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「エディー・バウアー」の新章
「エディー・バウアー」が新体制でいよいよ出店開始です。当初は2023年春夏からの国内再展開予定だったものが、半年後ろ倒し。サブライセンスを得て手掛ける岐阜のメンズアパレル、水甚の得意分野であるダウンアウターを生かせる秋冬シーズンということで、戦略的にちょうどいいのかもしれません。
類似する状況のブランドにマッシュホールディングス体制となった「バブアー」がありますが、こちらは先日の報道にもあった通り、メンズだけでなくウィメンズにも客層がじわじわ広がって順調な出足のよう。「エディー・バウアー」もブランドの歴史やオリジンをうまく活かして、再び輝く存在になってほしいなと思います。
新生「エディー・バウアー」出店開始 10月に4店舗
メンズアパレルの水甚(岐阜市、中村好成社長)は、米カジュアルブランド「エディー・バウアー(EDDIE BAUER)」の出店を開始する。10月6日にモラージュ菖蒲(埼玉県)、イオンモール福岡(福岡県)、高槻阪急スクエア(大阪府)、10月13日にららぽーと愛知東郷(愛知県)をそれぞれ開く。同ブランドは日本法人エディー・バウワー ジャパンが2021年12月に全店舗およびEC(ネット通販)サイトを閉鎖し、日本から撤退していた。その後、伊藤忠商事が日本におけるマスターライセンス権を取得し、水甚がサブランセンス契約を結ぶ新体制が発足した。
今秋オープンする4店舗はいずれもベッドタウンに立地するショッピングセンターで、売り場面積は165〜198平方メートル。以前の標準売り場面積330平方メートルに比べて小ぶりにし、商品数も絞り込む。メンズとウィメンズの比率は6対4にし、夫婦やカップルで買い物を楽しめるようにする。
米国ではオーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)がブランドを保有し、商業デベロッパーのサイモンプロパティーズとの合弁会社スパークグループが製造・販売している。現在、グローバルでリブランディングに取り掛かっており、ロゴや商品も装いを新たにする。日本の店舗デザインでは先行して新しいロゴが採用される。商品はこれまでラギッドなアウトドカジュアルの印象が強かったが、今後は実際のアウトドアフィールドで活躍するようなテクニカルな服も増やしていく。
日本のライセンス商品もこの路線を取る。為替や原材料費の高騰を受けて、以前に比べて価格は1〜2割ほど上がる。定番のダウンジャケット“スカイライナー”が3万6000円、その他の軽量ダウンジャケットが1万6000〜1万8000円。また直営店で売る商品とは別に、日本独自のハイエンドラインを企画し、一部の大手セレクトショップで販売する。従来の顧客よりも若い30〜40代へも訴求する。
水甚は「ファーストダウン」などのブランドを製造・販売するほか、量販店や専門店向けのOEM(相手先ブランドの製造)を多く手がけており、モノ作りには定評がある。特に年間約100万点を製造するダウンジャケットを得意としており、「エディー・バウアー」の商品にもその知見を生かす。また20年に倒産したレナウンから「アーノルド・パーマー」の事業を継承し、直営店運営のノウハウも身につけてきた。中村有孝取締役は「ブランドの圧倒的な知名度、そして当社が培ってきたモノ作りと店舗運営の経験を合わせ、幅広いお客さまに届けたい」と話す。
水甚は当初、「エディー・バウアー」を23年春から国内展開する予定だったが、半年遅れでのスタートとなる。年5店舗のペースで出店を重ね、5年後には25店舗で売上高25億〜30億円の事業規模を目指す。
押さえておきたいファッション用語:記者談話室vol.95

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。
第95回は「押さえておきたいファッション用語」です。店頭では秋物商戦が本格化していますが、今シーズンのトレンドになっている「ゴープコア」「クワイエットラグジュアリー」「エフォートレス」といった言葉をご存知でしょうか。今回は今さら聞けない注目ワードについて、五十君記者がやさしく解説します。
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