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近年はダイバーシティを重視の「ヴァレンティノ」から「グッチ」へ

 大方の予想を裏切り、「グッチ」は「ヴァレンティノ」で働くサバト・デ・サルノをアレッサンドロ・ミケーレに代わるクリエイティブ・ディレクターに抜擢しました。「グッチ」に比べると控えめかもしれませんが、「ヴァレンティノ」も近年はダイバーシティを重視。ただその表現方法は、ミケーレのように「既成概念を超越」ではなく、王道エレガンスに則っています。経営陣が「グッチ」に求めるのは、そんな路線だったのでしょう。

 「ヴァレンティノ」は直近、ロレアルとのライセンスの形でビューティも本格始動しました。ファッションとの関係性についても、新ディレクターにはすでに思うところがあるのかもしれません。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

「グッチ」の次期クリエイティブ・ディレクターが決定 「プラダ」や「ヴァレンティノ」でキャリアを積んだイタリア人デザイナー

 ケリング(KERING)とグッチ(GUCCI)は、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)が「グッチ」の新たなクリエイティブ・ディレクターに就任することを発表した。2022年11月に退任したアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の後任となるデ・サルノは、現職での職務を全て終え次第、就任予定。ウィメンズ、メンズ、レザーグッズ、アクセサリー、ライフスタイルの各コレクションにおいて、「グッチ」の新たなクリエイティブなビジョンを定義・表現する責務を担う。デビューショーは、23年9月のミラノ・ウィメンズ・ファッションウイークになる予定だ。

 デ・サルノは、イタリア・ナポリで育ち、05年に「プラダ(PRADA)でキャリアをスタート。「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」を経て、09年に「ヴァレンティノ(VALENTINO)」に入社。昇進を重ね、最終的にはメンズとウィメンズのプレタポルテ・コレクションを統括するファッション・ディレクターを務めてきた。

 デ・サルノは、「『グッチ』のクリエイティブ・ディレクターの職務を引き受けるのは、とても光栄なことだ。長年にわたって私が信じ続けている価値観を大切にするとともに快く受け入れてくれた、素晴らしい歴史と伝統を持つメゾンに参加できることを誇りに思う。私のクリエイティブなビジョンでブランドに貢献できることに感動し、ワクワクしている」と話す。

 一方、マルコ・ビッザーリ(Marco Bizzari)=グッチ社長兼最高経営責任者は、「サバトがラグジュアリー業界で最も影響力のある役割の一つである『グッチ』の新たなクリエイティブ・ディレクターに就任することをうれしく思う。イタリアの著名なラグジュアリーメゾンで働いてきた彼は、適切かつ豊富な経験を持っている。『グッチ』ならではのレガシーに対するサバトの深い理解と敬意を通して、独自のビジョンでクリエイティブチームを率いてくれるだろう。それが、ブランドの豊かな伝統を生かしながらファッションの権威を強化し、このエキサイティングな次の章を綴ることにつながると確信している」と述べる。

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NEWS 02

パタゴニアが100%植物由来ポリエステルのダウンジャケットを発売 東レと協働

 パタゴニア(PATAGONIA)はこのほど、100%植物由来のポリエステルを表地のシェルと裏地に使用したダウンジャケット“シュガーダウン・フーディ”を発売した。価格は4万5100円。このポリエステルは東レが米国のベンチャー企業ヴィレント(VIRENT)と協働して開発したもので、現在ラボレベルで生産されているが、量産化には至っていない。東レは2020年代の量産化に向けて現在、試作・開発を進めている。

 ポリエステルはエチレングリコールとテレフタル酸で構成されており、エチレングリコールはすでに植物由来の原料で東レが開発し、量産している。一方、植物由来のテレフタル酸の生成は非常にハードルが高く、量産に向けて研究開発されている状態。ヴィレントはウィスコンシン州マディソンに拠点を置き、植物由来のテレフタル酸製造に取り組んでいる。

 パタゴニアは、かねてから最重要事項として責任ある調達を挙げており、ヴィレントが製造するテレフタル酸の原材料にも入念な審査を行い、ルイジアナ州で作られる非遺伝子組み換えサトウキビを指定した。今回の植物由来のポリエステル素材は、ラボとフィールドの両方での厳しい基準に合格し、商品化に至ったという。

 パタゴニアは2025年までに環境に望ましい素材(オーガニックコットン、リジェネラティブ・オーガニック・コットン、リサイクル・ポリエステル、リサイクル・ナイロンを含む)を100%使用することを目標に掲げており、この植物由来ポリエステルはこの目標に沿うものとしている。他方で、原料生産のためにサトウキビのような農作物を栽培することはそれ相応のフットプリントが存在するとし、今後、ゴミから抽出されたものを含むバイオベースの化学繊維など他の方法を探索していくという。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」5月20日号は、円安でバブル化している「インバウンド特集」です。銀座、原宿・表参道、心斎橋での訪日客57組106人への突撃インタビューに加え、インバウンドで好調な12の店舗・ブランドを、インバウンド比率や好調アイテム/ブランドとともに紹介した「インバウンドで売れる店FILE」も収録。新しいインバウンド消費の内実を追いました。中国や韓国、米国などのインバウンド消費の上位国からスウェーデン、チリなど21カ国に及ぶ訪日客のスナップ&ガチなお買い物リストwithショッパーは必見です!!