Fashion. Beauty. Business.

TOPICS

廃棄繊維から染料を再生

 回収した衣料を繊維として再生させるという話は昨今よく聞くようになりましたが、繊維への再生に適さない衣料から染料を再生する技術も出てきています。写真を見る限り、淡いパステルカラーが表現できていてとても素敵ですね。

 廃棄する化粧品を絵の具に再生するという取り組みも最近は広がっています。衣料も化粧品も、どうやって染料(絵の具)にするんでしょう?それを体験するワークショップなどがあったら、お子さんの自由研究などにも良さそうです。

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

「パンゲア」が廃棄繊維を染料に再生 新作コレクションを発表

 「パンゲア(PANGAIA)」はこのほど、廃棄繊維を染料に再生する新技術「リサイクロム(Recycrom)」を活用したコレクションを発表した。アロエグリーンやスカイブルー、コーラルピンク、バナナといったブランドのキーカラーで染めたフーディ(175ドル、約2万4000円)、トラックパンツ(140ドル、約1万9200円)、ショートパンツ(95ドル、約1万3000円)、Tシャツ(75ドル、約1万280円)をそろえ、公式ECサイトで販売中だ。

 同技術はイタリアのオフィシーナ+39(Officina+39)と共同で開発したもので、自社で出た廃棄繊維のうち、繊維への再生に適さないものを粉砕して顔料にする。水や化学薬品による汚染を避けた工程で生産されているというが詳細は非公開。

 アマンダ・パークス(Amanda Parkes)=パンゲア・チーフ・イノベーション・オフィサーは、「この技術は、廃棄を減らし水質改善を目指すという当社の研究に貢献するものだ。自社工場ではすでに、消費者からの古着の回収および分別のインフラが整っており、同技術は廃棄衣料の活用に役立てられるだろう」とコメントした。なお、最大の課題は原料の収集と加工のためのインフラ設備だと述べた。

 ロンドンを拠点とする同社は、アパレル製品の製造・販売だけでなく、環境に配慮した素材開発にも力をいれる。端材をオーガニックコットンと混紡した糸や、野花を原料にしたダウンの代替素材などを開発してきたほか、日本の人工タンパク質素材のスタートアップ企業スパイバーともパートナーシップを結ぶ。染色においては、このほかにもバクテリアによる染色技術や大気汚染由来のインクの実験にも着手している。「さまざまな染色ニーズに対して、多様なソリューションをそろえることが、私たちのサプライチェーンをより強固なものにし、何より生産工程における廃棄物の活用を進める効率的な方法だと考えている」とパークス=チーフ・イノベーション・オフィサーはコメントした。


【WWDJAPAN Educations】

【第2期】サステナビリティ・ディレクター養成講座
2022年9月30日(金)開講

 昨年初めて開催し好評を得た「サステナビリティ・ディレクター養成講座」を今年も開講。サステナビリティはこれからの企業経営の支柱や根底となるものであり、実践が急がれる事業の課題である。この課題についてのビジョンを描くリーダーの育成を目的に、必要な思考力・牽引力を身につける全7回のワークショップとなる。前半は各回テーマに沿った第一線で活躍する講師を迎え、講義後にはディスカッションやワークショップを通して課題を明確化し、実践に向けたアクションプランに繋げていく。

 また、受講者だけが参加できるオンライン・コミュニティーでは、「WWDJAPAN」が取り上げるサステナビリティに関する最新ニュースや知っておくべき注目記事をチェックでき、更に講義内容をより深く理解するための情報を「WWDJAPAN」編集部が届ける、まさに“サステナ漬け”の3カ月となる。
講義のみが受講できるオンラインコースも同時に受け付けています。


トップページに戻る
NEWS 02

アディダスのCEOが退任へ 後任は未定

 アディダス(ADIDAS)は8月22日、カスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)が退任することを発表した。後任は未定。引き継ぎをスムーズに行うため、同氏は後任が決定するまで現職に留まり、退任は2023年前半になる見込みだという。

 同氏は16年1月、現職に就任。08から16年まではヘンケル(HENKEL)のCEOを務めていた。それ以前は、オラクル(ORACLE)やヒューレット・パッカード(HEWLETT PACKARD)で要職を歴任している。アディダスは20年8月、ローステッドCEOの任期を26年7月まで延長しているが、予定より早い退任となった。

 アディダスの監査委員会のトーマス・ラーベ(Thomas Rabe)会長は、「ここ数年はコロナ禍の影響や地政学上の問題などによる難局に直面してきたが、CEOを交代し、再出発するのに適切な時期が来たと思う。事業戦略の立て直しやデジタル化の促進など、当社に多大なる貢献をしてくれたカスパーに深く感謝している」と語った。

 ローステッドCEOは、「アイコニックなスポーツブランドである『アディダス』で、チームとともに素晴らしい成果を上げられたことを誇らしく思っている。しかし、ここ数年は主に外部要因によって難しい舵取りを強いられ、困難を乗り越えるに当たっては大変な労力を要した。このため、会社にとっても私個人にとっても、23年に新たなスタートを切るのが良いと判断した」と述べた。

 同社が今月4日に発表した22年4〜6月期(第2四半期)決算は、ロシアにおける休業措置や中国でのロックダウンなどの影響を受け、売上高は前年同期比10.2%増(現地通貨ベースでは約4%増)の55億9600万ユーロ(約7666億円)と成長が鈍化。営業利益は同27.8%減の3億9200万ユーロ(約537億円)、純利益は同24.0%減の3億900万ユーロ(約423億円)だった。なお、アディダスは21年8月、傘下の「リーボック(REEBOK)」をブランドマネジメント企業のオーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP)に売却している。

トップページに戻る

最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。