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年商40億円ブランドの勢い

 クラネデザインの「クラネ」は、2023年1月期の売上高が40億円前後で着地する見込だそうです。コロナ前の20年1月期は同13億円なので、その伸長率は3倍以上。29年1月期には年商100億円を見据えているといいます。1本目の記事では、支持を集める理由について迫っています。戦略は、企画からデザイン、MD、プロモーションまで、いたってシンプル。とはいえ同じことをしても、売り上げをここまで伸ばすことは簡単ではありません。きっとそれらが松本恵奈社長を中心に、絶妙なバランスで成り立っているのでしょう。ものづくりのセンスやビジネスの嗅覚も大切ですが、まずは根底にチームビルディングありきなのだなと感じた記事でした。

大塚 千践
NEWS 01

コロナ禍を経て年商3倍 「クラネ」の“買う理由”のある服

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松本恵奈(まつもと・えな)/クラネデザイン代表取締役 兼 クリエイティブディレクター

2015年2月にクラネデザインを設立。“オリジナル スタンダード”をコンセプトにしたブランド「クラネ」をローンチ

 クラネデザイン(東京、松本恵奈社長)が運営する「クラネ(CLANE)」は、2023年1月期の売上高が40億円前後で着地する見込みとなった。これはコロナ前の20年1月期(13億円)と比較して3倍以上の伸長率だ。コロナ禍の傷が癒えないブランドも多い中、リアルクローズ市場で際立った成長を見せる。(この記事はWWDジャパン2022年12月12日号からの抜粋です)

 コロナ禍を経て、SNS上でいかに存在感を発揮できるかが消費者のブランド認知や購買に直結するようになった。「クラネ」はその状況下における顕著な成功例でもある。コロナ禍直後は業績を落としたが、松本が自身のYouTubeチャンネルを開設するなど発信を強化したことでV字回復した。

 20年1月期以降、直営4店(ルミネ新宿、伊勢丹新宿本店、表参道ヒルズ、ルクア大阪)の売上高は、年平均約1.5倍、ECは1.8〜2倍ペースの成長率で推移している。同ブランドはルミネ新宿で年2回、新作の先行受注会を実施しており、8月に実施した秋冬の受注会は「常に30人程度の並びが出る」ほどの盛況だった。22-23年秋冬シーズンも前年比57%増と好調。消化率は11月末時点で85%を超え、「セールで売るものがない」と話す。

 一時のブームにとどまらず継続的な成長を続ける最大の理由は、顧客(主に20〜30代の女性)が買うべき“説得力”のある服作りができているからだ。23年春夏はクラシックなムードに、ライトブルー・グリーンやサーモンオレンジなど透明感のある差し色で「肩の力が抜けた強さ」を表現する。松本は「ランウエイトレンドや他ブランドの動向は別段意識していない」と前置きした上で、「『こういう着方が正解』という押し付けがましい服は求められていない」と語る。その考えは、この日に松本が着用した春夏新作の装いにも表れている。ジャケット、ビスチェ、パンツは端正な3ピースとして着ることもできるが、ジャケットにはジップを随所に施し、袖を開けて肌をのぞかせれば艶っぽい雰囲気になる。程よく肩が落ちるシルエットや、シルクネップのオリジナルの生地など、日常からきれいめまで着られるバランスに整えた。

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NEWS 02

開発進む大阪・うめきた ファッションショーで「国際都市」へ変化アピール

 阪急電鉄はこのほど、大規模開発「うめきた2期地区開発プロジェクト」を進める大阪・梅田の駅北エリアで、住民参加型のファッションショーを実施した。

 うめきた2期地区開発プロジェクトは、阪急電鉄のほか三菱地所、オリックス不動産、積水ハウスなど計9事業者が関わる。JR大阪駅北の貨物ヤード跡地に、「(仮称)うめきた公園」を核として商業施設、オフィス、ホテル、レジデンスなどを備えた都市空間を作る。

 2013年に完了した1期開発では、複合施設のグランフロント大阪などが開業。しかし阪急本店など商業施設や娯楽が充実する駅南エリアと比較すると、にぎわいは少ない。阪急電鉄の不動産事業会社である阪急阪神不動産の谷口丹彦・開発事業本部うめきた事業部長は「(2期開発により)エリアの求心力をさらに高めていきたい」とする。

 外国人観光客の誘客にも重点を置く。開発エリアにはヒルトンのラグジュアリーホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪(WALDORF ASTORIA OSAKA)」が開業予定で、商業施設にはスパも併設する。2023年春には公園から直結するJRの新駅「うめきた」駅が新設され、関西国際空港から約50分でアクセスが可能になる。

ファッションショーを通じて
インクルーシブな未来都市を表現

 今回のファッションショーは、 “みどりとイノベーションの融合”“インクルーシブ”といった開発のテーマを周辺住民らに理解・浸透させる目的で、SUNデザイン研究所の協力のもと実施した。国籍や年齢、性別、障がいの有無などさまざまな人々がモデルとして参加。地元の古着店や松田直己デザイナーの「ニサイ(NISAI)」の服を着用し、公園計画地の芝の上を歩いた。

 うめきた公園は大阪・関西万博(25年)の開催に先立ち24年に一部を先行開園、27年春の全面開園を予定している。

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最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。