Fashion. Beauty. Business.

TOPICS

あれ以来、UAではなくユナイテッドアローズ

 コスメブランドのネーミングに関する記事、非常に面白く読みました。コーセーの「雪肌精」やポーラの「リンクルショット」では、ブランドのフォントに対する想いまで。いずれも素敵ですね。

 以前後輩に「UAは若い世代に通じないかもしれないので、ユナイテッドアローズと書き換えて良いですか?」と尋ねられて以降、極力「ユナイテッドアローズ」と口にするようにしています(笑)。「アローズ」でもなく、「ユナイテッドアローズ」です。従業員を象徴する一本一本の矢が、目標に向かって突き進む全体像を表現したのが「ユナイテッドアローズ」。素敵だからです。この想いが、この世界に、新たなファンを誘う1つの方法かもしれない、そう思うのです。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

あなたはいくつ知ってる? 有名コスメブランドのネーミングの秘密

 「満ち足りた生活」「3つのノン」「凜とした女性の立ち姿」と聞いて、あなたは何のブランドのことかお分かりになるだろうか? 今回は誰もがきっと1度は耳にしたことがある、「有名化粧品ブランド」のネーミングの秘密をご紹介。意外な名前の意味や、ブランド名に込められた思いをひも解きたい。

肌の刺激となる3つの要因に対して「ノー」を宣言
「ミノン」

 「ミノン(MINON)」の由来は「3つのNon(ノン)」。具体的には「Non allergic (ノンアレルジック=アレルギーの原因物質を極力使わない)」「Non toxic(ノントキシック=低刺激性)」「Non alkaline(ノンアルカリ=アルカリ性ではない)」である。

 敏感肌という言葉が一般的でなかった1973年から、このポリシーを守り続けるミノン。現在に至るまで、赤ちゃんからお年寄りまで、安心して使える製品作りにこだわっている。ブランドカラーは、優しさを表現した穏やかなピンク。ブランドを代表する洗浄シリーズのロゴ上には、「肌とやさしさのあいだに。」というメッセージを配置している。

ギリシャ語で「満ち足りた生活」を意味するロングセラー
「ビオレ」

 「ビオレ(BIORE)」の名前の由来は、ギリシャ語の「Bios(生活)」+「Ore(満ち足りた)」。肌の調子がいいと、前向きで充実した生活が送れる、前向きで充実した生活をしていると、肌の調子がいい……そんな好循環を表現している。

 洗顔料といえば、まだ石けんが主流だった時代から、研究開発に7年を費やして誕生したビオレ。1980年に「ペーストタイプの洗顔料」が登場して以来、突っ張ることなく肌に優しい洗い上がりが、ニキビに悩む若年層を中心に支持されている。ビオレのロゴは、世界共通。白地にディープブルーの文字で「清潔」と「すがすがしさ」を表現している。

名づけ親は当時の社長。「雪のように透明感あふれる肌」を表現
「雪肌精」

 1985年に誕生した「雪肌精(SEKKISEI)」の名づけ親は、当時コーセー社長であった小林禮次郎。実は「〇肌精」という後ろの2文字はすぐに決定したものの、最初の1文字だけがなかなか決まらなかった。数百にも及ぶ候補の中から「女性の肌を雪のようにみずみずしく、透明感あふれる質感に導きたい」という願いを込めて、最終的に小林社長が「雪」という1文字を選択したという。

 ロゴには長年、漢字の曽蘭隷(そうらんれい)書体を用いていたが、2020年のブランド誕生35年を機に初のリブランディングを実施。グローバルでの認知度向上を視野に入れ、メインのロゴをアルファベット の「SEKKISEI」に変更。漢字の「雪肌精」においては、日本独自のモダンな明朝体に刷新した。

クールでシャープな世界観を体現する「架空の人物」
「ケイト」

 「ケイト(KATE)」とは、ブランドのテーマである「クールでシャープな世界観」を体現する架空の人物。「短く覚えやすい」名前であること、ルールにとらわれない攻めのメイクを想起させる「語感」にこだわり、複数の人物名から選定された。

 ブランドカラーの黒と赤を用いたロゴは、「こびない芯の強さ」「クール&シャープさ」を印象づける、強く鋭いシンプルな字体。ほんの少し横に広がるデザインで、揺るぎない自信を表している。2014年から海外展開を視野に入れ、日本の象徴となる“TOKYO”の文字が加えられた。

「すっくとまっすぐに立つ」、凜とした女性像
「スック」

 「スック(SUQQU)」は、文字通り「すっくと、まっすぐに立つ立ち姿」のこと。自立している一方で、みずみずしく艶やかな印象を失わない、凛とした女性像を表している。

 ロゴは同じく、「すっくとした立ち姿」を表現した縦書きのデザイン。丸みを帯びたアルファベットは、りりしさとたおやかな女性らしさを感じさせる書体だ。2003年のデビュー当初は大人の女性をターゲットにしていたが、現在はカラーアイテムを中心に20代にも幅広く支持されている。

フランス語で「化粧」を意味する、王道メイクブランド
「マキアージュ」

 「マキアージュ(MAQUILLAGE)」は、フランス語で「メイクアップ・化粧」を意味する言葉。時代を超えた本物であること。そして上質な美しさを追求する「メイクアップの王道ブランド」として、この名前がつけられた。

 ロゴデザインはタイポグラフィの大家、故ヘルムート・シュミットによるもの。ベースのフォントは、強い縦線と繊細なラインのコントラストが美しいモダン・ローマン体。大文字と小文字を組み合わせる自由な発想は、機能性とエレガンスを融合したマキアージュ・デコ(アール・デコから着想したブランド独自のスタイル)を象徴している。

「3」は、想像を超える「第3の価値」を生み出す数字
「スリー」

 ブランド名の「スリー(THREE)」は数字の「3」、創造を表す数字であるという。相反する2つの概念―――例えば、自然とテクノロジー、不変の条理と移りゆくモードなど、異なる2つの価値を掛け合わせて、想像を超える「第 3 の価値」を生み出すブランドでありたいという願いが込められている。

 名づけ親は、グローバルクリエイティブ ディレクターのRIE OMOTO。ロゴは力強さとエレガントさを兼ね備えた、シンプルな書体を採用している。「3」にちなんで、スリーでは毎年3月3日に限定のコレクションを発売している。

スキンケアの楽しい気分を、ロゴとまつ毛で表現
「ルルルン」

 大容量フェースマスク「ルルルン(LULULUN)」のブランドコンセプトは、「ごきげんをつくる」。ブランド名には、肌をいたわることで、「ルルルン♪」と楽しい気分になってほしいという願いが込められている。ロゴは、肌がじんわり保湿される様子を表現した、柔らかな書体。製品のシンボルであるまつげのイラストは、女性が目を閉じて「ルルルン♪」と鼻歌を歌っているような姿を表現している。

 ブランドが創業した2011年、フェースマスクはまだ「特別な日のケア」というイメージが強かった。同年発生した東日本大震災の経験により、開発チームは「特別じゃない日なんてない、毎日を特別な1日として過ごせるように」という願いの下、毎日使える大容量フェースマスクの開発に注力したという。

ブランドの創設者と、家族の名前から命名
「シロ」

 「シロ(SHIRO)」は、創設者である今井浩恵の名前「HIRO」と、今井の大切な家族(息子たち)の名前の頭文字「S」を融合したブランド名。創業時から天然素材の可能性を信じ、その機能を引き出す製品作りを続けてきた今井は、2015年に前身となるブランドの世界観を強化し、「シロ」という新たなブランドへと刷新した。

 2019年には世界展開を視野に入れ、ロゴを力強く存在感の際立つゴシック調の太字へと変更。ロゴのカラーは“SHIROネイビー”と呼ばれる落ち着きのあるネイビーブルー。存在感がある一方で、自然素材を用いた優しいもの作りの姿勢や、親近感を表現している。

「シワ」に「狙いを定める」、効果にこだわるネーミング
「リンクルショット」

 日本で初めて、医薬部外品として「シワ改善効果」が承認され、その後に巻き起こった「シワコスメブーム」をけん引したポーラ(POLA)のリンクルショット。「リンクル」はシワ、「ショット」にはシワに狙いを定め、その根本要因に迫るという意味が込められている。

 ロゴは女性の肌悩みに誠実に応えたいという思いを「手書き風のサイン」で表現。歴史上の著名人のサインを参考に、何種類もの候補から決定したという。ボトルのカラーは宇宙服にインスパイアされたチャレンジングオレンジ。シワ改善という、前人未踏の領域に挑戦したいという、ブランドの強い意志を表している。

トップページに戻る
NEWS 02

「ザラ」からコスメラインが5月13日に発売 130色以上が登場、価格は1190〜3590円

 「ザラ(ZARA)」は5月13日、コスメライン「ザラ ビューティー(ZARA BEAUTY)」を発売する。高品質な成分やクリーンでクルエルティーフリー(動物実験を行わない)な製法、詰め替え可能なパッケージにこだわり、130色以上のカラーバリエーションをそろえる。肌色や性別、年齢、スタイルを問わず使える、個性を尊重したメイクアップコレクションだ。国内では新宿店と公式ECサイトで取り扱い、オンラインではバーチャルで試せるサービスを提供する。以前も限定でリップなどを発売していたが、フルラインアップのメイクコレクションは初めてだ。

 コレクションは世界各都市のファッションウイークでランウエイのメイクアップを手掛けてきたメイクアップアーティストのダイアン・ケンダル(Diane Kendal)が監修した。デビュー製品にはマットなリップスティック14色、サテン仕上がりのリップスティック8色、色付きリップバーム5色、デミマットなリップスティック10色、リップオイル4色、リップグロス4色、6色入りのアイシャドウパレット5種、2色入りのアイシャドウパレット9種、リップやアイなどマルチに使えるピグメント4色、アイライナー1色、3色入りのチークパレット3種、ブロンザー9色、チーク9色、ハイライター2色、ネイル39色、ブラシ6種をそろえる。価格は税込1190〜3590円。ここまで多くのカラーを一堂にそろえるのは、あらゆるシーンのメイクアップを可能にするためだという。ダイアンは「『ザラ』は幅広い年齢やシーンのための洋服をそろえ、あらゆる人が着られるワードローブを提供する。そのインクルーシビティをメイクでも表現したく、メイク初心者であっても、誰もが簡単に使えるようなテクスチャー、パッケージ、形、色合いなどにこだわった」と説明する。

 製品は一部を除き詰め替え可能で、白を貴重としたシンプルなパッケージを特徴とする。エヴァ・ロペス・ロペス(Eva Lopez-Lopez)「ザラ ビューティー」ディレクターは「クリーンな処方とパッケージに仕上げるのはわれわれの使命だった。クリーンであって包括的、さらに求めやすい価格にするのはとてもチャレンジングだった。物によっては開発時間が長くかかってしまったりして、マスカラは今まさに処方を完成させている」。今後はマスカラに加えファンデーションも発売するという。

 ダイアンが作ったルックブックは、美しさと個性の多様な解釈を称え、スティーブン・マイゼル(Steven Meisel)やデビッド・シムズ(David Sims)、マリオ・ソレンティ(Mario Sorrenti)など、世界に名を連ねる写真家が撮り下ろした。なお、同コレクションは5月12日にヨーロッパ、アメリカ、韓国、オーストラリア、ニュージーランドで、13日に日本と中国で発売後、6月には中東でもデビューする。一部の店舗では専用の売り場を設ける予定だ。

トップページに戻る

最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。