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古着への三社三様なアプローチ

新品と同じくらいか、それ以上に古着の販売が盛り上がっていますね。昨日の記事だけで3本。それぞれにアプローチが異なっていて面白いです。

1本目はベイクルーズが社員が着用した自社製品を買い取って、再販する「サーキュラブルサプライ」の旗艦店オープン。2本目はオンワードによる回収した衣類のリメイク販売。そして3本目はリアルY2Kアイテムにギャル興奮のウィゴーの古着ポップアップ。

多様な広がりが、ファッションの楽しみの幅や深みを増しているなと感じました。

「WWDJAPAN」副編集長
小田島 千春
NEWS 01

ベイクルーズが展開するリユースショップ「サーキュラブルサプライ」が初の旗艦店を下北沢にオープン

ベイクルーズ(BAYCREWS)が運営するリユースショップ「サーキュラブルサプライ(CIRCULABLE SUPPLY)」は4月18日、ブランド初となる旗艦店を下北沢にオープンする。

サーキュラブルサプライは、ファッションを通じて持続可能な循環型社会の実現を目指すリユースショップ。2019年に開催した「ベイクルーズ フェスティバル」で人気を博した従業員の私物を販売したフリーマーケットをルーツに、20年には下北沢に初の期間限定ショップをオープンした。

新店舗では、ベイクルーズのブランドを中心に幅広いジャンルの商品を販売。これまで従業員を対象に行っていた買い取りに加え、新たに顧客からの買い取りサービスを本格的に開始する。また、サステナビリティの推進に向けた新たな取り組みとして、資源の循環サービスなどを運営する鹿児島のエコミット(ECOMMIT)が提供する資源循環サービス「パスト(PASSTO)」を導入。衣類の“回収”、最適な使い道の“選別”、再活用による“リユース・リサイクル”の循環を創出し、ファッションの価値をつなぐ新しい仕組みの構築を進めてていくという。

■サーキュラブルサプライ 下北沢店
オープン日:4月18日
住所:東京都世田谷区代沢5-30-2 1階

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NEWS 02

オンワード社員の“副業アップサイクル”第2弾はシャツ 「予想外の発見が業務に生きる」

オンワードホールディングスは、着なくなった衣料品から制作したアップサイクル製品の第2弾を発売した。同社社員15人が制作した95点はすべて1点物で、オンラインで4月7日から、「オンワード・リユースパーク 吉祥寺」で4月25日から販売する。

オンワードグループは、2009年から自社の衣料品を引き取る「オンワード・グリーン・キャンペーン」を行っており、19年間で累計約170万人から約884万点の衣料品を引き取った。それらは毛布や軍手、固形燃料に活用してきたが、新たな活用方法として昨年から「アップサイクル・アクション」をスタート。社員が副業として参加し、制作した作品は、自らで価格設定を行い、収益の90%を制作者に還元。残りの10%は、日本赤十字社への寄付している。

アウトレット部門や管理部門など日頃モノづくりに関わっていない社員も参加し、素材の選定からデザイン、縫製までを担当した。前回はデニムを使用したが、特殊ミシンが必要だったため難易度が高かったこともあり、今回は扱いやすいシャツを素材に選び、自宅や会社のミシンで自由に制作できるよう配慮された。制作は業務時間外に行う。期間は参加者の声を反映し、7月から翌年2月末までの7ヶ月間に延長された。

同プロジェクトは単体で収益につながる規模になっていないが、社内におけるサステナビリティへの関心の高まりや、日ごろの仕事の発想の転換など、目に見えない成果が出ているようだ。参加者のひとり、森本朱理さん(写真)はオンワード樫山のプロダクトグループ生産技術Div.レディス技術第二Sec.でパタンナーとして服作りに携わっている。「自由にものづくりができる機会は普段なかなかないが、このプロジェクトでは自分の好きなようにデザインし、制作できたのが楽しかった」と語る森本さん。最終的な販売においては、制作者名を明示することはないが、自身が制作したアイテムが実際に売り上げにつながることで、達成感を得たという。作品制作では日ごろ行っている「パターンを引く」工程を省き、布を自由に組み合わせる手法が多く用いた。例えば、シャツ3枚を解体し、それぞれの袖やカフスを使ってスカートを制作するなど、素材の新たな可能性を引き出している。「パターンに縛られないことで、新しい形が生まれたり、予想外の発見があったり。これらの経験は通常のパターン業務にも生かせる」と言う。

すべての工程を自分で行い、その上で販売価格を決定する。2回目の参加である森本さんの今回のもうひとつの目標は「もっと売れること」。「前回は自身の好みに偏ったデザインで売り上げに結びつかなかった反省を踏まえ、多くの人に届くよう意識した。たとえば誰でも着られるようにウエストをゴム仕様にするなど工夫を凝らした」と語る。「参加を通して、環境問題やサステナブルな取り組みに自然と関心が向くようになった。もっと多くの人にアップサイクルの魅力が伝わるようになれば古着のマーケットがすでに成立し、人気であるように、アップサイクルもひとつのマーケットとして広がるのでは?そうあってほしい」と熱く語る姿が印象的だった。

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NEWS 03

ウィゴーがY2K古着ポップアップを渋谷109で開催 当時のリアルアイテム2000点が集結

ウィゴー(WEGO)は、2000年代初頭のY2Kファッションに特化した古着のポップアップショップ「ウィゴー ヴィンテージ 超ギャルズ」を、4月22日まで渋谷109の8階で開催中だ。

今回のポップアップでは、リプロダクト(復刻品)ではなく、当時リアルに着用されていたオリジナルのY2Kファッションアイテムを約2000点以上集めて展開。世代を超えてY2Kスタイルを楽しめる空間を作り上げた。

ラインアップは、現在のギャル文化を代表するテイストである“平成ギャル”“ゴスパンク”“フォークロア”“サーフ”の4カテゴリーに編集。リアルな古着ならではの風合い生かしながら、今の時代に合ったスタイリング提案を行う。

バイイングを担当したサスティナブル事業部営業チームの飯田千華さんは、「日本では“平成ギャル”がはやっているし、ロサンゼルスに買い付けに行くと、海外のY2K人気を実感する。古着好きにも、古着初心者にも2000年代の本物のY2Kファッションに触れてほしいとポップアップを企画した。訪日客も多く、ギャル文化のメッカ・渋谷での開催に意味があると考えた」と語る。

ウィゴーはウィゴー ヴィンテージや一部のウィゴーで古着を扱っているが、今回はこの企画のためにアメリカと日本で買い付けた。「ココルル」や「セシルマクビー」など当時渋谷109で人気を集めたブランドも多くそろう。「エドハーディー」や、常に人気の「ハーレー ダヴィッドソン」も2000年代のものを中心に充実のラインアップ。テレビやMDコンポのほか、デコったガラケーやたまごっちなど、飯田さんやスタッフの私物もディスプレーして、当時のカルチャーを偲ばせた。「店内での撮影を楽しんでもらえるように、空間演出にもこだわった」。ショップスタッフもギャル5人を厳選し、アップデートしたスタイリングを提案する。

10日のオープン初日は、予算を倍以上上回るほど好調な滑り出しとなった。「オープン前日の準備の段階からカーテン越しでも多くのお客さまからの関心の高さがうかがえた。カーテンを開けて『いつから買えるのか?』と聞いてきた外国人のお客さまは、翌日来店して買い物をしていった。20代が中心だが、30〜40代のリアルタイム世代が『懐かしい』と立ち寄ったり、親子連れだったり、予想以上の反響だった」。

来店者によるSNS投稿が、さらに来店を促進しているという。「想定以上に売れているので、期間中に商品が足りなくなりそう。買い付けに行かなければ」とうれしい悲鳴を上げた。

◾️WEGO VINTAGE 超GALS POP UP SHOP
期間:2025年4月10〜22日
時間:10:00〜21:00
会場:渋谷109 8階
住所:東京都渋谷区道玄坂2丁目29-1

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最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。