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「ティファニー」ザ・ランドマークは、アフターコロナの象徴

 長らく!観光名所としても有名な、「ティファニー」のNY五番街本店が、いよいよ今月末にリニューアルオープンです。“The Landmark(ザ・ランドマーク)”の名前を付すあたりに「ティファニー」の本気が伺えますが、実際、ザ・ランドマークになることは間違いないでしょう。

 LVMHにとっても、過去最高レベルの改装費とのこと。現地はリセッションで、多くの業界人は「今年いっぱい、アメリカ市場には厳しい局面もあるのでは?」と予想していますが、アフターコロナのシンボリックな存在になることは間違いないでしょう。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

「ティファニー」NY5番街本店が4月28日にリニューアルオープン 4年の大改装を経て“ザ・ランドマーク”に

 「ティファニー(TIFFANY & CO.)」は、全面改装中のニューヨーク・マンハッタン5番街本店を4月28日にオープンする。これに伴い、名称を“本店”から“The Landmark(ザ・ランドマーク)”に変更する。

 同店は2019年2月に改装工事を開始。コロナ禍や、20年12月のLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)によるティファニーの買収を経て、4年ぶりのリニューアルオープンとなる。なお、20年1月には、本店の隣にあるビルにすべての店舗機能を移転させた期間限定の旗艦店「ザ・ティファニー・フラッグシップ・ネクストドア(The Tiffany Flagship Next Door)」をオープンした。

 LVMHはこれまでも傘下ブランドの店舗を改装してきているが、情報筋によれば、1店舗にかける費用としては今回が最高額だという。店内の様子は現時点では公開されていないが、デザインなどは建築家のピーター・マリノ(Peter Marino)や設計事務所OMAのパートナーである重松象平らが手掛けている。なお、“ザ・ランドマーク”という名称は、同店の建物がニューヨークのランドマーク的な存在であることに由来するという。このため、“ザ・ランドマーク”と称されるのは同店のみで、ほかの主要な店舗は今後も旗艦店と呼ばれるようだ。

 同店は28日に通常の営業時間通りにオープンするが、これに先立ち、27日には招待制のオープニングイベントを開催する。

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NEWS 02

「THREE」のブランドマネージャーが語る、今の仕事は「“推し活”に近い」【私が新入社員だったころ vol.7】

 「WWDJAPAN」は4月3日号で、ファッション&ビューティ業界の新入社員や若手社員に向けて、「プロになろうーー知っておくべき業界の今」と題した特集を掲載している。それと連動し「WWDJAPAN.com」では、業界で活躍するアラフォー世代以下のリーダーたちに、自身が若かったころに心掛けていたことや、それが今にどうつながっているかを取材。連載形式でお届けする。今回は、ACROが展開する「スリー(THREE)」と「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」の桝浩史ブランドマネージャーに話を聞いた。

WWD:ビューティに興味を持ち始めたきっかけは。

桝浩史ブランドマネージャー(以下、桝):昔から肌が弱くスキンケアに興味があったので、自分ごと化ができる仕事に就きたいという気持ちが強かったです。加えて、誰かのためにきれいになるお手伝いをしたいという気持ちがあり、新卒では大手化粧品メーカーに総合職で入社し、美容教育部で全国の美容部員のインストラクターの教育担当としてキャリアをスタートしました。

 仕事内容は、数百人もいる全国のスタッフを集めて研修会を企画したり、新商品のトレーニングをすることが多かったです。その反面、自分が販売員経験もない中で企画をすることに矛盾を感じていました。まずは、販売員としてのスキルを身につけてから企画をしたいという思いが募り、やるからにはスキンケアだけではなくメイクもあるブランドで挑戦したく、独創的なメイクで注目されていた新興のメイクアップブランドに転職しました。そこでは都内の店舗に配属し、20代からマダム層まで幅広い世代の接客を毎日ヘロヘロになるまでフル回転で仕事をしていましたね。

WWD:美容部員時代はどう過ごしていた?

桝:一生続けていたいと思うくらい、自分に向いているなと感じていましたし、接客が好きでした。ノルマを達成することは苦ではなく、むしろ楽しくこなすことができていました。当時は男性の美容部員がまだ珍しかったので、お客さまからは男性だからという理由で接客を断られたりもしましたが、そこは気にならなかったですね。それ以上に毎日ハッピーな気持ちで働けていました。先輩からは、言葉使いから所作まで厳しく指導されたこともありましたが、自分が納得できる指摘でした。心のある教育だったので、本当に人と環境に恵まれていました。

WWD:販売員を経験し、次のステップは考えていたのか?

桝:販売員として約3年の経験を積み、その後を考えている時に前職から戻ってこないかと声をかけていただきました。当時、ブランドポートフォリオを拡大しているタイミングでもあり、グループ内でたくさんのブランドに触れられる機会だと感じ、再就職しました。再び教育トレーナーとして配属になり、その後は商品企画として十数年、ハイプレステージに携わっていました。

WWD:その後、転機が訪れる。

桝:次はナチュラル・オーガニックのカテゴリーに挑戦したい気持ちが高まり、天然由来成分×洗練モードをコンセプトとするブランドに転職しました。ここではタイムリーにトレンドを切り取り、短いスパンで形にするという老舗のブランドとは全く違うブランドづくりの流れがあり、勉強になりました。と同時に、前職の先輩でもあった宮崎稔章ACRO社長から、「スリー」での新規プロジェクトの話を伺い、2021年にACROに就職し、22年1月に現在のブランドマネージャーに就任しました。

今の仕事は「推し活」に近い

WWD:職場も変わり多彩な経験を積まれているが、これまで苦労したことは?

桝:仕事を仕事と思っていなく、半分趣味みたいなところもあります。コスメを作ること、売ることは趣味の延長線で、推し活をしている感覚に近いですね。全ての経験をビューティという広義で捉えているので、学びたいものが変われば、会社も変わるというイメージで転職を重ねてきました。自分が良いと思うものしか作らないし、自分が良いと思うものを広めるという軸はブレずに持っています。これまで携わったブランドは今でも好きですし、昔一緒に働いた仲間は定期的に飲みに行ったりと仲がいいですね。

WWD:仕事で心がけていることは?

桝:ポジティブな言葉で伝えるようにしています。美容部員時代の話ですが、カウンセリングでメイクカバーする際に、例えば「ここにシミがあるからコンシーラーでカバーしますね」ではなく、「肌が均一に見えるようにしましょう」などお客さまが前向きに捉えられるように、肌悩みを直接指摘するような伝え方をしてこなかった。そういった経験もあり、ネガティブなことはポジティブに変換してから話すように心がけています。お客さまに伝えるタイミングを慎重に見極めたりすることが大切だったりと、接客の心得は今の仕事にも生かされており、全てがつながっています。

WWD:仕事のストレス解消法や気持ちの切り替え方は?

桝:ネガティブな感情は洗い流すことにしています。怒りや悲しみを他の人にぶつけてしまうと、その分自分にも返ってくる感じがして。自分がネガティブをエネルギーに変えることができないので、それを浄化させてポジティブにすることにしています。それを手助けしてくれるのが、とにかく香り。精油の力ですね。基本的にストレスや嫌なことは翌日に持ち越さずに、その日のうちにバスタイムで全てを洗い流してしまいます。「スリー」は精油をベースにしたアイテムを豊富にそろえているので、ボディーケアの段階でストレスはほとんどなくなっているのを感じますね。あとは、寝る直前にホームフレグランスをふって、全てを香りで“ドブ浸け”にしています(笑)。

WWD:やる気に満ち溢れた新入社員へアドバイスを。

桝:最初は成果を出したいとか、一人前として認められたいなど、焦りやプレッシャーを感じやすい時期ではないでしょうか。新入社員でいる時期は、失敗しても先輩や上司に尻拭いをしてもらえる唯一の期間。英語や資格など自己研鑽することも大切ですが、困った時に相談できる人間関係の構築やコミュニケーションスキルを磨くことも重要です。最初から「甘える術」をつけることがいいかなと思います。ただ、甘え上手といっても丸投げや、思考が停止していたらそれは見透かされます。努力をした上で甘えることができると、後々の強みになると思います。

WWD:最後に、新入社員の皆さんにメッセージをお願いします。

桝:ビューティやファッションは過渡期を迎えています。美の基準はいまだに欧米の価値基準がスタンダードではありますが、最近では韓国の音楽や映画、エンタメが圧倒的に人気で、化粧品も韓国コスメの人気が強い。いま、日本の存在感が問われている時期でもあるように感じています。その中で「スリー」は、国産の植物や精油、職人の技術に着目しながら商品を生み出しています。「スリー」を通じて、そこはかとなく日本の良さを感じてもらい、日本ってクールなんだねという気づくきっかけになってもらえたらと。海外に憧れて日本を離れてしまう若い人も多いと思いますが、日本でも面白いことができるという環境をわれわれの世代が作れたらいいなと思っています。そして若い世代が日本に目を向けて、日本が元気になるように、一緒に頑張っていけたらうれしいですね。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。