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「様子見」から独自改革が始まる
ランバングループは最近、「セルジオ ロッシ」のCEO以外に「ランバン」のクリエイティブ・ディレクターにもメスを入れました。それぞれメゾンを傘下に収めてしばらくは「様子見」だったのでしょうが、いよいよ独自で改革していくのでしょう。
「ランバン」はプレタポルテ依存を抜け出し、バッグ&シューズなどのアクセサリーが柱になりつつあります。ただプレタポルテは、特に日本では難しい。そんな印象です。「セルジオ ロッシ」も、しばらくすると大きく姿を変えるのかもしれません。
「セルジオ ロッシ」のリカルド・シュットCEOが退任 「ウォルフォード」のCOOが暫定CEOに
イタリアのシューズブランド「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」のリカルド・シュット(Riccardo Sciutto)最高経営責任者(CEO)が退任した。後任として、オーストリアのレッグウエア「ウォルフォード(WOLFORD)」のポール・コルヴァ(Paul Kotrba)最高執行責任者(COO)が暫定CEOに就任した。
両ブランドは、いずれもランバン グループ(LANVIN GROUP)の傘下。コルヴァ暫定CEOは、「ウォルフォード」ではITやオペレーションの効率化や全社的な構造改革などを行い、黒字化計画を策定した。今後、「セルジオ ロッシ」の暫定CEOとして、小売りおよび卸のグローバルビジネス拡大に向けた指揮を取るとともに、新たなマーケットへのEC開拓や日本市場でのポジション強化に加え、急成長する中国ではブランドの存在感をさらに高めるべくサポートする。コルヴァ暫定CEOは、「海外の販売網を精査して質を高め、顧客に真のイタリアンラグジュアリーのフットウエアブランドを体感してもらえるよう尽力したい」と意気込む。
オーストリア出身のコルヴァ暫定CEOは、ニューヨークで15年以上、「ダナ キャラン ニューヨーク(DONNA KARAN NEW YORK)」と「DKNY」のグローバルセールスと事業開発を担当。その後、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)系の投資会社、Lキャタルトン(L CATTERTON)が擁するオーストラリアの大手水着ブランド「シーフォリー(SEAFOLLY)」のCEOを務め、「ウォルフォード」に入社した。
シュット前CEOは、伊ジュエリーブランド「ドド(DODO)」、トッズ・グループ(TOD'S GROUP)の「ホーガン(HOGAN)」などで要職を歴任。ケリング(KERING)が15年に「セルジオ ロッシ」の全株式を英投資会社インベストインダストリアル(INVESTINDUSTRIAL)に売却した後の16年4月にCEOに就任した。ブランド改革に乗り出して間もなく、17年春夏シーズンには人気コレクション“エスアールワン(SR1)“をスタートさせたほか、18年にはオムニチャネルプロジェクトに着手するなど経営手腕を発揮。日本と中国を中心に、アジアが主要マーケットとなった。製造拠点の伊サン・マウロ・パスコリにある自社工場を刷新しつつも、創業デザイナーのセルジオ・ロッシのアイデンティティーを継承し、7000足以上ものアーカイブを再解釈した。
21年には、中国の投資会社フォースン ファッション グループ(FOSUN FASHION GROUP、現ランバン グループ)が「セルジオ ロッシ」を買収し完全子会社化。22年1月には、同ブランドのアーティスティック・ディレクターにエヴァンジェリー・スミルニォタキ(Evengelie Smyrniotaki)が就任。また、同年にランバン グループが特別買収目的会社(Special Purpose Acquisition Corporation、SPAC)のプリマベーラ キャピタル アクイジション コープ(PRIMAVERA CAPITAL ACQUISITION CORP.)と合併し、ニューヨーク証券取引所に上場した。
ランバン グループの22年度の売上高は、前期比37%増の4億2200万ユーロ(約620億3400万円)と好調だった。「セルジオ ロッシ」の買収が追い風となった。なお、同ブランドは世界に63店舗を構え、22年の売上高は6190万ユーロ(約90億9930万円)だった。
「リーバイス」が誕生から150年を迎えた“501”のイベントをサンフランシスコで開催 東京でもコンサート
「リーバイス(LEVI’S)」は5月19日(現地時間)、アイコンジーンズの“501”の150周年を祝うイベント「ザ・リーバイス・501・エクスペリエンス」を開催する。18日には、プレスにイベントの中身を公開した。
27日までのイベントは、貴重なアーカイブ展示のほか、ポップアップ、デニムのカスタマイズファクトリー、ワークショップ、カフェなどで構成。アーカイブは1800年代の歴史的な遺産のほか、ローリングストーンズやローリン・ヒル(Lauryn Hill)、パティ・スミス(Patti Smith)、ゲイであることを公表したサンフランシスコ市長のハーヴェイ・ミルク(Harvey Milk)、スティーブ・ジョブス(Steve Jobs)が実際に着用したデニムを公開。日本にまつわるデニムでは、日本人愛好家から買い取った貴重なジーンズのほか、ビームスとタッグを組んで制作したデニムも並んでいる。
カスタマイズでは、150周年限定品を含む現行のコレクションに簡単な刺しゅうやワッペン、ステンシルを施すことができるショップから、1時間に1人だけ501の色からレーザーで施すウオッシュや柄、ダメージ、ペイント、箔プリントまでをフルオーダーできる特別なファクトリーをオープン。後者は要予約制で、フルオーダーの501と藍染のTシャツを300ドル(約4万円)で手に入れることができる。ここで期間中に制作するデニムは150本で、それぞれにナンバリングを施すという。
イベントは“501”が誕生したサンフランシスコにオマージュを捧げるもので、全世界は循環しない。ただ「リーバイス」は、一部展示やカスタマイゼーションについては、日本を含む世界の20都市で何らかのイベントを計画している。また世界最大級のヒップホップ・フェスティバルの「ローリング ラウド(Rolling Loud)」と協業するイベントについては、“501”のリベットの特許申請が受理された1873年の5月20日にちなんで今月20日、サンフランシスコのほか、ロンドンとパリ、そして東京でコンサートイベントを開催予定だ。
「リーバイス」は今年いっぱい、さまざまなイベントやプロモーションで“501”を盛り上げる。同ブランドは今年、全世界の“501”の売り上げをコロナのパンデミック前の170%に相当する8億ドル(1060億円)と見込んでいる。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。