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ラグジュアリーは、五輪のメダルでもレガシー盛り込む

パリ五輪(オリンピック&パラリンピック)のメダルが公開されました。デザインを手掛けたのは、LVMHグループの「ショーメ」です。

最初の記事を読むと、ラグジュアリーブランドがいかにストーリー、中でもレガシーに価値を置いているか?が分かります。勝利の女神のアテナとギリシャ神殿は歴代のオリンピックメダルにも刻まれているそうですが、エッフェル塔、光の都、点字を開発したフランス人のルイ・ブライユなど、パリのレガシーが盛りだくさん。そこに「栄誉を称える“戴冠”」の意味を込めてティアラ由来のアイデアを加えました。

ティアラは、今なお「ショーメ」が作り続けるコアプロダクトです。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

「ショーメ」デザインのパリ五輪メダル、ティアラが着想源 「栄誉を称える“戴冠”の意味を込めた」

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)傘下のジュエリーブランド「ショーメ(CHAUMET)」は2月9日、パリが開催地の2024年夏季オリンピック・パラリンピック(以下、パリ五輪)で用いるメダルのデザインを発表した。ジュエリーメゾンがオリンピックのメダルをデザインするのは今回が初めてとなる。

メダル中央に配した六角形の鉄製プレートは、1889年建設のエッフェル塔を改修した際に、回収した鉄から作られている。同プレートファセット加工で描いた光線で囲み、パリの別名「光の都(Ville Lumiere)」を表現した。

オリンピックメダルには「現代のルネサンス」という意味を込め、プレートと反対の面には勝利の女神アテナとギリシャ神殿をあしらった。また、その横に描いたエッフェル塔は、フランスとオリンピックの繋がりを象徴している。一方のパラリンピックメダルには、真下から見上げたエッフェル塔をデザイン。メダルの左右には、盲学校教師であり点字開発者のフランス人、ルイ・ブライユ(Louis Braille)にちなみ、点字で「パリ2024」と表記した。パリ五輪のトニー・エスタンゲ(Tony Estanguet)会長によれば、「大会の象徴であるメダルと、パリの象徴であるエッフェル塔を組み合わせて“マリアージュ”することで、パリ五輪のシグネチャーができると考えた」。

「ショーメ」のデザインスタジオを率いるクレモンティーヌ・マッソナ(Clementine Massonnat)によれば、244年にわたるメゾンのアーカイブを掘り起こすところからメダルのデザインを始めたという。その中でもダイヤモンドを使用したティアラなどに着想を得ており、「栄誉を称える“戴冠”の意味を込めた」と話す。あまり知られていないことだが、「ショーメ」には記念メダルの製作を受けていた歴史も。また、エッフェル塔を設計したことで知られるギュスターブ・エッフェル(Gustave Eiffel)が「ショーメ」の顧客だったことを示す発注書が見つかり、「当メゾンと五輪が響き合い、歴史がつながっていくのを感じた」と語った。

メダルの製造は、フランスの造幣局であるラ・モネ・ド・パリ(LA MONNAIE DE PARIS)が行った。メダルの大きさは直径8.5㎝、厚さ9.2㎜。金メダルの総重量は500gで、6gの金を使用する。また、リボンをメダルに通す部分は、時計製作の隠しバネからヒントを得た作りになっている。オリンピックメダルは青色、パラリンピックメダルは赤色のリボンだ。

VMHのアントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMH ヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージはメダルについて、「誰もが欲しがり、見たがり、触りたがる、究極的な存在の1つがオリンピックメダル。日頃からユニークピースの特注を受けるメゾンがメダル製作をするのは理に叶っている」とし、「特にフランス人は、物事をネガティブに捉える傾向がある。同メダルがスポーツ精神や勝利がもたらす名誉以上に、人々にとって希望の光となることを願う」と語り、一大イベントの準備を進める組織委やプロ意識に自信を見せた。

LVMHは23年7月、パリ五輪のプレミアムパートナーとしてスポンサー契約を締結した。「ベルルッティ(BERLUTI)」が公式ウエアをデザインするほか、ビューティ専門店「セフォラ(SEPHORA)」が、5月8日に実施する聖火リレーのスポンサーに就任している。

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NEWS 02

ワコールHD4〜12月期、最終赤字39億円 秋冬商戦も低調

ワコールホールディングス(HD)の2023年4〜12月期連結決算(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比1.7%減の1414億円、営業損益が19億円の赤字(前年同期は18億円の赤字)、純損益が39億円の赤字(同22億円の赤字)だった。赤字は4〜9月期に計上した米国事業における減損損失に伴うもの。10〜12月期も秋冬商戦で苦戦し、販売は計画を大きく下回った。

国内ワコール事業の売上収益は同2.8%減の725億円、営業損益は30億円の黒字(前期は50億円の黒字)だった。高価格帯の「ユエ(YUE)」「サルート(SALUTE)」および、メンズインナーは堅調に推移したが、百貨店や量販店中心の「ワコール(WACOAL)」「ウイング(WING)」、低価格帯の直営店ブランド「アンフィ(AMPHI)」も低迷した。

海外ワコールは、売上収益が同1.0%増の503億円、営業損益が53億円の赤字(同80億円の赤字)だった。米国市場では復調が見られた一方で、英国をはじめとする欧州や中国が苦戦した。「ライブリー(LIVELY)」ブランドを運営するインティメイツ・オンライン(IO)社の事業撤退・清算に伴うワコールインターナショナル(米国)の減損損失など74億円を計上した。

ピーチ・ジョン事業の売上収益は同10.9%減の80億円、営業損益が5000万円の赤字(同8億9600万円の黒字)に転落した。著名タレントとのコラボレーションにより新規獲得を目指したが、想定以下の結果となった。減収に加えて、中国子会社の清算に伴う為替差損が影響した。

ワコールHDは昨年11月、24年3月期連結業績予想を下方修正している。売上高は1960億円(修正前は2050億円)、営業損益は120億円の赤字(同60億円の黒字)に変更はないが、下振れする可能性もあるという。サプライチェーンの見直し、ブランド集約や赤字店舗の撤退に着手した。来期には福岡と札幌の事業所の閉鎖が予定されている。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。