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Y2Kと下北沢

 トレンドキーワードとして“Y2K”という言葉を聞く機会がぐっと増えました。Y2KとはYear 2-Kilo、つまり2000年のこと。2000年当時はコンピューターの「2000年問題」でY2Kがよく使われた記憶がありますが、最近はもっぱら2000年前後に流行っていたファッションスタイルを指す言葉として使われています。ブリトニー・スピアーズやパリス・ヒルトンなど、あの頃のファッションアイコンが着こなしのお手本です。

 当時高校生だった私を含め、若者がおしゃれに熱中していた(?)Y2Kの時代に比べると、今は「若者のファッションに対する熱は下がった」と言われがち。でも、本日1本目にご紹介する記事を読めば、安易にそんなことは言えないと気づかされます。おじさん、おばさん世代(私含む)が無意識に振りかざしがちな「ファッションとはこういうもの」のルールに縛られず、自由に古着を楽しむ下北沢の若者たちのパワーを感じる記事なので、是非お読みください。

 ……そんなことを考えながらパリコレのルックを流し見していたら、「ミュウミュウ」がまさにY2Kテイストど真ん中の古着風(そしてブリトニーがはいていたような超ローライズ!)スタイルを出していました。Y2Kと古着(風)、引き続き要チェックですね。

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

話題の下北沢をスナップ! 買い物袋の中身見せてください

 「空き物件が増えて元気のない原宿に比べて、下北沢では買い物袋を持った若者がたくさん闊歩している」――数年ぶりに下北沢を訪れたという「WWDJAPAN」デスクの言葉だ。確かに最近の下北沢には活気があり、若者が大勢いる。では、彼らは何を買っているのか?9月最後と10月最初の週末に下北沢の街頭に立ってスナップし、買い物袋の中身を見せてもらった。そこから見えてきたリアルとは?

 最初に声を掛けたのは30代と20代のカップル。「買い物デートですか?」とたずねると、「彼が“ファッション音痴”なもので、私が見立ててあげてるんです」と11歳年下の彼女(!)。購入した「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」と「エディー・バウアー(EDDIE BAUER)」のボタンダウンシャツは、なるほど女子受けが良さそう。彼も「助かってます」とまんざらでもなく、“恋人つなぎ”が仲の良さを表していた。

 2組目は、買い物袋をたくさん持った男性コンビ。“Tシャツはタックイン派”のたつさん(左)が買ったのは、パープルの“ポニー”がワンポイントの「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)」のコットンニット。立て続けの登場に、“2次流通でも「ラルフ」強し”を印象付けられた。一方のあなひさんは、「マリテ+フランソワ・ジルボー(MARITHE + FRANCOIS GIRBAUD)」のデニムカーゴを購入。メモを取りつつ、「10数年前、フランスに取材に行ったなぁ」なんて独り言ちると、「えっ、フランス発祥のブランドなんですか?」とビックリされ、“今どきの10代はウンチクではなく、フィーリングで古着を買う”を目の当たりに。

 友だちを待っているところをスナップさせてもらった彼は、オレンジが鮮やかな「アディダス(ADIDAS)」のスエットをセレクト。古着を買うようになったのは最近で、「やっぱり安さが魅力」だそう。「でも、メルカリ(MERCARI)とかならもっと安く買えるのでは?」と質問すると、「フィッティングしてサイズをちゃんと確かめたいので」ときっぱり。“安いから失敗しても仕方ない”ではないんだなと、感心してしまった。

 下北沢には珍しいトラッドスタイルの2人組を見つけ、自身もトラッドマンである取材担当はすぐさま声掛け。しかし、まだ買い物前とのこと……。と翌日、イチローさん(左)から「あの後、『チャンピオン(CHAMPION)』の“リバースウィーブ”を買いました。しかも今、話題のファイザー(PFIZER)のロゴ入りです!」と連絡が。聞けば、“企業モノ”好きなんだとか。

 ドイツ出身のアナさんは一見シンプルながら、オリジナリティーあふれるアイメイクや、カチューシャ代わりのバンダナにパール調のネックレスを巻き付けるなど個性が爆発していた。そんな彼女の眼鏡にかなったのは、オジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)のロックT。「ドイツはテクノのイメージ」と話すと、「そう?でも私はロックが好きなの」とぴしゃり。わが道をいくスタイルは、下北沢的ファッションのお手本かも?

 「メンズライクな服が好き」というセイラさん。この日は、ずっと気になっていたというオーバーオールを初めて購入。彼女が選んだのは、アメリカの大手百貨店J.C.ペニー(J.C. PENNEY)のプライベートブランド「ビッグマック(BIG MAC)」のもので、1980~90年代製。ブルーもまだ濃く残る。ビンテージデニムウエアの高騰が続く中、5000円以下で狙えるオーバーオールは狙い目かもしれない。セイラさんも「税込3500円という安さから、挑戦しようと決めました」とご満悦だった。

 初々しいカップルと思って声を掛けると、「いえ、今朝初めて会ったんです」と言われ、「えっ、どういうこと??」としばし言葉を失う。詳しく聞くと、もともとインスタグラム(INSTAGRAM)上の知り合いで、“一緒に下北沢で買い物しよう”になったそう。そういうパターンがあるのですねとおじさん、大いにジェネレーションギャップを感じました……。撮影の時点で彼は5点、彼女は4点をお買い上げ。「まだまだ買います!」と息巻いていた。

 10代の女子2人が持っていたのは、全品税込770円の「スティックアウト」の買い物袋。戦利品はどちらもクルーネックのスエットだった。「本当に丸首のスエットが多いなぁ」とぼそっと言うと、「だって、下北沢って安いスエットを買いに来る街でしょ?」と彼女たち。えっ、そうなの?でも、そう考えてみれば、無作為に声を掛けた男女が皆スエットを買っていたのも納得。“リバースウィーブ”がけん引する形で若年層にスエットブームが広がり、しかし“リバースウィーブ”の値段は2、3倍に高騰……。どうしてもなこだわりがない層に、3000円以下のスエットが受けている構図か。

 2週にわたって行った下北沢スナップの最後を飾ってもらったのは、いかにも古着好きな彼。「今日はソリッドな着こなしですが、インパクトのある小物が欲しくて」と、「コンバース(CONVERSE)」のヒョウ柄ミドルカットを購入していた。「下北沢にはどれくらいの頻度で来ます?」と問うと、「ここで働いているので週に5回ほどです」との回答。そりゃ下北沢っぽいはずですね、失礼しました……。

<まとめ>

 下北沢を行く人の“買い物袋所有率”について、2日間同行してもらったカメラマンに聞いてみた。誘導してはいけないと、せーので言った結果は、2人とも「6割」だった。買い物袋を複数持つ人も多く、「下北沢では買い物袋を持った若者がたくさん闊歩している」は事実だった。

 そして予想以上に若い。今回撮影させてもらった14人は16歳から33歳までで、平均年齢は22歳。取材班に“若い人を撮ろう”という意図はなく、買い物袋を持った人を追った結果だった。学生服姿もちらほら見かけたので、街全体で見たらもっと低いのかもしれない。

 また、これは“スナップあるある”なのだが、なかなかの確率で断られる原宿などに比べ、8割近くが協力してくれ、もともと下北沢が持つ下町感とも相まって、すごくフレンドリーな印象だった。

 若者ファッションが分かったつもりになっている40代以上の“うるさ方”も次の週末、カフェのテラス席でお茶などしつつ下北沢ウオッチングしてみては?きっとポジティブなパワーをもらえるはずだから。

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NEWS 02

大丸松坂屋、タワーマンション住民に「外商サービス」

 大丸松坂屋百貨店は、大阪市で開発中のタワーマンションの住民向けに外商サービスを提供する。個人消費が低迷する中でも旺盛な消費意欲を持つ富裕層に狙いを定め、百貨店と接点が少なかった新しい世代を取り込む。特定のマンションおよび契約者全体をサービス対象とするのは同社にとって初めて。

 東急不動産、大和ハウス工業、住友商事、コスモスイニシアの4社が大阪市中央区南本町で開発する43階建てのタワーマンション「ブランズタワー大阪本町」の契約者302戸が対象。このマンションは2023年11月に竣工し、24年3月の引き渡しを予定している。

 マンションの購入者は「大丸松坂屋お得意様ゴールドカード」に入会することで、徒歩15分の場所にある大丸心斎橋店の外商サービスを受けることができる。同店で買い物をした品物はマンションまで届けられる。大丸松坂屋のグループ会社が、コンシェルジュサービスおよびマンションの最上階にあるカフェやバーを運営する。マンションの共用部では催事なども開く。

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最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。