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「イージー」事業撤退の爪痕
カニエ・ウェストことイェの影響力の大きさを、まざまざと感じますね、アディダスが赤字です。「イージー」事業撤退の爪痕が大きすぎます。コラボによる大ヒットは諸刃の剣だなと改めて思いました。
アディダスといえば、2027年以降、サッカードイツ代表のユニホームサプライヤーの座をナイキに明け渡すことになってしまいました(本明秀文さんの好評連載「ノットスニーカーライフ」最新回参照)。爪痕は先々まで残りそうです。
アディダス、23年は30年ぶりに赤字転落 「イージー」事業の打ち切りが響く
アディダス(ADIDAS)の2023年12月通期決算は、売上高が前期比4.8%減の214億2700万ユーロ(約3兆4926億円)、営業利益は同59.9%減の2億6800万ユーロ(約436億円)、純損益は前年の6億3800万ユーロ(約1039億円)の黒字から1400万ユーロ(約22億円)の赤字となった。継続事業ベースでは、同じく2億5400万ユーロ(約414億円)の黒字から5800万ユーロ(約94億円)の赤字となっている。同社が赤字に転落したのは1992年以来初めて。
地域別の売上高では、「イージー(YEEZY)」事業の終了やマクロ経済の悪化による打撃を受けた北米が同18.5%減の52億1900万ユーロ(約8506億円)と非常に不調だった。EMEA(欧州・中東・アフリカ地域)は同3.7%減の82億3500万ユーロ(約1兆3423億円)、中国(大中華圏)は同0.3%増の31億9000万ユーロ(約5199億円)、中国を除くアジア太平洋地域は同0.6%増の22億5400万ユーロ(約3674億円)、南米は同8.9%増の22億9100万ユーロ(約3734億円)だった。
同社は22年10月、カニエ・ウェスト(Kanye West)ことイェ(Ye)の反ユダヤ主義的な発言を含むヘイトスピーチや相次ぐ問題行動を受けて関係を解消し、約7年半にわたって共に手掛けていた「イージー」事業も同時に終了した。これに伴って発生したおよそ12億ユーロ(約1956億円)相当の在庫の一部を23年5月から2回に分けて販売し、7億5000万ユーロ(約1222億円)の売り上げを獲得。そのうち1億4000万ユーロ(約228億円)をチャリティー団体などに寄付するという。残りの在庫は24年中に販売する予定で、2億5000万ユーロ(約407億円)程度の売り上げが見込まれている。
なお、24年2月にビョルン・グルデン(Bjorn Gulden)=アディダス最高経営責任者(CEO)とイェが2人でソファに座っている写真がSNS上で拡散された際には、再びタッグを組むのではないかとの臆測が広まったが、グルデンCEOは今回の決算説明会でこれを否定。米ラスベガスで開催されたスーパーボウルを観戦した帰りに、空港で偶然会っただけであることを説明した。
アディダスは今年、創業75周年を迎える。グルデンCEOは、23年は厳しい結果となったものの、コストや在庫の削減などによって当初の予想を上回ることができたと評価。また、24年1~3月期(第1四半期)は業績が上向いているとして、通期では現地通貨ベースで5~6%の成長を見込んでいると述べた。
新宿ルミネ2に日本のデザイナーズブランド集結 CFDとの協業でポップアップ開催
ルミネは東京ファッションデザイナー協議会(CFD TOKYO)と協業し、4月8~14日にルミネ新宿 ルミネ2 2階ギャラリー2にポップアップショップ「CFD TOKYO デザイナーズ ポップアップストア」をオープン。全10ブランドの24年春夏商品の販売および24年秋冬商品の受注をする。
参加ブランドは「ジュン オカモト(JUN OKAMOTO)」や「コーティー(KOH T)」「サユリタネイ(SAYURI TANEI)」「パノルモ(PANORMO)」「ソン(SON)」「リツ(RITSU)」「ファド ディストーション(FAD DISTORTION)」「アロル(AROL)」「リシュリュ(RE SYU RYU)」「クオティアス(KWOTIAS)」。
4月13日と14日には、モード誌で活躍中のスタイリスト、Yoshi Miyamasuとアイドルグループ櫻坂46・乃木坂46の衣装デザイン、スタイリングを手掛ける市野沢祐大によるトークショーを開催。事前予約制のフォトシューティングイベントも行う(受付は終了)。
会場では花王が4月20日に発売する新ヘアケアブランド「メルト(MELT)」のサンプリングも実施する。
ルミネ新宿で行う意義
CFD TOKYOは日本のファッションデザイナーの団体。現在、正会員80人を有し、物作り、人材育成、PR販促、営業、ポップアップストア、海外販路開拓など10の部会を通じて、ファッションデザイナーが抱える課題解決に向けた活動を行っている。
ルミネはスポンサーの1社で、日本のデザイナーを支援し、館として「ファッションとの新しい出会い」を提供すべく、今回のコラボイベントを実施。ルミネ新宿は新宿駅直結で利便性が高く、ファッション好きの層が多く訪れる。訪日海外旅行客も多いため、ブランドが認知度を上げるのに有効な機会となりそうだ。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。