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アルノー会長と5人の子どもたち
先日のプラダといい、今回のLVMHといい、後継者を決める動きが活発ですね。ベルテッリCEOもアルノー会長も長男にその座を譲るようです。父が築いたLVMH帝国を、長男を筆頭に、長女と次男、三男、四男という5人の子どもたちで引き継いでいくのでしょう。それぞれのポジションは記事を確認のほど。アルノー家、磐石感がありますね。
売上高8兆円超のコングロマリットの継承は、兄弟5人で協力することが必須です。裏ではきっとさまざまなドラマが繰り広げられていますよね。LVMH帝国の栄華はまだまだ続きそうです。
「ルイ・ヴィトン」の親会社、一族支配を強化 ベルナール・アルノー会長の長男が持株会社のCEOに
LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)の一族による持株会社クリスチャン ディオールSE(CHRISTIAN DIOR SE)は、シドニー・トレダノ(Sidney Toledano)CEOの退任に伴い、アントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMH ヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージを新たなCEO兼副会長に任命した。なお、トレダノ前CEOは、引き続きLVMHファッショングループ(LVMH FASHION GROUP)の会長兼CEOを務める。
クリスチャン ディオールSEは、アルノ―会長兼CEO一族の主要な持株会社、フィナンシエール・アガシュ(FINANCIERE AGACHE)の傘下。フィナンシエール・アガシュはクリスチャン ディオールSEの株式資本の97.5%を保有しており、そのクリスチャン ディオールSEは、2021年12月末の時点でLVMHの株式資本41%と議決権の56%を保有している。
現在73歳のアルノ―会長兼CEOには5人の子どもがおり、それぞれグループの要職に就いている。長男のアントワンは、前述のほかにベルルッティ(BERLUTI)CEO兼ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)会長の役職も持つ。長女のデルフィーヌ(Delphine Arnault)はルイ・ヴィトンのエグゼクティブ・バイス・プレジデントなどを、次男のアレクサンドル(Alexandre Arnault)はティファニー(TIFFANY & CO.)のプロダクトおよびコミュニケーション部門のエグゼクティブ・バイス・プレジデントを、三男のフレデリック(Frederic Arnault)はタグ・ホイヤーのCEOを、四男のジャン(Jean Arnault)はルイ・ヴィトンのウォッチ部門マーケティングおよびプロダクト・ディベロップメント・ディレクターを務めている。
LVMHは2022年5月の株主総会で、CEOの年齢制限を75歳から80歳に引き上げることを承認。12月6日には、フィナンシエール・アガシュが株式合資会社となったが、これは同社の支配株主であるアガシュ コマンディテ SAS(AGACHE COMMANDITE SAS)の株式を5人の子どもたちに均等に分配し、一族による長期的なLVMH支配を盤石にするため。今回の人事により、それがいっそう強化された形となった。
韓国コスメ「ヒンス」の若者の心をつかむブランディング リアル店舗は「ライブ会場でアーティストに会う体験」
韓国コスメ「ヒンス(HINCE)」は東京・青山に日本初の旗艦店を11月26日にオープンした。国内ではルミネエスト新宿店に続き、直営2店舗目となる。2階建ての路面店にはメイクアップからフレグランスまで全製品が並び、パーソナルタッチアップカウンセリングやフレグランスのムエットサービスなど直営店ならではのサービスも展開する。
日本旗艦店はブランドが誕生した2019年から考えてきたといい、コロナ禍を経て実現した。SNS上で注目を集め、日本のオフラインチャネルも拡大する中、旗艦店はどういった役割を担うのか。「ヒンス」を展開するビバウェーブ(VIVAWAVE)のホ・ジェソク(Heo Jaeseok)社長にブランディングと今後の展開を聞いた。
──青山に旗艦店を構えた理由は?
ホ・ジェソク=ビバウェーブ社長(以下、ホ):「ヒンス」の旗艦店は最初から青山だと思っていた。青山は僕が高校生の頃から、東京に旅行に来ると立ち寄る大好きな空間。アートやファッショントレンドに対する感性が高く、この地域が持つ余裕のある雰囲気や店の並び、花屋、カフェなどは、「ヒンス」が追求する美学や感性に似ていると思う。またメインターゲットの20〜30代を意識した。
──旗艦店のこだわりは?
ホ:旗艦店は色味や質感、構造的な美しさを表現した空間で、最もブランドを肌で感じることができる場所だ。これまでオンラインと流通チャネルを通じてブランドのイメージやメッセージ、製品を試す機会を提供してきたが、さらにブランドが考えるイメージを物理的に実現しようと考えた。ライブ会場でアーティストに直接会う体験とも似ていると思う。
売り上げの7割はオンライン
ブランドのコアはリアルな場での交流
──これまでもポップアップストアなどリアルの場で展開してきたが、オフラインの位置付けは?
ホ:「ヒンス」は22年の売上高が前年から倍増ペースでの成長を記録しており、時期によって差はあるが売り上げのおよそ7割がオンラインだ。それでも「ヒンス」はリアルの場を重視している。20年からブランドが重視する高級感を持った百貨店、伊勢丹新宿本店や阪急うめだ本店、渋谷パルコなどで継続的にポップアップストアを開いてきた。われわれはリアルの場で出会ったお客さまとの交流がブランドのコアを形成すると考えている。店舗では空間が与える記憶や思い出をたくさんの人に感じていただき、「ヒンス」のファンになることを望んでいる。
──ブランドの成長要因をどう捉えている?
ホ:ブランドの“新しさ”を見せられたことだと思う。この“新しさ”は感度がよく完成度の高い新製品、立体的な物語、そして「ヒンス」らしい演出と表現力によって伝えている。当社はコスメブランドとして満足いただけるクオリティーの高い製品を発表することを最も重視しており、単なる消費財を超えたメッセージを伝えるためにキャンペーンを打っている。
──ブランドはどういったメッセージや物語を伝えている?
ホ:「ヒンス」が追求する美しさは、生まれつきの肌やカラー、髪などとメイクが調和し、魅力が倍増するもの。このブランド哲学は製品開発やクオリティー、マーケティングコミュニケーションで最も重視する部分だ。歌手が音楽で、映画監督が映像で物語を伝えるように、「ヒンス」も顧客との全ての接点でメッセージを伝えている。さまざまなメディアが発達した今、ブランドの直接的なコミュニケーションは必須だ。
SNS上の声をブランド計画に反映
──特にSNSを通じたコミュニケーションを得意とするが、SNSでは何を重視する?
ホ:1つはビジュアルイメージと消費者が知りたい情報とのバランス。ブランドがプレゼンテーションしたいデジタルコンテンツと、カラーコスメの発色やテクスチャーなど消費者が求める情報との両立が必要だ。2つ目は交流だ。SNSはお客さまの意見を見聞きできる窓口なので、メッセージや「いいね」、シェア、フォローなどに耳を傾け、ブランドの計画に反映している。このような戦略は国に関係なく共通しており、コンテンツのトーンも統一性を持っている。
──こうしたメッセージが日本の消費者にも届いている?
ホ:日本の消費者は自分の顔に調和する中彩度のカラーとポイントカラーのバランスが取れたメイクアップを好み、肌がきれいに見えるようベースメイクを行い、自分だけの雰囲気を演出することが得意だと思う。「ヒンス」が提案する美の哲学と日本のお客さまの美的感覚がいいシナジー効果を生み、日本の人たちにアピールできるポイントになったのではないか。また日本の消費者は他国に比べ、より繊細だと感じる。そのためコレクションのストーリー性やメッセージは、より詳しくテキストで伝えるように心がけている。
──日本国内では今後どのような計画をしている?
ホ:ブランドを体験できる空間の拡大と、美的感覚で共感できる作家やブランドとのコラボレーション、新製品に合わせた限定アイテムの展開などを行う予定だ。「ヒンス」にとって日本は売り上げトップ3の国、今後も積極的な投資を進める。
ユニークな方法や意外性のある場所で
ポップアップを計画
──空間の拡張はどのような形で行う?
ホ:まずは青山に旗艦店ができたので、旗艦店を中心にブランドを発信したいと考えているが、日本国内、海外においても店舗を増やしたい。韓国では来年上半期に旗艦店を出店する予定だ。日本では直営店を大阪や京都にも出せたらいいし、流通チャネルではお客さまが自由に試せる場を増やしたい。ポップアップストアも百貨店だけでなく、ユニークな方法や意外性のある場所で展開したいと検討している。
──ブランドとして今後の展望は?
ホ:「ヒンス」は初めからグローバルブランドを夢見て生まれた。現在は中国と東南アジア市場でもブランドを少しずつアピールし始め、アジア諸国を中心にポップアップストアや旗艦店を継続的に計画している。一方で、公式販売国やチャネルは非常に慎重に検討している。アジア市場での成長を基盤に、究極のゴールは世界中に顧客とのコミュニティーを作っていくことだ。これも実用的な製品と、完成度の高い「ヒンス」らしいブランディングによって可能になることで、不可能な夢ではないと思っている。
「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。