Fashion. Beauty. Business.
巫女が占う24年秋冬トレンド
テキスタイル展示会から発信されるトレンド情報は、“巫女さんのお告げ”のようだと昔から思っていました。服の展示会が商品発売の半年前なのに対し、テキスタイル展はそのさらに半年前。その分抽象度が増して、観念的でややミステリアスなトレンド解説が増えるんですよね。テキスタイルのプロ、梶原加奈子さんによる「プルミエール・ヴィジョン」レポートはまさにそれ!……なんて言ったら怒られるでしょうか。
私はこの“巫女さんのお告げ”を読み解くのが大好き。服の展示会から発せられるトレンド情報は、「来シーズンはこれが流行る」「これが売れる」といった即物的な感じでビジネスに直結する反面、味気なくもありますが、テキスタイルトレンドは抽象的でミステリアスな分、こちらに解釈の余白が残されています。モノ作りをする人たちは、今世界の方向性をこんな風に捉えているんだな〜というのを感じられて参考になるので、是非お読みください。
最速の2024-25年秋冬トレンド予測、梶原加奈子のプルミエール・ヴィジョンリポート
最も有力なファッション素材見本市の一つ「プルミエール・ヴィジョン」が、7月4〜6日までパリで開催された。1315社が出展し、95カ国から業界のプロフェッショナル2万1315人が来場した。来場者は前年7月展比で10%増だった。テキスタイルデザイナーの梶原加奈子KDSデザイン代表が、その内容を詳細リポートする。
メガトレンドテーマは「ソーラーヴィジョン」
1 / 9
プルミエール・ヴィジョンは2024-2025年秋冬シーズン、環境/社会/経済の混沌とした時期を経て未来型に移行していく方向性が示され、クラシック且つヴィンテージ感がありつつも、テクノロジーが中核に存在した新しい時代感を発信していました。
特に熱気のあったのが、宇宙からのエネルギーや太陽と地球の関係性にフォーカスした「SOLOR VISON(太陽の指針)」をもとに、持続可能な社会を前進させていくための革新的開発と実践的進化を目指したサステナビリティへの新しいアプローチです。ファッション産業はより製造背景が重要となり、サーキュラーシステムや新たな代替え素材の提案が増えています。
長く使用できる上質な素材は評価され、古着の活用がリスペクトされていく。長期的視野で持続性を優先する価値観がデザイン全般に影響していました。
会場中央のトレンドフォーラムは、宇宙と地球の関連性を意識した未来的なディスプレー。ソーラーパネルを想定した什器デザインや人工衛星との交信をイメージした金属調のオブジェが木の幹に合体していて、これからの新エネルギー開発やAI時代を示すような感覚が表現されていました。全体的なムードはダークでシックな雰囲気が漂っており、光と影のコントラストを浮き立たせる「ボカシのグラデーション」が、最も注目すべきデザインのポイントです。
意匠性は引き続き光沢感は重要ではあるものの、マット感やナチュラル感も強くなり、今シーズンも相反する素材のバランスが重要です。合繊、セルロース繊維の無地は光沢感がリードしていましたが、天然素材の無地は微起毛加工されたピーチ感が今まで以上に多かったです。全体的には、より一層ランダムでイレギュラーなバブル調の表面感があるデザインに向かっていきそうです。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
そごう・西武労働組合「ストライキ権確立」、組合員94%が賛同 西武池袋店改装を巡り
セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)が売却を決めた子会社そごう・西武をめぐって、そごう・西武労働組合が雇用維持などの懸念からストライキ権(スト権)の確立に向けて実施した組合員投票の結果が25日に公表された。投票総数3833票のうち、賛成が3600票、反対が153票となり、賛成率93.9%でスト権が確立された。労組はこの結果をもって、セブン&アイおよびそごう・西武の経営側に労使交渉の場を求める。
セブン&アイは昨年11月に米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループへの売却を決定。フォートレスは家電大手のヨドバシホールディングスをパートナーに選定し、そごう・西武の再建を進める方向で動いていた。だが、売却後の具体策について交渉が難航し、売却時期が2度も延期される事態になっていた。
特に争点になったのは旗艦店である西武池袋店の売り場の大部分にヨドバシカメラを入れる改装計画だった。都市計画の観点から昨年12月、豊島区が難色を示した。そしてそごう・西武労働組合も事業計画や雇用問題についてセブン側から十分な説明がないとして反発を強めた。労組はスト権の確立を問う投票を7月9日から22日にかけて約4000人の組合員に対して実施するに至った。
25日に会見した寺岡泰博委員長は「池袋本店のフロアプラン(改装計画)に限らず、そごう・西武そのものの存在がかかっている。いま一度(スト権を武器に)交渉力を上げて経営側と臨む」と話した。具体的に何が合意できなければ、ストを決行するのか、取りやめるのかについては言及を避けた。ストを決行する場合の範囲も現時点では未定だ。
ヨドバシ・フォートレス連合は、西武池袋本店の北館・中央館の地下1階〜地上7階の8フロアにヨドバシカメラを入れる改装計画だった。しかし先週からの一部メディアではヨドバシ側が百貨店の顔である1階への出店については断念したと報じていた。この件についても寺岡委員長は経営側からは説明が全くなく、報道を通じてしか情報が降りてこないと話す。仮にヨドバシが低層階を断念しても、売り場の大部分がヨドバシになる計画自体が変わらなければ、必然的に従業員の削減につながる。そごう・西武の売上高の35%を占める西武池袋本店の面積が大幅に減れば、収益に直結するだけでなく、アパレルなどの取引先が離反することが予想されると組合側は懸念している。寺岡委員長は「実質的にはヨドバシが家主で、われわれ百貨店がテナントになる。事業継続に懸念を持たざるをえない」と言う。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。
