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伊勢丹新宿本店の売上高に驚く

 伊勢丹新宿本店の4〜6月期の売上高が2008年以降で過去最高です。コロナ禍で2020年、21年と2年連続GW商戦を失っていたので、今年は前年、前々年を大幅クリアするのは目に見えていました。でも、インバウンドの売上減をカバーして余りある好調ぶりとは、思っていませんでした。

 私自身、感染者数は増加の一途だし、インフレ基調だし、国際情勢は不安だしで、勝手に「いい材料がない」と思ってしまっていました。でも、そんなことはないのですね。国内の富裕層の消費パワーのすさまじさを改めて知りました。

「WWDJAPAN」副編集長
小田島 千春
NEWS 01

伊勢丹新宿本店の売上高が統合後で過去最高 4〜6月期、富裕層けん引

 三越伊勢丹ホールディングスは1日、基幹店の伊勢丹新宿本店の2022年4〜6月期の売上高が、三越と伊勢丹の経営統合(2008年)以降で同期間として過去最高になったと発表した。訪日客による免税売上高はまだ回復していないものの、国内の外商を中心とした富裕層の消費がけん引した。

 22年4〜6月期の伊勢丹新宿本店の売上高は、前年同期比39.8%増の725億円だった。前年の同時期は緊急事態宣言による休業を強いられていたため、反動増ではね上がった。だが、それ以上に外商を中心とした富裕層の購買が活発で、訪日客の減少や国内中間層の回復鈍化をカバーした。ラグジュアリーブランドや宝飾品、時計などの高額品がよく売れた。「伊勢丹新宿本店の付加価値の高い品ぞろえが支持された」(同社)と分析する。

 同社は1日に発表した22年4〜6月期の連結業績は、総額売上高が前年同期比23.7%増の2428億円、売上高が同14.7%増の1016億円、営業損益が39億円の黒字(前年同期は60億円の赤字)、純損益が56億円の黒字(同86億円の赤字)だった。伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店といった首都圏の百貨店事業の業績が回復した。

 百貨店事業の利益改善を受けて、通期(23年3月期)の営業利益予想を上方修正する。修正前に比べて30億円増の170億円を見込む。総額売上高は当初予想の1兆500億円を据え置く。

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NEWS 02

「ビズビム」が中目黒に木造住宅を生かした新店をオープン 坪庭と世界の名品が調和する空間

 中村ヒロキがデザインする「ビズビム(VISVIM)」が、東京・中目黒に新店「ビズビム ジェネラル ストア(VISVIM GENERAL STORE)」(売り場面積約89平方メートル)と「ビズビム ギャラリー(VISVIM GALLERY)」(約45平方メートル)をオープンした。木造住宅を生かした建物に、小川が流れる坪庭。内装デザインは中村が手掛けており、ネイティブアメリカンのラグやチベットの織物、日本の型染め和紙のふすまなど、ビンテージを中心に世界中のさまざまな名品をミックスして店内に配している。それら全てが落ち着いて調和しているのがこのブランドらしいところ。人通りの多い中目黒にいることを忘れてしまうような、ファンも一見さんも楽しめる空間になっている。

 店があるのは、2019年末に目黒川沿いにオープンしたウィメンズ「ダブリュー エム ブイ(WMV)」のショップ、「ダブリュー エム ブイ ビズビム トウキョウ(WMV VISVIM TOKYO)」(約124平方メートル)の裏手。今回オープンした2棟と合わせ、計3棟の建物で「ビズビム」の全ラインの商品を扱うと共に、「ビズビム ジェネラル ストア」にはオリジナルブレンドのコーヒーを提供するカフェ「リトル クラウド コーヒー(little cloud coffee)」のスペースもある。

 「ビズビム ギャラリー」ではさまざまな展示やイベントも行っていく予定で、第1弾として7月23〜29日に、「ビズビム」が手掛ける雑誌「サブシークエンス(Subsequence)」の第5号と連動した展示も実施。中国の伝統的な藍染布“藍印花布(らんいんかふ)”のビンテージ品などを展示・販売した。

不均一なもの、非対称なものが美しい

 3棟は坪庭の脇を抜けるような形で行き来ができる作り。庭を手掛けたのは日本庭園の世界ではよく知られている作庭家、安諸定男で、新店オープン後もこの庭見たさに訪れる日本庭園ファンがいるのだという。ロサンゼルスと東京の2拠点で暮らす中村が、東京で住んでいる家の庭を手掛けていたのが安諸だったといい、「(庭が)すごく自然にデザインされていて、これを手掛けた人とはモノ作りのプロセスや考え方の部分で共感できると思った」と中村は話す。

 よく知られているように、中村はネイティブアメリカン由来のアイテムをはじめ、世界中のさまざまな場所や人々の暮らしに根付いたビンテージに造詣が深い。「(例えば)新店の壁は本漆喰で仕上げているが、職人が手で仕上げているから直線ではなく少しカーブしている。真っ直ぐなものよりも、不均一なもの、非対称なものに美を見出すという価値観に共感するし、そうした自然に近い感覚は(ネイティブアメリカンなどとも)共通する」と話す。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。