23日に会員向けポイント還元キャンペーンを実施したことが伸長に寄与した。売れ筋は夏用素材のパンツや半袖トップス、羽織りにもなるシャツ類。雑貨ではキャップやリュック、ボトルホルダー、アイスネックリングなどが売れた。
ユナイテッドアローズは、前年5月も同8.2%増と伸ばしていた中で同11.4%増と2ケタ伸長となり、5カ月連続で前年実績を超えた。2ケタ増は4月に続き2カ月連続。客数は同6.1%増だった。「在庫調達を増やしたことなどにより、自社ECを中心にECの伸びが目立っている」(発表資料から)。
「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。