Fashion. Beauty. Business.
日本ファッション史の証人たち
シップスは、5月15日付で原裕章 前副社長が社長に昇格したと発表しました。新社長はアルバイト入社からの叩き上げ。日本のセレクトショップ史の証人の1人とも言えると思います。団塊ジュニア世代と共に育ったセレクトショップという業態が、誕生から30〜40年を経て変革期を迎えているとは、セレクト各社のトップも、また業界関係者もよく口にします。新体制のシップスが、変化の時代に何を守り何を変えていくのか、楽しみですね。
そんなことを考えていたら、ファイブフォックスの上田稔夫会長の訃報が飛び込んできました。こちらも間違いなく日本のファッション史に名を刻むお1人です。謹んでお悔やみ申し上げます。
シップス新社長、目指すは「最高の普通」
PROFILE: 原裕章/シップス社長

シップスの新社長に、5月15日付で原裕章前副社長が就任した。原新社長は大学時代にアルバイトとして入社して以来、40年以上シップスを見てきた人物だ。創業50周年の節目を前に創業者の三浦義哲前社長から引き継いだ原新社長はどのようなビジョンを描くのか聞いた。
「普通の人のための普通の服を最高な状態で届ける」
WWDJAPAN(以下、WWD):これからのシップスが目指す方向性は?
原裕章社長(以下、原):当社のパーパスは、「最高の普通」を届け続けることだ。去年の秋に課長部長以上の社員120人とワークショップを実施した。「シップスらしさとは何か?」「好きな部分はどこか?」「何を目指して接客するのか?」といった質問の答えを書き出して、たどり着いた新たな方向性が「最高の普通」。他社と比較してもそこまで尖ったデザインの商品や高額な商品を扱っているわけでない。普通の人のための普通の服を、最高な状態でお届けすることを私たちは目指す。これを羅針盤に今各店・各部門でインナーブランディングを深めているところだ。
WWD:市場が飽和し人々のワードローブに新たな商品を加えてもらうことが難しくなっている時代でも、「最高」な状態であれば可能性がある?
原:そうだ。私たちが主戦場としているマーケットの規模で見ると、まだまだ出来ることはたくさんある。たとえば、顧客アンケートを見ていると私たちの商品は比較的ギフトで購入する方が多い。ギフトにしたいと思っていただけるくらい品質には信用があるということだと理解している。でも、私たちの感覚ではまだまだ品質を上げる余地はある。尖った商品を作るよりも、そういう地道な改善を続ける。新しい服を着て次の日会社に行くと気分が上がる。それがファッションの力で、私たちはその力を信じている。より多くの人にファッションの力を届けるお手伝いをするまでだ。
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「コムサ」創業者の上田稔夫会長が死去 SPAの先駆け、一時代を築く
「コムサ」を展開するファイブフォックスの上田稔夫(うえだ・としお)代表取締役会長が5月2日に死去した。享年81。葬儀・告別式は近親者で執り行った。
上田会長は1944年3月20日生まれ、愛媛県出身。三愛、鈴屋を経て、76年にファイブフォックスを創業し、「コムサ・デ・モード」をスタートした。メンズラインの「コムサ・デ・モード・メン」、ウイメンズブランド「ペイトンプレイス」「バジーレ28」を次々と立ち上げ、DCブランドで一時代を築く一方で、早くも90年代に直営店舗を拡大し、日本ではいち早くSPA化を達成。93年には低価格ライン「コムサイズム」をスタートし、全国での多店舗化に成功するなど、一時代を築いた。2023年2月に社長を退任し、代表取締役会長に就いていた。
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「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。
