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アー写からすでに意外性

予想がつかない、という意味では楽しみなタッグです。「カナダグース」が、ブランド初のクリエイティブディレクターにデザイナーのハイダー・アッカーマンを起用しました。アッカーマンといえば、素材選びとカッティング、巧みなスタイリングセンスで一部の熱狂的ファンを増やした孤高のデザイナーです。

一方で、「カナダグース」は一点勝負に強く、サザビーリーグが独占販売契約を締結した2016-17年秋冬シーズン以降は日本でも幅広い層に広がった、みんなが好きなプロダクトブランド。この対照的とも思える両者がタッグを組むのですから、「カナダグース」の製品開発力にアッカーマンの美学がどう浸透していくのか注目です。記事トップのアッカーマンの写真も何だか新鮮。彼の本格的なカムバックにも期待したいです。

大塚 千践
NEWS 01

「カナダグース」のブランド初のクリエイティブディレクターにハイダー・アッカーマンが就任 

カナダグース(CANADA GOOSE)」は、ブランド初のクリエイティブディレクターとしてデザイナーのハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)の就任を発表した。

カナダグースのダニー・リース=会長兼CEOは、「クラフトマンシップと美の融合において、ハイダー・アッカーマンほどふさわしい人物はいない。彼は、カナダグースが他とは一線を画すブランドであること、オーセンティックであること、クラフトマンシップとパフォーマンスこそが私たちのブランドの礎であることをよく理解している。さらに、彼は私たちが築いてきた真の伝統のエネルギーとその可能性を駆使する素晴らしい才能の持ち主であり、私たちのデザインに影響をもたらすことを楽しみにしている」とコメントする。

一方のハイダー・アッカーマンは、「私がカナダグースに惹かれた理由は、カナダグースがどのようにカテゴリーを確立してきたかではなく、その確かな信頼と、常に自らの目的を追求している姿勢にある。カナダグースが私たちを取り巻く世界に与えた影響は、有意義で感動的なもの。私は、自身のことを環境問題の研究者だと考えており、チャーチルへの旅は、さらなる行動と存在意義を見出すきっかけとなった」と話す。

ハイダー・アッカーマンの就任にあたり、まずはホッキョクグマと年々減り続ける生息地に関する研究、調査、保護すべく第一線で活動している「ポーラーベア インターナショナル」(以下、PBI)を支援するための“PBIフーディー”を発売する。本アイテムは、オーガニックコットンから作られた限定モデルで、売上のすべてをPBIに寄付し、北極を保護するための重要な調査や革新的な保護戦略の実施、そして地域社会への啓蒙活動への資金として活用する。5月16日11時から「カナダグース」千駄ヶ谷店と大阪店、18日11時からオンラインストアで販売する。また、ハイダーが手掛ける初のシーズンカプセルコレクションは2024年秋冬にローンチ予定だ。

今回のキャンペーンには、今日の映画界を代表する存在で、アクティビストの1人であるジェーン・フォンダを起用している。

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NEWS 02

「シュプリーム」売却を親会社VFCが検討か 傘下ブランド見直しの一環として

情報筋によれば、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ヴァンズ(VANS)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」などを擁するVFコーポレーション(VF CORPORATION以下、VFC)が、やはり傘下に持つ「シュプリーム(SUPREME)」の売却を検討しているようだ。アドバイザリーとして米投資銀行ゴールドマン・サックス(GOLDMAN SACHS)を選定し、ブランドポートフォリオ戦略の見直しを行っているという。

同社は2月に2023年10〜12月期(第3四半期)決算を発表した際、傘下ブランドの見直しを開始したことを公表しているが、対象となるブランドや、アドバイザリーの選定については明らかにしていなかった。

VFCの広報担当者は本件に関し、「当社は市場のうわさや憶測にはコメントしない方針だ」と声明を発表。ゴールドマン・サックスからのコメントは得られなかった。

「シュプリーム」は、1994年にジェームス・ジェビア(James Jebbia)がスケートショップおよびオリジナルブランドとしてニューヨークで創業。世界中に熱狂的なファンがいるストリートブランドとして成長を続け、2017年には巨大投資ファンドのカーライル・グループ(CARLYLE GROUP)に株式の51%を5億ドル(約775億円)で売却した。当時の企業価値は10億ドル(約1550億円)程度と見積もられている。20年11月、VFCが21億ドル(約3255億円)で買収した。その後、コロナ禍の影響によるサプライチェーンの混乱などのため売り上げが鈍化。22年度に、VFCは「シュプリーム」の日本市場におけるビジネスなどに関して、「金利の上昇や為替レートなど営業外要因のため」に7億3500万ドル(約1139億円)相当の減損費用を計上した。

また、22年2月にトレマイン・エモリー(Tremaine Emory)をクリエイティブ・ディレクターに起用したものの、同氏は「『シュプリーム』内に構造的な人種差別問題がある」として、23年9月に退任。「シュプリーム」は、「本件で挙げられている懸念について真摯に受け止めつつも、異議を唱える」とこれに反論している。

23年10月には、“物言う株主”として知られる米投資会社エンゲージド・キャピタル(ENGAGED CAPITAL)がVFCの株式を取得。「ヴァンズ」と「ザ・ノース・フェイス」以外の傘下ブランドの見直しに加えて、3億ドル(約465億円)以上の経費削減、「ヴァンズ」と「ザ・ノース・フェイス」に対するテコ入れ策として1億ドル(約155億円)程度の投資、経営陣の刷新などを要求したと複数の海外メディアが報じた。なお、エンゲージド・キャピタルは当時、ほかの投資家に向けたプレゼンテーションで「VFCによる『シュプリーム』の買収は、リスクマネジメントが崩壊したとしか思えない案件だ」と説明したという。

VFCの23年10~12月期決算は、売上高が前年同期比16.1%減の29億6030万ドル(約4588億円)、営業損益は前年同期の5億1603万ドル(約799億円)の黒字から3223万ドル(約49億円)の赤字に、純損益は同じく5億786万ドル(約787億円)の黒字から4245万ドル(約65億円)の赤字となっている。

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