Fashion. Beauty. Business.

TOPICS

三宅一生さんの訃報に思う

 三宅一生さんが亡くなりました。ご本人にお会いすることはかないませんでしたが、3年前にパリで見た2020年春夏の近藤悟史デザイナーによる「イッセイ ミヤケ」は、忘れられないショー体験の一つです。“一枚の布”のコンセプトを追求し、ダンスやアートを取り入れ、ダイバーシティーの考えにも富んだとてもハッピーなショーを、ベテランジャーナリストは「一生さんが手掛けていた頃のショーを見ているよう」と評していました。

 人の心を揺さぶり高揚させる。そんなファッションの魅力を教えてくれたショーでした。一生さんが希求し訴えた多様性や平和は、世の中が今も直面し続けている問題です。ファッションとは何か、ファッションに携わる人間は何ができるか。そんなことを考えます。合掌。

==============

モーニングダイジェストは12日、15日の配信はお休みとさせていただきます。次回は16日から配信となります。

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

デザイナーの三宅一生が死去 84歳

 イッセイ ミヤケグループ創設者の三宅一生氏が5日、がんのため死去した。84歳だった。故人の遺志で葬儀はすでに執り行い、告別式やお別れ会は実施しないという。

 三宅氏は1938年生まれ、広島出身。多摩美術大学を卒業後、65年に渡仏しオートクチュールの技術などを4年間学んだ。69年に渡米後はプレタポルテの経験を積み、70年に帰国して三宅デザイン事務所を設立した。翌年にブランド「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」を立ち上げ、73年にはパリ・ファッション・ウイークに参加。日本のデザイナーズブランドの海外市場開拓に貢献した。

 三宅氏はパリコレに初参加した際から“一枚の布”という考えのもと、産地や企業との協働により一本の糸から研究開発を行い、独自素材や技術でもの作りを行い続けた。93年には“プリーツ プリーズ(PLEATS PLEASE)”を、98年には“エイポック(A-POC)”を発表。日本の伝統技術を生かしたもの作りは、国内外のファッション界に大きな影響を与えた。2010年には文化勲章を受章。イッセイ ミヤケグループの各ブランドは後任に引き継いだものの、“生涯現役”として現場をサポートしていた。

 同社は「三宅は1970年に三宅デザイン事務所を設立し、生涯にわたり現役として衣服デザインの研究開発に取り組み、デザイン文化の発展に貢献し続けて参りました。その精神は次世代に受け継がれています。これまでのご厚誼に、グループ一同、心より御礼を申しあげます」とコメントした。

トップページに戻る
NEWS 02

「グッチ」の親会社、22年上半期は23%増収 ビューティ事業内製化の可能性を示唆

 ケリング(KERING)の2022年1~6月期決算は、売上高が前年同期比23.4%増の99億3000万ユーロ(約1兆3405億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同22.5%増の36億1700万ユーロ(約4882億円)、純利益が同34.4%増の19億8800万ユーロ(約2683億円)だった。

 地域別の売上高では、西欧は同53.3%増の26億600万ユーロ(約3518億円)、北米は同36.6%増の27億500万ユーロ(約3651億円)、日本を除くアジア太平洋地域は同1.1%減の33億3900万ユーロ(約4507億円)、日本は同25.7%増の5億7700万ユーロ(約778億円)、その他の地域は同32.1%増の7億300万ユーロ(約949億円)だった。

 ブランド別の売上高では、主力の「グッチ(GUCCI)」が同15.4%増の51億7300万ユーロ(約6983億円)だった。同ブランドは中国市場への依存度が比較的高いことから、上海などでロックダウンが続いた上半期は売り上げが減速した。「サンローラン(SAINT LAURENT)」は同41.5%増の14億8100万ユーロ(約1999億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同17.8%増の8億3400万ユーロ(約1125億円)だった。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」などを含むその他のメゾン部門は、同31.6%増の19億5500万ユーロ(約2639億円)だった。

 フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「非常に好調だった21年度に引き続き、22年上半期もしっかりと売り上げを伸ばし、素晴らしい業績を上げることができた。世界中で売り上げが良く、コロナ禍に関する規制措置の影響があった中国市場の分を相殺して余りある結果となった。マクロ経済の不透明感が続いているが、当社は盤石な状態にある。短期的なチャレンジを乗り越え、新たな機会への挑戦をし、今後も傘下ブランドの大きな可能性や野心的な戦略を支援していく」と語った。

 また、ジャン・フランソワ・パル(Jean-Francois Palus)=マネジング・ディレクターは、アナリスト向けの説明会で、「ファッションブランドがビューティ領域に進出するのは自然なことだ。現在、当社が擁する複数のブランドがライセンス契約に基づいてビューティを展開しているが、ケリング アイウエア(KERING EYEWEAR)の成功を踏まえると、革新的なアプローチをすることで、ブランドにとってもケリングにとってもさらに大きな価値を作り出せるかもしれない。あらゆる選択肢をオープンに考えたい」と述べ、ビューティ事業を内製化する可能性があることを示唆した。ケリング アイウエアはアイウエア事業の内製化のため14年に設立したが、17年にはコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下の「カルティエ(CARTIER)」と戦略的提携を発表するなど、大きな成功を収めている。

 ケリングの傘下では、「グッチ」「アレキサンダー・マックイーン」「ボッテガ・ヴェネタ」はコティ(COTY)と、「サンローラン」はロレアル(L'OREAL)と、「ブシュロン(BOUCHERON)」はインターパルファム(INTERPARFUMS)とビューティのライセンス契約を締結している。なお、ピノー会長兼CEOは20年2月、コティに関して「ビューティ事業には巨大なポテンシャルがあるにもかかわらず、スピード感を持ってそれが開発されていないことにフラストレーションを感じている」と発言している。

トップページに戻る

最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。