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ベルリン滞在16時間で「サンローラン」

2024年春夏メンズ・コレクションがいよいよ本格スタート。現在はイタリア・フィレンツェで見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ」を絶賛取材中です。フィレンツェ入りする前は、ロンドン・メンズ・コレクションと、ベルリンで「サンローラン」のショーも取材しました。ベルリン滞在16時間という強行スケジュールでしたが、鳥肌が立つほど美しい服と演出で、行く価値は十分すぎるほどありました。

そして、現場では海外のジャーナリストから「最近、東京のファッション・ウイークもいろいろなロケーションでショーをするようになったね」と言われました。デザイナーのみなさん、海外のジャーナリストやバイヤーも、東コレを結構見てますよ。こういう温度感は、現地に行かないと得られない情報ですね。引き続き、日本チームと協力しながら、ピッティ、ミラノ、パリというコレクションサーキットを全力取材してきます。ぜひリポートをご覧ください。

大塚 千践
NEWS 01

「サンローラン」鋭さを増す美学 2024年春夏メンズショーをベルリンで開催

「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、ドイツ・ベルリンで2024年春夏メンズ・コレクションをショー形式で現地時間12日に発表した。会場は建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)が1968年に手掛けた新ナショナルギャラリー(Neue Nationalgalerie)で、ガラスとスチールで構成する荘厳な雰囲気と、ルートヴィヒ建築の中でも最もミニマルなものの一つといわれる設計が特徴だ。世界から集ったゲスト約200人に披露した24年春夏メンズ・コレクションには、1982年の独仏映画「ケレル(Querelle)」で俳優ジャンヌ・モロー(Jeanne Moreau)が口ずさんだフレーズ“Each Man Kills The Thing He Loves (人は愛するものを殺す)”をタイトルに掲げた。

コレクションは、パワーショルダーのジャケットにスタンドカラーのシャツ、ハイウエストのシャープなスラックスとパテントレザーのヒールブーツを合わせたストライプのタキシードスタイルから始まる。ここ2シーズン継続している、ウィメンズ・コレクションとの流動性をさらに深めていく意思は、ファーストルックから明らかだった。

その後も、大きく張り出したスクエアショルダーのボクシーなジャケットと、2タックの細身のボトムのバランス感を終始共通させながら、インナーは「ケレル」で主演のブラッド・デイヴィス(Brad Davis)が着ていた胸元が大きく開いたタンクトップをサテンで再現し、ラヴァリエ仕立てのブラウス、スカーフを巻きつけたようなシフォンのトップスなど、クチュールのような素材使いで軽やかさを表現する。

クラシックとモダン、マスキュリンとフェミニンを縦横無尽に交差させるクリエイションは、「サンローラン」を象徴するモチーフ使いでも現れている。ポルカドットは肌が透けるシアー素材のトップスに、レオパードはオーセンティックなシャツやトレンチコートに用いて、コレクションにアクセントを加えた。ウエストがドローコード仕様のスラックスは、非日常なスタイルと日常を結びつけているようだった。

ベルリンと共鳴し合う美学

1年前にモロッコ・マラケシュで発表したコレクションから、アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vacarello)=クリエイティブ・ディレクターの美学は、さらにストイックに研ぎ澄まされている――そう確信したのは、ラストの演出だ。日が徐々に沈むと共に、ガラス張りの会場外に設置した巨大なライトボックスが強い光を放ち、フィナーレではモデルたちのシルエットが鮮明に浮かび上がる。そのバリエーションは決して多くないものの、スタイルをあえて絞ることで、メンズでは無二の世界観のアピールに成功しているといえるだろう。

前シーズンは、パリ・メンズ・ファッション・ウイークに参加しての発表だったが、今季は一転して、ファッション・ウイークのスケジュールから外れての発表となった。ヴァカレロ=クリエイティブ・ディレクターは、ベルリンについて「昔から好きな街で、若い頃はよく遊びに来ていた」と語る。コレクションには、ベルリンの街から着想を得た、どこかダークでノスタルジックなムードを盛り込んでいるという。昨今主流のエンターテインメントとしてのファッションショーの反対を行き、要素を限りなく削ぎ落としたルートヴィヒ建築と、「サンローラン」の研ぎ澄まされた美学が時を超えて共鳴し合う美しいショーだった。

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NEWS 02

スウェーデン発のスニーカーショップ「スニーカーズエンスタッフ」が東京店を閉店

スウェーデン・ストックホルム発のスニーカーショップ「スニーカーズエンスタッフ(SNEAKERSNSTUFF以下、SNS)」が、東京・代官山の「SNS トウキョウ」と隣接するカフェ&レストラン「SNS カフェ トウキョウ」の閉店を公式インスタグラムで発表した。閉店日は未定だが、日本語版の公式オンラインストアは継続するという。

「SNS トウキョウ」は、2019年に世界7店舗目かつアジア初の旗艦店としてログロード代官山にオープン。「SNS」の旗艦店は、その土地の風土や文化とスウェーデンやスカンジナビアの歴史をミックスした店舗デザインが特徴で、「SNS トウキョウ」はストックホルムを拠点とする「ボフィンク デザインスタジオ(Bofink Design Studio)」のジェニー・アスケンフォース(Jenny Askenfors)=リードデザイナーと、「SNS」共同創立者のエリック・ファーガリンド(Erik Fagerlind )とペーター・ヨンソン(Peter Jansson)の2人が担当した。

「SNS カフェ トウキョウ」は、20年に「SNS」初のカフェ&レストラン業態としてオープン。スウェーデンの伝統料理や渋谷の「キャメルバック(CAMELBACK)」と共同開発したカフェメニューを提供していた。

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最新号の読みどころ

記録的な熱波に見舞われた今季のメンズ・ファッション・ウイークは、価値観をアップデートする2つの意味での「解放」がキーワードになりました。1つは、堅苦しいイメージも強い伝統的なテーラードスタイルからの解放。もう1つは、「男はこうあるべき」という固定観念からの解放です。「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」や「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」に象徴される、繊細さや脆さを併せ持つしなやかなマスキュリニティー(男性性)の表現を起点に、メンズファッションの現在地を総括します。