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34年ぶりの開催

34年ぶりという東京での世界陸上(9月13〜21日)開催を控え、今週はスポーツメーカー各社の取材でてんてこ舞いになっています。そんな中の1つが、本日1本目でご紹介している原宿の「ナイキ」の新フラッグシップストア。ランニングカテゴリーに注力した店で、ランニングフォームの分析サービスも導入。アスリートや競技第一という、「ナイキ」の原点であり昨年来改めて重視している価値観を強く感じる売り場です。

2本目でご紹介するのは、サザビーリーグがオーガニックスキンケアの「ネロリラ」を譲受し、子会社のICL(『アフタヌーンティー・リビング』の運営会社)で運営していくという旨のインタビュー。ICLの高下泰幸社長は、「アンダーアーマー」のドームやアシックスのご出身なんですね。なんだかちょっと意外!…え?話を無理やり世界陸上に持っていくなって?34年ぶりに免じてお許しください!

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

ナイキが原宿の旗艦店を真隣に移転 軸はランニング、走り方分析サービスを世界で3番目に導入

ナイキ(NIKE)は9月11日、原宿の旗艦店を移転増床オープンする。2009年にオープンした表参道通り沿いの旗艦店を8月末に閉店していたが、その真隣に建て替えられた原宿クエストビルの1〜3階に、総面積1860平方メートルで出店。1階は注力カテゴリーのランニングにフォーカスし、米ポートランド本社のラボなどでエリートアスリート向けに提供していたランニングフォームの分析サービスの一部を店頭に導入した。「アスリートや競技をブランドの中心に取り戻す」という近年のブランド方針を象徴する店舗だ。

「原宿はグローバルで見ても重要な店舗。新しいフェーズを切り開く店として、商品だけでなくサービス、体験を含め革新的なものを提供していく」と、小林哲治ナイキ ジャパン ジェネラルマネージャー兼VPは話す。

走り方改善のワークアウトや
適したシューズを提案

1階入り口すぐは、ランニングシューズに絞った壁面陳列“フットウォール”だ。エリートランナー向けから初心者向けまで製品をラインアップしている。機能別のランニングシューズのフラッグシップ3モデル“ペガサス”“ボメロ”“ストラクチャー”と、“アルファフライ”“ヴェイパーフライ”などのレーシングシューズ、トレイルランニング用シューズをメンズ、ウィメンズ共に陳列。“ボメロ プラス”で原宿店限定カラー(2万2000円)も企画した。

ウォール裏が、ランニングフォーム分析サービス“NSRL Form”のための小空間になっている。NSRLは、ナイキスポーツ研究所(Nike Sport Research Lab)の頭文字。トレッドミルが中央に置かれ、壁面には6つのカメラ(iPhone)を設置。2分間の計測で体の150カ所のデータを捉え、横ぶれ、腰の沈み、内寄りの着地、上下動、上半身の傾き、膝下の振り出し、という6要素(前半3つが安定性の指標、後半3つが力の指標)と、ケイデンス(1分間あたりの歩数)、着地部位でフォームの特徴を捉える。それを元にナイキ独自の分析を行い、改善ポイントと、改善するのに有効なワークアウトプログラムをナイキのフィットネスアプリと連動して提案。最後に、フォームに適したシューズも数型推薦する。

人気のカスタマイズコーナーも

“NSRL Form”は24年11月に中国・上海の店舗に初導入し、原宿と同タイミングで英ロンドンの店舗にも導入。原宿が世界で3店舗目となる。1コマ15分の予約優先制で、連日11〜20時の計測を受け付けており無料。予約は公式サイトから。

1階はランニングシューズのほか、ランニングウエアや雑貨、ランステーションとしてのロッカーも設置。SNSの拡散などで年々人気が高まっているというカスタマイズコーナー“NIKE BY YOU”、アウトドア向けの「ナイキ ACG(NIKE ACG)」で構成する。

マネキンでスタイリング提案強化

2階はウィメンズとキッズ、3階はメンズ、「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」、バスケットカテゴリーをラインアップ。いずれもマネキンを移転前の店舗よりも増やし、シューズからライフスタイル用途やトレーニング用途のウエア、小物まで全身でのスタイリング提案を強化。各階に設けたフットウォールは、シューズをカテゴリー別に分かりやすく展示している。

キャサリン・ポー/ナイキスポーツ研究所シニアディレクター
「全てのランナーに提供できることは誇り」

「ナイキスポーツ研究所は1980年代に設立された。科学者、生体力学の専門家、エンジニア、デザイナーらさまざまな分野の担当者が1カ所に集まり、アスリートのパフォーマンスを高め、イノベーションにあふれたシューズやアパレルの開発を進めている。今回、原宿店に導入するランニングフォーム分析サービスの“NSRL Form”は、エリートアスリート向けに提供してきたサービスを一般アスリート(消費者)にも提供するものだ」

「共同創業者のビル・バウワーマンが手作業で陸上用スパイクを作っていた時代から、われわれは常にアスリートの声を聞き、限界を超えることを追求し、可能性を探ってきた。マラソンで人類初の2時間切りを目指したプロジェクト“ブレーキング2”、女子1マイル走で初の4分切りを目指した“ブレーキング4”も、共にトップアスリートと共に行った挑戦だった。このようにエリートアスリートに提供してきたサービスを、“NSRL Form”によってあらゆるレベルのランナーに提供できることを誇りに思う」

「“NSRL Form”は、横ぶれ、腰の沈み、内寄りの着地、上下動、上半身の傾き、膝下の振り出し、という6要素を元にランニングデータを分析し、ナイキのアルゴリズムを使い、そのランナーが意識すべきことを伝える。個人に合ったアドバイスができ、シューズを勧めるだけでなく、本人が自身の動きを理解することができる。分析結果は動画を除いて、その人の登録Eメールにも送付する」

「“NSRL Form”は他社が提供している分析サービスとどう違うのかと聞かれることも多いが、他のサービスは足や足首にフォーカスしたものがほとんど。われわれは体全体の動きのデータを取り、分析する。そして、(個人のコンサルタントが提供する分析などに比べて)定点カメラによるデータ採取、われわれが長年研究・蓄積してきたアルゴリズムに基づく分析ゆえ、客観性がある。さらに、店頭でのサービス導入により、規模の拡大が可能だ。“NSRL Form”は既に約1万人に体験してもらい、24年11月に導入した上海の店舗でも既に多くの人に試していただいている。そのデータも蓄積している。ランニングが軸となるが、今後は他のスポーツカテゴリーにおいても、このようなサービスを提供したいと考えている」

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NEWS 02

「ネロリラ」を譲受したサザビーリーグ傘下「アフタヌーンティー・リビング」事業会社の社長に聞く その魅力と今後のビジネス

サザビーリーグは国産オーガニックスキンケアブランド「ネロリラ ボタニカ(NEROLILA BOTANICA)」をビーバイ・イーから譲受した。今後はサザビーリーグの100%子会社で「アフタヌーンティー・リビング(AFTERNOON TEA LIVING)」を運営するICLがブランド名を「ネロリラ(NEROLILA)」に変更してリブランディング。公式ECを立ち上げ、全国でポップアップを実施するなどして、育成する。なぜサザビーリーグは、国産のオーガニックスキンケアブランドを手掛けるのか?ICLの高下泰幸社長に聞いた。

PROFILE: 高下泰幸/ICL社長

高下泰幸/ICL社長
PROFILE: 1973年生まれ、京都府出身。95年に東京大学工学部を卒業し、五洋建設へ入社。土木設計部などを経験したのち、「アンダーアーマー」の総代理店であるドームの取締役 マーケティング本部長を2003年から務め、15年からアシックスジャパンで事業戦略統括部長兼マーケティング統括部長などを歴任。17年ラバインターナショナル(LAVA International)取締役 経営企画&マーケティング管掌を経て、19年に執行役員 営業統括としてサザビーリーグへ入社。20年からカンペールジャパン社長を務め、23年から現職 PHOTO : SHUHEI SHINE

ブランドの骨格を踏襲しつつ、ICLの知見を活用

WWD:「ネロリラ ボタニカ」の譲受を決めた経緯は?

高下泰幸ICL社長(以下、高下):製品のクオリティーが高く、ブランドストーリーもしっかりしているので、「このブランドをもっと成長させたい」という気持ちが強かった。ビーバイ・イーの杉谷惠美代表やブランドを立ち上げた早坂香須子さんとも話してストーリーの素晴らしさに触れ、「こんなに素晴らしいブランドが多くの人に知られていないのはもったいない」と思った。サザビーリーグのマーケティング力や店舗開発・運営力を活用し、一人でも多くの人に届けたい。

WWD:ICLの、どんな強みを活用してブランドを広げていく?

高下:サザビーリーグとしてオーガニックコスメを手掛けるのは初めてだが、物流などのインフラが整っているので、スピード感をもって事業を拡大できる。また、ブランドのストーリーを伝えるのが得意な、サザビーリーグの知見を生かしたい。譲受を機にブランドコンセプトを「肌が深く満ち 心がほどけるひとときを」に刷新し、統一感がなかったパッケージをよりシンプルで、性別を問わず手に取りやすいデザインに統一する。使ったときに「心がほどける」感覚が一番の強みなので、開けると箱がほどけるパッケージに変更。ブランドロゴのOの切れ目も「ほどける」を表現している。また既に「ネロリラ」の愛称で親しまれていたため、ブランド名を「ネロリラ」に変更する。一方、処方は素晴らしいので、変えない。ビーバイ・イーから開発者も引き継ぎ、かつての人気製品などを復刻しながら、製品ラインアップを拡充したい。

なお顧客のターゲット層が異なるので、「アフタヌーンティー・リビング」の店舗で取り扱うことは現状考えていない。一方で、「ロンハーマン(RON HERMAN)」や「エストネーション(ESTNATION)」での展開は視野に入れている。また「アフタヌーンティー・リビング」では雑貨が作れるので、「ネロリラ」で必要となれば限定ポーチやショッパーならワンストップで開発できる。これまでICLは「アフタヌーンティー・リビング」一本足だったが、そこに並ぶ二本目の柱ができた。「ネロリラ」の独自性を維持しつつ、刺激し合う存在として育てていく。

WWD:これまでの「ネロリラ ボタニカ」の販路は?

高下:ビーバイ・イーの直営店シンシア・ガーデンや、伊勢丹新宿本店のビューティアポセカリー、「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」など、最大全国80店舗ほどで販売していたが、譲受のタイミングで販路は見直した。今後もシンシア・ガーデンや伊勢丹新宿本店には卸しつつ、そのほかでの販売は一度停止する。最初は自社ECを中心に販売し、ポップアップを皮切りに直営店の展開を目指している。中長期的には直営店を数十店舗構え、一人でも多くのお客さまと接点を持ちたい。ポップアップ第1弾は9月25日〜10月3
0日にニュウマン高輪で開催する。ブランドとして単独のポップアップは今回が初めてだ。

ターゲットを広げ、直営店の拡大に着手

WWD:「ネロリラ ボタニカ」は9年間で9SKUと、厳選した展開にこだわってきた。

高下:限定品などは投入しつつも、定番品については、世の中になかった自分たちが納得いくものを何年もかけて試作し、「これだ」というものができたら発売する、という方針だった。今後はSKUを徐々に増やし、ポップアップを重ねてブランドとしての存在感を拡大する。エントリー商材となるハンドクリームやボディーケア製品の発売も視野に入れ、開発のスピードを上げていく。

WWD:ブランドのターゲットは?

高下:これまでの顧客層は30代後半〜50代のオーガニックコスメが好きな人やライフスタイルにこだわりを持つ女性、早坂さんのファンらが中心だった。だが純粋にいい製品なので、今後はコスメを使っている人は全員がターゲット。美容やファッションに関心が高いアーリーアダプターや、美容男子にも積極的にアプローチする。

WWD:近年オーガニック・ナチュラルコスメが苦戦しているという話も聞くが、今後の「ネロリラ」の育成方針は?

高下:オーガニックで推していくつもりはない。スキンケア製品として、品質も使用感もいいことを強調していく。処方にこだわり、原料から工場で作っている製品からは、植物本来の香りやエネルギーを感じられ、滝行の後の心まで澄んだような自宅で味わっているような気分になる。朝晩のルーティンだったスキンケアが心ほどける時間に変わり、自分を大切にしていると実感できるーーそんな体験を届けたい。まずは使ってみてもらえたら、そのよさに気づくと思う。

WWD:今後の展望は?

高下:まずはポップアップで知見を集め、直営店の出店を進める。最初は売り上げ目標を重視せず、5年、10年かけてしっかりとブランドを成長させていきたい。明確な数字は決めていないが、競合他社や日本市場を見たときに、数十億円の規模までビューティ事業を拡大することを一つの目標としている。

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最新号の読みどころ

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