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免税店は圧巻のラインアップだけじゃなくて良い

 イタリアから帰国したばかりのせいか、ベルリン発のオンラインメディア「ハイスノバイエティ」による免税店のニュースを面白く読みました。たしかに、ローマの空港はそうそうたるブランドが大きな免税店を構え「圧巻」ですが、ブランドのラインアップは他の都市と大差ありません。それだったら、スニーカーショップとか、オーガニック&ナチュラルコスメの集積フロアがあってもいいかな、と思います。

 単独店は構えられないブランドにとっては、世界基準に揉まれたり、トラベルリテールの可能性を感じたり、多様な消費者の存在に気づいたりのメリットがありそうです。「WWDJAPAN」だったら、どんな免税店を作るだろう?そんなことを考えました(笑)。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

空港リテールに新風 「ギャルソン」や「アクネ」も扱うコンセプトショップを「ハイスノバイエティ」が出店

 ベルリン発のオンラインメディア「ハイスノバイエティ(HIGHSNOBIETY)」は5月13日、デンマークのコペンハーゲン空港にコンセプトショップ、ゲートゼロ(GATEZERO)初の常設店をオープンした。場所は、セキュリティチェック後の出発エリア。32平方メートルの店内では、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドのウエアやバッグ、シューズ、雑貨、フレグランスから、「ハイスノバイエティ」が同店のために制作した限定コレクションまでを扱う。「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などに加え、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」「ジェイダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」「アンブッシュ(AMBUSH)」「1017 アリクス9SM(1017 ALYX 9SM)」といったトラベルリテールでは珍しいブランドを導入しているのもポイントだ。

 Z世代とミレニアル世代が中心読者層である「ハイスノバイエティ」の調査によると、読者の95%は今後半年以内に旅行を計画しているが、空港でショッピングをする予定なのはわずか3%のみだという。ゲートゼロは、そんな若い世代が旅行者の中心層になりつつある中、従来のトラベルリテールに変化をもたらすため、独トラベルリテール大手のゲーブル・ハイネマン(GEBR. HEINEMANN)との合弁事業として立ち上げられた。その第一弾として、2021年11月には、スイスのチューリッヒ空港に半年間限定のポップアップショップを出店。「コンセプトがうまく機能することが分かっただけでなく、考えていたよりも大きなターゲットグループを引きつけることができた」と、サイモン・ヴァイスコプフ(Simon Weisskopf)=ゲートゼロ共同マネジング・ディレクターは説明する。また、ヴィクター・チャン(Victor Chan)同マネジング・ディレクターは、「ゲートゼロは、トラベルリテールにおけるパラダイムシフトを象徴している。目指すのは、立ち並ぶショップの前を何気なく通り過ぎる乗客の心をつかむことだ。私たちは、ユニークな店内体験や差別化されたデジタルリーチ、そして空港という環境での今までにないような商品ラインアップによって、それを実現する」とコメント。「ゲートゼロは、ブランドやプロダクト、ストーリーテリングのために常に変化し続けるハブとして、店舗自体が旅の目的地になる」と話す。

 今後は、まだ空港名は明かされていないが、22年秋に新店舗オープンが決定。ゲーブル・ハイネマンが誇る世界の数多くの空港との長年にわたる信頼関係を生かし、他の空港への同コンセプトの提案にも取り組んでいるところだという。

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NEWS 02

バッグメーカーのエースがセルフケアブランド立ち上げ 吸水ショーツやCBDオイルなど

 鞄の総合メーカーのエースは5月20日に、女性向けのセルフケアブランド「ペース(PACE)」を立ち上げる。「女性の移動をサポートする」ことを目的に、吸水ショーツ(税込3600円、3900円)やデリケートゾーン用ケアミスト(30mL/2850円)、CBD5%オイル(10mL/4200円)、CBDロールオン(8mL/2200円)、和漢ブレンドティー(同1800円)とさまざまなアプローチのセルフケア商材を企画。同日立ち上げる公式オンラインサイトを主販路に、今後は卸販売も検討していく。

 1940年の創業以来バッグやラゲージなどを中心に扱ってきた同社だが、コロナ禍で移動の制限が強いられる中、企業ビジョンである「ひとの移動をサポートする」ことの意味を問い直し、新規事業の開拓を模索していた。21年1月には新部署を立ち上げ、新規事業開発のための提案を社内で募った。そこで採用されたのが、入社4年目の市川美樹さんが提案した「ペース」だ。

 市川さんは提案にあたり、「“移動”の意味を拡大解釈し、人生そのものを一つの旅路として考えた。生理や更年期など、女性の道の上にだけ転がっている小石のようなものがある。私自身もそうしたことに日常が左右される経験をしてきた。多くの人がいつでも自分の“ペース”で歩けるようサポートしたいという思いを込めた」と話す。

 普段からフェムテック商材をよく活用していたという市川さん。吸水ショーツは、履き心地の良いオーガニックコットンを採用し、吸水パッドの部分は経血の量や色の変化に気づきやすいようグレーカラーにするなど、自身が既存商品に対して感じていた改善点を盛り込みながら企画した。「旅行などの大きな移動から、子どもと公園に遊びに行く、スーパーに行くといった日常の小さな移動も含めて、さまざまな場面で使用できる幅広い商品ラインアップを強みにしていく」という。

 同事業を管轄する野口雄一郎・取締役海外事業部長兼事業開発部長は、「女性の移動をサポートすることを軸にさまざまな商品やサービスへ展開していくことを期待する。またゆくゆくは、海外も目指してほしい。若い社員が自分のアイデアを形にしたことを実績に、次なる新たな事業につなげていきたい」と話した。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。