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雪山に集う富裕層
先週末、岩手・盛岡から車で1時間のスノーリゾートの安比高原を訪れた際、ホテルで「マックスマーラ」の“テディベア”コートに厚底の「アグ」ブーツを履きこなしたスタイリッシュなアジア人女性を見かけました。まさに本日1本目の記事でご紹介している、スノーリゾートに集う富裕層の姿です。
安比高原のスキー場やホテルは、ラオックスの羅怡文会長がオーナーであると報道されています。安比を始めとした一部の日本のスノーリゾートも、今後さらに投資が進んでラグジュアリー化が進みそうですね。
「マックスマーラ」に「ボッテガ・ヴェネタ」も ラグジュアリーブランドが高級スノーリゾートに出店加速
コロナが明けて、消費者、特に富裕層の関心がモノから旅行などのコトへと移っている中で、ライフスタイル提案の強化を狙ってラグジュアリーブランドが各国のスノーリゾートに出店する流れが強まっている。国内では、12月15日〜2024年2月25日に「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が北海道・ニセコのホテル、パークハイアット ニセコ ハナゾノに出店して話題を呼んでいる。同ブランドの国内リゾート地への出店は初。他にも、スイスのサンモリッツや2026年の冬季五輪開催地の伊コルティナダンぺッツォ、米コロラド州アスペンといった高級スノーリゾート地への出店のニュースが、続々と届いている。
「ブランドが山に群がっている」
「ファッションやラグジュアリーのブランドはますます山へと群がって、ライフスタイルカテゴリーの中で急成長しているスキー(やスノーボード)ウエアに賭けている」とは、米「WWD」の「モンクレール」に関する記事から。同記事によれば、「モンクレール(MONCLER)」は昨年、“グルノーブル”ラインをアウトドアアクティビティー向けの機能性を備えたハイパフォーマンスカテゴリーとしてリニューアルし、この度同ライン初の単独店(約300平方メートル)をサンモリッツに開いたという。
スノーアスリートを広告に起用
サンモリッツには既に「モンクレール」の旗艦店があるが、それと同じ通り沿いに開いた“グルノーブル”旗艦店には7つのウィンドーを備え、「高性能のスキーウエアを含む“グルノーブル”の全商品に加えて、アウトドアギアや“アプレスキー”(スキーをした後)のウエアなどもそろえる」。また、“グルノーブル”の広告には各国のスノーアスリートを起用し、スノーボードの蔡雪桐(中国)、ショーン・ホワイト(米国)、スキーのペリーヌ・ラフォン、リチャード・パーミン(共に仏)が登場。キャンペーンムービーに映る“グルノーブル”初のスノーボードは、ショーン・ホワイトが手掛けるブランド「ホワイトスペース(WHITESPACE)」とのコラボレーションで作られたものだという。
“グルノーブル”のポップアップはほかに、伊コルティナダンぺッツォのスペシャリティーストア「フランツ・クララ(FRANZ KRALER)」でも実施。同店は「フェラガモ(FERRAGAMO)」の“アプレスキー”アイテムや「フェンディ(FENDI)」のホリデー向けカプセルなども注力して販売している。また、“グルノーブル”は日本では、阪急うめだ本店で12月29日にまでポップアップを開催中だ。
アスペン美術館とパートナーシップ
北米ではカナダのウィスラーと並ぶ高級ウィンターリゾートの米アスペンで、「マックスマーラ(MAX MARA)」が24年1月6日までポップアップを開催している。米「WWD」によれば、「マックスマーラ」は「昨年、歴史あるホテル・ジェローム内に出店し、その成功を引っ提げてアイコンの“テディベア”コートの10周年を祝うべくアスペンに帰ってきた」。店外のガーデンには、写真撮影スポットとしてスキーゴンドラを設置。ホテル中庭ではホットチョコレートやプレッツェルも無料提供しているという。
「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」も、アスペンに初のショップを開いた。内装にはアスペン産の木材も使っており、「くつろいだ雰囲気の中、プレタポルテ、レザーグッズ、シューズ、ホームグッズを買い物できる、居心地のよい空間」になっているという。アートを愛する同ブランドらしい点は、坂茂の設計で14年に開館したアスペン美術館と、ショップオープンにあたって1年間のパートナーシップを結んだこと。彫刻家ジョン・チェンバレンの展覧会など、24年に同美術館で開かれるいくつかの企画を、「ボッテガ・ヴェネタ」がサポートするという。
韓国のEC企業クーパン、ファーフェッチを買収 700億円超の資金援助で事業継続へ
韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)は12月18日、高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)の買収を発表した。ファーフェッチは、15日の段階で経営破綻の瀬戸際にあることが明らかとなっていた。取引の一環として、クーパンは米投資会社グリーンノークス・キャピタル・パートナーズ(GREENOAKS CAPITAL PARTNERS)と提携し、ファーフェッチに対して5億ドル(約710億円)の資金援助を実施する。なお、ファーフェッチのジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)創業者は残留するものの、ほかの取締役は全員辞任した。
ファーフェッチは8月、「カルティエ(CARTIER)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」「クロエ(CHLOE)」などを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)が擁するラグジュアリーEC大手のユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP以下、YNAP)の株式の47.5%を取得することに合意した。この取引には、ファーフェッチの企業向けECプラットフォームであるファーフェッチ・プラットフォーム・ソリューション(Farfetch Platform Solutions)をリシュモンとYNAPが導入する契約なども含まれている。10月には欧州委員会(European Commission)からの承認も得たが、今回の買収を受け、リシュモンは「合意を破棄する」との声明を発表した。また、リシュモンが保有する、ファーフェッチが20年11月に発行した3億ドル(約426億円)相当の転換社債については、「状況を踏まえると償還されないと考えるのが妥当だろう」としている。
クーパンの登場により、ファーフェッチは事業継続が可能となったが、同社の傘下ブランドの今後について現時点では明らかになっていない。それには、英セレクトショップ、ブラウンズ(BROWNS)のほか、故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」などを擁するニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)、スニーカーのリセールサイト「スタジアム・グッズ(STADIUM GOODS)」などが含まれている。
クーパンは韓国発のeコマース企業で、“韓国のアマゾン”と呼ばれている。米シアトルに本社を置き、米国、韓国、アジア各地にオフィスを構えている。従業員数は約6万3000人。2023年1〜9月期の売上高は前年同期比16.8%増の178億ドル(約2兆5276億円)で、純損益は1億9400万ドル(約275億円)の赤字から黒字化し、3億2700万ドル(約464億円)だった。ニューヨーク証券取引所に上場しており、ティッカーは「CPNG」。創業者のボム・キム(Bom Kim)最高経営責任者(CEO)は、会社の議決権の76%を握っている。ファーフェッチとの取引が公表された後、株価は5.1%下落して16.15ドル(約2293円)となり、同社の時価総額は289億ドル(約4兆1038億円)となった。
同社決算資料によると、「クーパン」のアクティブユーザーは2000万人。韓国語サイトで、家電や生活雑貨、消費財、衣類、食品などを扱っている。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。