ファッション

ジュエリー上級者が選ぶ「ミオ ハルタカ」のデザイナーが語る“かわいい”の切り取り方

日本発ジュエリー「ミオ ハルタカ(MIO HARUTAKA)」の国内唯一の店舗が麻布台ヒルズにオープンした。同ブランドは、ジュエリーブランド「ビジュードエム(BIJOUX DE M)」を手掛けるデザイナーの春高未欧が2018年に設立。

動物や花といった植物をモチーフにしたジュエリーを提案している。国外では、米「バーグドルフ グッドマン(BERGDORF GOODMAN)」や英の「ドーバー ストリート マーケット ロンドン(DOVER STREET MARKET LONDON)」など、感度の高い店舗で販売されている。春高にクリエイションやブランドについて話を聞いた。

子どもの頃に決めたクリエイターという道

春高は20歳になった記念に、ジュエリーデザイナーだった母に勧められて初めてジュエリーを制作。うさぎをスケッチしてジュエリーにしようとしたが、職人に「つくれない」と言われたそう。春高は、「他に欲しいジュエリーがなかったし、1年かけてつくって、それがとても楽しかった」と話す。ブランドのシグニチャーであるデイジーフラワーのリングなども制作。自分でデザインしたジュエリーを着用していたところ、褒められることが多かったという。「子どもの頃から漠然とクリエイターになると決めていた。母の影響もあったし、身近に職人もいたのでジュエリーだったらつくれるかもと思った」。彼女は母のサポートを受けて2011年に10点から構成される初のジュエリーコレクションを制作した。そして自身のブランド「ビジュードエム」をスタートし、デイリーに着用できるジュエリーを提案している。

動物のかわいらしい動きを切り取りジュエリーに

18年、海外進出をきっかけに誕生したのがハイエンドラインの「ミオ ハルタカ」だ。同ブランドは、1点ものがほとんど。「動物や植物をモチーフに、自分の好きなものだけをデザインする。“かわいい”のが大事なポイント。私自身の記憶を体現したジュエリーを提案している。一つ一つ丁寧に制作する」。初めてつくったうさぎは、飼っていたうさぎをモチーフに、新作のシロクマのジュエリーはお気に入りの星野道夫の絵本「ナヌークの贈り物」が着想源だ。「動物のかわいらしい一瞬の動きを切り取ってジュエリーに落とし込む。シロクマのジュエリーは花を持つ角度にこだわった」と春高。多くのジュエラーが自然をモチーフにしたジュエリーを制作しているが、「ミオ ハルタカ」のジュエリーは、思わずほほ笑むようなかわいらしさに溢れている。日本での売れ筋は、マーガレットやうさぎモチーフで、海外では、ヘビのモチーフが人気だという。ヘビのジュエリーも、繊細でしなやか、日本発のジュエリーならではの細やかな細工が施されている。「日本では、かわいい要素が大切だが、海外では、大人っぽいエレガントなものの人気が高い」。

“知る人ぞ知る”ブランドとして大切に育てる

現在販売しているアメリカの4店舗、イギリス、フランス、香港の各1店舗に麻布台ヒルズ店が加わった。日本で唯一「ミオ ハルタカ」のジュエリーを手に取ってみることができる場所だ。店舗デザインは、新素材研究所が担当。沖縄のトラバーチンを使用した店舗の至る所に“円”のモチーフが採用されており、穏やかで落ち着いた雰囲気だ。同ブランドのジュエリーを好むのは40~60代のジュエリー上級者。女性が多いが、中には男性ファンもいる。顧客に関して春高は、「ハイブランドは既に持っていて、遊び心のあるジュエリーを探している自信のある女性が多い」と言う。国内唯一の店舗の奥にはサロンも設け、ビスポークオーダーも受け付ける。「自分らしさを残しながら、アートピースをつくる気持ちで妥協せずジュエリーをつくっていきたい。看板を出すというよりは、“知る人ぞ知る”ブランドであることが大切。1点ものを増やし、ブランドとして大切に育てたい」。「ミオ ハルタカ」で新作が登場するのは1年に2点程度。花びらを動かせるようにセッティングしたり、裏側まで美しく見えるよう細部にまでこだわりデザインするからだ。「宝石には目に見えないものが宿っている。ジュエリーは未来永劫輝くもの。人の一生以上輝くものとして制作し、販売する責任がある。特別な場にふさわしいジュエリーをつくっていきたい」。

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