ブルックリン・メードを代表する
食のプロ兄妹

食を通して自然と人、人と人をつなぐことを目指すブルックリンの食のアルチザンたち。穏やかながらフロンティア精神あふれる彼らの足元には、“NMD”の姿があった。

PROFILE

Kari Morris(カリィ・モリス) & Tyler Morris(タイラー・モリス)

2009年創業のブルックリンブランド「モリス・キッチン(MORRIS KITCHEN)」の創始者で年子兄妹。ブランドの代名詞、ジンジャーシロップは国外でも大人気。「人とつながる」をモットーにプロダクト販売の他、フードイベントやケータリングなど多角的な食ビジネスを展開中

「ジンジャーシロップなんて売れないよ」

「ドレッシングやカクテル、デザートにも使えるし、ジンジャーシロップを商品化してみない?」。そんなカリィの提案に対し、兄タイラーの反応は渋かった。「シロップなんて簡単に作れるんだから、買う人なんていないよ……」。カリィは創業前の当時を振り返りながら、兄を横目に「一流シェフには普通の人のニーズが分からなかったのよ」と、からかってみせる。

現在に続く「ブルックリン・ブーム」の夜明け前。タイラーはマンハッタンのエースホテルにあるレストラン「ザ・ブレスリン(THE BRESLIN)」のシェフとして、カリィはアートギャラリーのスタッフとして忙しい日々を送っていた。一方で「あの頃はリセッション(景気後退)の影響で、周りも私たちも『このままでいいのかな?』という疑問や不安があった」という。「何か手応えのあることをしよう」と思い立った二人は、自宅で定期的に食事会を主宰することに。「ジンジャーシロップは食事会でも好評だった。でもまさか、ここまでヒットするとは」と、タイラーは目を細める。

類いまれなる行動力とフロンティア精神を持つタイラー。ブルックリンの食ブームが本格的に加熱し始めた頃には念願の自分の店「ライ(RYE)」を開業するために、ケンタッキー州にいた。「旬のローカル食材が一番おいしい」という彼の信念は、未開拓だった現地の食文化の活性にも大いに貢献。さらに2015年末には、妻とカリフォルニア州に移住し、現地でスナップチャットとコラボレーションした新しい食ビジネスをスタートさせたばかりだ。西と東海岸を行き来することが増え、出張先ではケータリングからミーティング、知人のパーティーへとさまざまなシーンに顔を出す。「“NMD”はとても履き心地が良くて、特にチャッカタイプのシルエットがどんなシーンにも対応してくれそう。重宝するよ」。

南フランスで感じた直感をブルックリンで開花させる

ワインの名産地、カリフォルニア州のソノマで育ったモリス兄妹。「父は画家で、家族は美術用品店を営んでいた」という環境で「自然とアートの道を志してきた」というカリィ。美大卒業後はニューヨークのアート業界に就職した。しかし、「これって本当にやりたいことなのか?」という違和感が大きくなるにつれ、学生時代から趣味だった料理に情熱が傾いていった。

仕事で南フランスに滞在する機会があった。カリィは「ホストファミリーの自家製のジンジャーシロップにヒントを得た」という。「家にドリンクやデザート、ドレッシングなどマルチに使えるシロップがあったら料理がもっと楽しくなる」という直感がした。帰国後、試しに40本だけ商品化し、ファーマーズマーケットで手売りしてみたところ、たったの2時間で完売した。手応えに胸が高鳴った。ブルックリンの小さなシェアキッチンをレンタルし、ボトル一本ずつラベルを貼るところまで、全て手作業。「そのプロセスの全てが楽しかった」。だが、需要が増えるとカリィは決断に迫られた。そのまま小規模を貫くか、ビジネスとして飛躍させるか。苦渋の末、彼女は後者を選んだ。

創業から7年が経った今、人気は海外にも広がった。当初の何十倍にもなった需要に対応できるよう、ニューヨーク郊外に自社工場を構え、量産できるシステムを構築した。「もうスモールビジネスではない」という事実について、「うれしくも、やっぱりちょっと寂しいかな」と語る。うつむいた足元には、有機ビーツの葉。「靴の色と一緒ね」。アートを日常としてまとう彼女らしい気付きだった。ファッションだけでなく、家具から食器、照明まで生活に関わる身の回りのものに対して独自の審美眼を持つカリィ。「グッドテイスト、グットライフ。つまり自分のライフスタイルに合っていて、心地よくなれて、長く使えるものが私にとっての大事な基準。そういう意味でも、この“NMD”はそばに置いておきたい一足」。

感謝の気持ちが連鎖する「食卓を囲む」文化

タイラーがニューヨークへ戻って来ると「家で必ずホームパーティーをするの」とカリィ。「僕はニューヨークを離れてもう約5年になるけれど、モリス・キッチンを通じて価値観を共有しあった人たちとは、今も良い関係が続いているんだ」。「一緒に食卓を囲むことは、どんなに言葉を尽くして話すよりも深いところで通じ合えると思うんだ」。

こうして一緒にテーブルセッティングをしていると、「ウィリアムズバーグでルームシェアをしていた頃を想い出す」と二人。「いろんな人が家にきてくれたね」と和やかに語り合う様子からも、例えようのない有意義な時間を過ごしてきたことがうかがえる。

手料理に込められた日頃の感謝の気持ちは、振る舞われた人たちに、誰かのために何かをしたくなる気持ちを植え付ける。「感謝の気持ちが連鎖するんだ」。モリス・キッチンは、「駆け出しだったころから、いろんな人と知恵を貸し合い、助け合ってきた」場所。共生のコミュニティー精神こそがブルックリン・アルチザン文化の進化の原動力だ。「『ありがとう』の後には、『今後ぜひ家にご飯を食べにきて』とお誘いを添えるの」とカリィ。何とも有機的で心地の良いその響きの中に、彼らの成功の秘訣が見えた。

広く浅くよりも、深いつながりに価値を感じるという彼ら。身の回りのモノについても「たくさんのものを持つよりも、一番好きなものをずっと持ち続けたい。靴も同じ。使い続けると自分の分身のような存在になる。経年変化で自分色に染まるんだ。このスエード素材の“NMD”は、時間をかけて自分色に染めてみたいな」。

「限界無き都市冒険」のために創られた一足、“NMD”

Sneakers for Urban Exploration

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