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「旅行や運動こそラグジュアリー」

「旅行や運動といったレジャー体験こそがラグジュアリーな価値を生むようになった」というのは、アシックスの庄田良二副社長執行役員オニツカタイガーカンパニー長のコメント。「オニツカタイガー」の、登山やランニングを着想源にしたシューズの新シリーズについては、本日紹介する記事1本目をお読みください。

WWDJAPAN編集部はちょうど昨日、「アシックス スポーツスタイル」「アークテリクス」の事業担当者をお招きしてスポーツ市場にフォーカスしたセミナーを開催しました。そこでテーマとしたのは庄田副社長の言葉に通じる“プレミアムスポーツ&アウトドアブランド”戦略。特にコロナ禍以降、スポーツやアクティビティーに対する消費者のニーズが高まる中、デザイン、品質、サービス、サステナビリティなどさまざまな面で既存のスポーツブランドとは一線を画す価値観を提供する“プレミアムスポーツブランド”の勢いが増していると感じます。セミナーはアーカイブ映像の販売もしますので、ご興味ある方はぜひ。

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

好調の「オニツカタイガー」“レジャースポーツ戦略”の下、新作“アルティ アールエス”発表

アシックスが運営する「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」は3月25日、「ハイファッションとパフォーマンスの融合」をテーマにした新たなスニーカーシリーズ“アルティ アールエス シリーズ(ULTI RS SERIES)”を発表した。トレイルシューズをベースにした“ティグトレイル アールエス”、ランニングシューズをベースにした“ティグラン アールエス”、バスケットボールシューズをベースにした“ティグコート アールエス”の3モデルで構成。いずれも都市生活になじむデザイン性と機能性の両立をこれまでにないレベルで追求した点が特徴だ。第一弾として、“ティグトレイル アールエス”を3月28日に全国の店舗と公式オンラインで発売する。価格は2万9700円。ほか2モデルについては、今年秋以降発売予定で価格は未定。

25日に開かれた記者発表会でアシックスの庄田良二副社長執行役員オニツカタイガーカンパニー長は、「近年のお客さまのライフスタイルの変化を踏まえ、旅行やアウトドア、街歩きまでシームレスに履けるシューズが求められている。加えて、旅行や運動といったレジャー体験こそがラグジュアリーな価値を生むようになった。そうした体験価値を内包するプロダクト開発を“レジャースポーツ戦略”と名付け、新時代のスポーツシューズを開発しようと考えた」と背景を語り、創業100周年を見据えた新たな挑戦になると意気込んだ。

トップアスリートを支えるスポーツ工学研究所の技術を搭載

同シリーズでは、トップアスリートのためのシューズを開発してきた同社のスポーツ工学研究所の持つノウハウを最大限に活用した。異なる素材の組み合わせで、トレイル、ラン、バスケそれぞれのシーンに求められる機能性と履き心地を追求している。

例えば、“ティグトレイル アールエス”は、凹凸のある地面を走行しやすいような耐久性と安定性、コントロール性を高める工夫を凝らしている。ミッドソールには、軽量かつ反発性に優れた“フライトフォーム(FLYTEFOAM)”を採用。前足部分はこれを薄く配したことで、足裏で地面を捉える感覚を実現した。足の中央部分に配した硬い“トラスティック”と呼ばれるパーツは、足のねじれを防ぎ安定性の向上に貢献している。またアウトソール部分は、菱形状のラグを斜めに配置し、全方向にグリップ力を発揮できるよう設計した。かかと部分には、緩衝材“ゲル(GEL)”を搭載。3モデル全てに採用した“ゲル”は外に大きく飛び出した形が特徴で、衝撃緩衝性を高めると同時に、アイコニックな見た目もデザイン性として取り入れている。

アッパーは目の細かさが異なる2つのメッシュ素材を重ねた。それにより、砂などの異物がシューズに入るのを防ぎつつ、絶妙なシアー感があり、ファッション性を高めている。また、シューレースの締め付け具合を調整しやすいループ状のアイレットを採用。日常のシーンから運動時のスタイルの変化をスムースに行えるようにした。

カラーは、先行発売するホワイト、オイスターグレー、クラシックレッド、ブラックの4色のほか、ピンク、イエロー、ブラウンもそろえる。スポーツシューズでは多くない落ち着いた色味でそろえることで洗練された印象に仕上げた。ロゴは“オニツカタイガーストライプ”をベースに、主張を控えめにしつつ、躍動感のある表現でリデザインした。

グローバル全体の売上高は過去最高を記録

同様に“ティグラン アールエス”では、長時間のランニングに耐えられるよう耐久性と安定性を追求し、“ティグコート アールエス”では激しい動きに対応するフィット性と安定性の機能を取り込んでいる。

「オニツカタイガー」の2024年12月期のグローバル売上高は、前年比58.3%増の954億円で過去最高を記録した。日本地域では前期の約2.3倍の407億円だった。店舗数は14カ国で185店舗を展開し、グローバルで存在感を高めている。今年7月にはパリのシャンゼリゼ通りに新たな旗艦店をオープン予定だ。

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NEWS 02

「グローバルワーク」銀座に旗艦店 “売上高1000億円”へ海外戦略のヘソに

アダストリアの「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」は、東京・銀座に「グローバルワーク ギンザ」を3月27日にオープンする。ブランド初の超都心型店舗であり、「グローバル旗艦店」との位置付け。売れ筋商品にフォーカスしたVMDや多言語対応のデジタルサイネージにより、銀座を行き交うインバウンドに照準を定める。初年度の売り上げ目標10億円のうち、訪日客比率は5割を見込む。「グローバルワーク」はブランド単体で「売上高1000億円」を見据えており、同店を海外本格進出の布石とする考えだ。

店舗はマロニエゲート銀座3の地下1階〜地上2階の3フロア構成で、面積は計1100平方メートル。ウィメンズ、メンズ、キッズ商品をフルラインアップで展開する。特に1階ではブランドの顔ともいえる主力商品を、日本文化を意識した限定アイテムや演出とともに展開し、インバウンドへのターゲティングを明確化した。累計450万本を販売している“ウツクシルエットパンツ”(4990円〜)や高機能×イージーケアの“オテラク”シリーズ(5490円〜)、“何度着てもよれない”が謳い文句のTシャツ“ヘビロッTEE”(1980円〜)などの売れ筋商品を、デジタルPOPやトルソーを活用し、高い視認性で展開。デジタルPOPは多言語対応する。不定期で商品が入れ替わるアパレル・雑貨の自動販売機やフォトブースなど、フリー客を楽しませるコンテンツも導入した。

海外売上高を4倍に
関西でも旗艦店構想

銀座では「ユニクロ」「無印良品」といったグローバルSPAが大型店を構え、「グローバルワーク」にとっては強大なライバルとなる。彼らとどう差別化し、存在感を発揮していくのか。グローバルワーク営業本部長の太田訓・アダストリア執行役員は、「われわれの強みは、程よいファッション性と機能性を兼ね備えた、気分が上がるプロダクト。ファッション、ファンクション、フィーリングの3つの頭文字をとって、“3F”と呼んでいる。袖を通していただければ、きっと伝わるはず」と話す。一方で「現時点では、そういった(グローバルSPAの)ブランドとはまだ肩を並べるレベルにないことは自覚している」とも。「まずは、ブランドを知らない外国人のお客さまに『グローバルワーク』というブランドを覚えて帰っていただきたい」。

「グローバルワーク」は24年2月期に売上高500億円を突破。30年2月期にはこれを1000億円に引き上げる計画を掲げる。重点施策となるのが海外展開だ。現状は台湾、香港、上海に計20店舗を展開し、24年2月期の売上高は25億円だが、これを4倍の100億円に引き上げる。今後はASEANエリアへの出店に力を入れ、具体的にはタイ、マレーシア、フィリピンを有望な市場と見ている。銀座店を、海外本格展開を見据えたグローバル認知拡大の拠点とする。

期中の国内出店については「銀座店とは別に、少なくとも14店舗」を計画。銀座店を皮切りに、都心部やターミナル立地の出店も強化していく方針。またこの14店舗の中には含まれないものの、将来的には関西エリアにおいても銀座に続くグローバル旗艦店を出店する構想があるという。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。