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気付いたら1500円

ここ5年くらいで、ドラッグストアのヘアケアの値段が、ドラスティックに上がっていることに気付いていますか? 例えばコロナ禍前くらいまで、売れ筋のシャンプーの価格帯は500~600円前後だったのが、コロナ後は1500円前後まで上がっている印象です。「コロナ禍の“お家時間”で髪への意識が高まり、ヘアケアへの投資額が高まった」とはよく言われることですが、それが如実に価格に反映された形です。

これってすごいことです。私は500円の商品だったら、50円値上がりしただけでも「高い!」と感じてしまいます。それが、5年で1000円です。例えば500円のショートケーキが、5年後に1500円になっていたら「何が起きたの!?」と思いますよね。それがヘアケアだと、「高い分だけ髪をきれいにしてくれそう」という思いから、すんなりと市場に受け入れられているように感じます。改めて「美を求める消費者のニーズってすごい」と思いました。

今回ピックアップした記事では、「ドラッグストアのヘアケア売り場 1500円旋風巻き起こる」として、その市場動向を詳しく紹介しています。

「WWDJAPAN」 ヘッドリポーター
中村 慶二郎
NEWS 01

ドラッグストアのヘアケア売り場 1500円旋風巻き起こる

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ドラッグストアのヘアケア売り場 1500円旋風巻き起こる

ドラッグストアのヘアケア売り場はここ5年でゴールデンゾーンの顔ぶれが変わり、ベンチャー企業が手掛けるプレミアムヘアケアブランドが占拠するようになった。時代のムードを取り入れた情緒的価値を重視する商品が軒並みヒットを飛ばし、存在感を高めている。メーカー間の競争は激しくなるが、ヘアケア市場の盛り上がりに期待がかかる。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月27日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋です)

トモズ

トモズ

薄利多売から脱却し
潤沢な売り場に

トモズ

首都圏を中心に239店舗を展開する(2023年11月時点)ドラッグストアの「トモズ(TOMOD'S)」のヘアケア売り場の様相が変わったのはここ5年。取り扱う単価がこれまでの1000円以下から1500円程度まで引き上がり、高価格帯のヘアケア用品が棚の優位置に並ぶ。これらの売り上げ構成比はヘアケア全体の6割以上を占めており、客単価は2倍に上り、これまでの薄利多売の路線から脱却している。

ここ2〜3年、自分に合ったパーソナルユースが加速するとともに、新興メーカーから続々と登場するコンセプト重視でデザイン性豊かな高価格帯の商品が台頭。「機能訴求ではなく、エモーショナルな要素を取り入れた商品を手に取るお客さまが増加傾向にある」(相田知治トモズ商品部バイヤー)と、パケ買いも顕著だ。郊外店になると低価格で大容量の商品も継続して売れているが、総じてプレミアムヘアケアが売れているという。主に若年層の購入客が多いラゾーナ川崎店の売れ行きが好調だ。

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NEWS 02

「ほめられるビジネスモデル」の実現へ 開始2年半、大丸松坂屋の衣料品サブスクが見据える先

「ほめられるビジネスモデルにしたい」

そう語るのは、大丸松坂屋百貨店が運営する衣料品のサブスクリプションサービス「アナザーアドレス(ANOTHERADDRESS)」のリーダーを務める田端竜也氏だ。

同サービスは外出がままならないコロナ禍の2021年春に始めた。初年度は50ブランドを取り扱い、利用者数に制限をかけたため登録会員数は6000人。それが23年11月時点では6万人・276ブランドへと拡大した。これまでに延べ16万着を貸し出した。会員の平均年齢は43歳で、大丸松坂屋やグループのパルコで1万円以上の買い物実績がない人9割を占める。サブスクを通じて新しい顧客と接点を持てた。

衣料品の大量生産・大量消費・大量廃棄が問題視される中、社内ベンチャー型の組織として田端氏が発案した。サブスクなら客は高価なデザイナーブランドでも手軽に楽しめる。大丸松坂屋としては店舗で接点がなかった客とつながることができる。レンタルで着用して気に入れば購入してくれたり、ブランドのファンになってくれるかもしれない。百貨店事業とサブスク事業は敵対するのではなく、相乗効果が見込めると確信していた。

作って売るだけの一方通行ではなく、衣料品が循環する流れを作る。事業パーパスは「ファッションニューライフ(ファッションの楽しさと持続可能な未来の融合)」。掲げる理想に「メゾン マルジェラ」「マルニ」「ビューティフルピープル」といった人気ブランドも共感し、取り扱い商品どんどん増えていった。百貨店の長年ののれんの力も味方した。

12月1日からは新事業「リアドレス(RE ADDRESS)」を始めた。レンタルで汚れや傷が生じてしまった服を染め直したり、パッチワークしたりして貸し出す。黒染めで知られる京都紋付(京都市、荒川徹社長)や有力なデザイナーと協業し、一点ものの服として打ち出していく。レンタルされているうちに汚れや傷がついて、貸し出しができなく商品が2000着ほど溜まっていた。これらを廃棄せずに新たな価値を吹き込む。

9月には現代アートのサブスクにも進出した。田端氏はアナザーアドレスを単なる服のレンタルにとどめる気はない。「想定以上だったのが、さまざまな知見が蓄積されていくこと。どんな服やブランドが人気なのか、何回貸し出されるのか、お客さまがどう評価(レビュー)したのかといったデータは宝の山になる。また服のクリーニング、修繕、保管、物流についてのノウハウも新しい事業に転用できる。大きなプラットフォームに化ける可能性を秘めている」と話す。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。