Fashion. Beauty. Business.

TOPICS

障害児教育専攻の私にとって、ヘラルボニーとは?

私自身、右耳の聞こえが良くないこともあり、(一番の理由は成績の低下でしたがw)受験は土壇場で文系に転向し、大学では障害児教育を専攻しました。環境ゆえ、障害児にまつわるボランティアは当たり前でしたが、当時はよく教育大に在籍する学生と揉めたのを覚えています(笑)。私は「障害児だって、好きになる人と苦手な人はいるよね」というスタンス。「苦手だなんて!」と責められると、「それこそ差別では?」と反論していたのです。

そんな私でも(だから?)、ヘラルボニーのスタンスは、共感できるんです。今回のシャツやバッグ、そしてその額縁の中に入れるアートについては、「高い」と思う人もいるでしょうか?でも、アートは付加価値が大事。価格は、健常者のそれと同じくらいを、目指せるなら目指すべきでは?と思うんです。

そこに挑戦している素晴らしさ、そして独自のアワード設立などによる透明性の確保や価値の向上に共感しています。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

「LVMHイノベーションアワード」受賞直後のヘラルボニー 絵画を纏うシャツ&バッグ始動

ヘラルボニーはこのほど、新しい衣服を提案する「ヘラルボニー イサイ(HERALBONY ISAI)」をスタートした。国内外の知的障害がある作家のアートデータを高密度・多色の米沢織で表現したアートピースを額縁にはめて楽しむシャツとバッグ発売する。長袖のシャツは、シーアイランドコットン素材のホワイトと、アルゼンチン産のウールを使ったブラックの2色を用意し、それぞれ11万円で販売する(アートピース1枚付き)。またバッグは、Lサイズのレザーを16万5000円で販売し(同じくアートピース1枚付き)、今後SとMサイズも手がける。

シャツとバッグには、それぞれ4つの額縁を配した。米沢織のアートピースは、各1万6500円で販売。それぞれ限定販売にしたり、発売数を設けたりすることで、それぞれの作品の価値を維持する。

絵画にインスパイアされたり、絵画をファッションアイテムにプリントしたりのアプローチは一般的だが、アートを収めた額縁のある洋服を纏うのは新しい。双子の松田崇弥・文登兄弟は、「僕たちはアートをIP(知的財産)と捉え、洋服だけではなくさまざまなビジネスに用いているが、一方で洋服は”わかりやすい”もの。今後はブルゾンなど、額縁のある洋服のバリエーションを広げると同時に、インテリア商材なども開発して、アートをそのまま楽しんでほしい」と話す。

LVMHの支援プログラムは「スポンジのように吸収したい」

ヘラルボニーは、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)主催の「LVMHイノベーションアワード 2024 (LVMH INNOVATION AWARD 2024)」の「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン(Employee Experience, Diversity & Inclusion)」部門を受賞したばかり。2人は受賞特典として受け取る、LVMHのイノベーション・インキュベーターによる企業支援プログラムへの参加と、同社および傘下にある75メゾンと連携しながら進める個別メンター制度について、「スポンジのようにさまざまを吸収し、取捨選択して、自分たちのビジネスに活かしたい」と話した。

へラルボニーは2018年7月に岩手県でスタート。知的障がいのあるアーティストや福祉施設とのライセンス契約を結び、作品を商品化するブランド事業やライセンス事業を行っている。同社に寄せられるアートは年々数が増えており、現在は専門のアートチームが作品選定を担当。外部のプロを招いた独自のアワードを設立するなどして、透明性の高い作品選びを進めている。

トップページに戻る
NEWS 02

ダイドーリミテッドが株主提案に反対 次期社長の外部招へいで対抗

「ニューヨーカー」「ブルックスブラザーズ」などを展開するダイドーリミテッドは24日、鍋割宰社長が退任し、後任として外部から成瀬功一郎氏を招へいするトップ人事を発表した。成瀬氏はコンサル会社のジェミニストラテジーグループ出身。ダイドーをめぐっては、筆頭株主であるストラテジックキャピタルが取締役の刷新を求めていた。ダイドーはストラテジックの株主提案に対して「業績回復及び持続的な企業価値向上のためには不適切」と反対を表明し、独自の取締役候補を立てる。

6月27日開催予定の定時株主総会で承認されれば、成瀬氏を含む6人が新しい取締役に就く。新たに代表取締役会長兼CEOとして、同じくジェミニの山田政弘CEOを候補にした。一方、鍋割氏を含む現取締役の6人のうち5人は退く。

ストラテジックは業績や株価の低迷を問題視し、4月17日、取締役の刷新を求める株主提案を定時株主総会で行うと発表していた。ストラテジックが提案する取締役候補には、元ブルックスブラザーズジャパン最高財務責任者(CFO)の中山俊彦氏、元オンワード樫山社長の大澤道雄氏らが名を連ねていた。

トップページに戻る

最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。