Fashion. Beauty. Business.
いい意味で予想を裏切られました
半期に一度のビジネスリポート取材で「ゾゾタウン」の好調店としてよく挙がるショップが、調べてみたらコストコ式会員制を導入していて面白そう!と思い、取材しました。
オリジナルブランドを展開するセレクトショップかと思っていたら、メーカーとインフルエンサーと消費者をつなぐプラットフォーマーでした。リアル店舗を構える理由も成り立ちも私からすると新鮮で、学ぶことが多かったです。
ピンチから「ゾゾタウン」総合1位 「ボンジュールサガン」代表が目指す“死なない経営”
大場正之/ビリーフ代表取締役 プロフィール
1984年神奈川県生まれ。大学卒業後、ECサイト運営会社ネットプライスドットコム(現BEENOS)でウェブディレクションを担当し、その後、複数のECサイトの立ち上げに携わる。2016年11月にビリーフを創業し、現在に至る
「ゾゾタウン」で近年常に好調ショップとして挙がるのが、「ボンジュールサガン(BONJOUR SAGAN)」だ。「アプレトロ(AP RETRO)」や「リベリー(RIBERRY)」「ラック・ヴェール(LAC VERT)」など20超のブランドと共に、オリジナルブランド「ボンジュールサガン」を展開。少しトレンド感があるベーシックなファッションアイテムを、トップスで2000円台、ボトムスで3000円台からそろえる。メンズや雑貨類もある。扱うブランドは全て卸やOEM、ODMを行う国内メーカーのもので、オリジナルブランドも主にそうしたメーカーに依頼して作っているという。
阪神梅田本店4階と銀座のイグジットメルサ3階に直営店を構え、8月16日には西銀座デパート1階にも店舗をオープン。公式アプリでは、月額980円で卸値に近い価格で購入できる会員制サービスも展開。提携インフルエンサーのSNS投稿も活発で、公式インスタグラムのフォロワーは20万を超えている。
同ショップを運営しているビリーフ(BLEAF)の大場正之代表取締役に、そのユニークなビジネスモデルと今後の計画について聞いた。
ビリーフは、「インターネットを駆使して、馬喰町に昔からある卸問屋街を活性化したい」と2016年11月に創業した。大場代表はECコンサルタントとして稼ぐかたわら、17年7月にショップを展開する個人事業主が卸メーカーの商品を卸価格で購入できる会員制オンラインプラットフォーム、トップホールをスタート。しかしBtoB事業はオンライン広告の手段が限られていることもあり、出展する卸メーカーの獲得や実績作りが思うように進まなかったという。
そこで、卸メーカーとの取引のきっかけ作りのために19年4月に始めたのが、「ボンジュールサガン」だ。「小売りのほうが商品の取引がしやすいのと、私が得意とするネット広告やインフルエンサー起用で、すぐに流通に結びつけられると考えた」と大場代表は振り返る。 卸ブランドを集めただけのファッションECでは競争力に欠けると、月額980円の会費を払うことで、商品を卸価格に近い価格で買うことができるサービスも同時に立ち上げた。
コンセプトは「メーカーの流通の最大化」
しかし、これも「意外と反響がなかった」という。19年12月に「ゾゾタウン」に出店。コンサル業収入も商品仕入れに投じ、あれよあれよという間に資金が底を尽きそうになった。「確か20年1月の口座残高が100万円を切るぐらいだった。まさに『来月終わるな』と考えていたタイミングで、コロナ禍が来た。それによってネット通販の需要が上がったので、なんとかしのげる状況になった」。
「ゾゾタウン」への出店のタイミングで、出品代行業も開始。「ボンジュールサガン」内で複数のメーカーブランドを委託販売するビジネスモデルを導入した。「当時は、ほとんど自分一人で商品の仕入れから、撮影手配、カスタマーサポート、メルマガの配信、SNSの投稿も行っていた。すごく大変だったが、全部体験することで、いろいろと具体的な指示ができるようにもなり、結果的に良い経験だった」。仕入れ商品の通販サイトだった「ボンジュールサガン」を、メーカーが小売りを成功させるためのサービスプラットフォームへと転換した。
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3大メガバンクなどが「サステナビリティデータ標準化機構」設立 中小企業の情報開示目指す
各金融企業はこれまでも各社でサステナビリティ指標を設けてきたが、特に中堅・中小企業や非上場企業が取り組む際には整備・開示すべきデータ項目の指標がないことが企業の負担となってきた。足並みをそろえて標準化することで、情報開示の浸透を促す。詳細の設計はこれからで、理事会や各部会での議論を経て24年1月にガイドラインを公表する予定だ。
同機構はスタートアップのサステナブル・ラボが立案し取りまとめている。設立の経緯について、同機構代表理事に就任した平瀬錬司サステナブル・ラボCEOは「日本はサステナビリティの取り組みが遅れていると言われるがそうではない。多くの企業が人的資本経営を行い、環境技術や脱炭素技術において日本は世界のトップの一つ。だが、サステナビリティの取り組みが可視化されていないことで機会損失をしている。中堅・中小企業の“良い部分”をESGの文脈に載せることができれば日本に明るい未来がある」と語る。
8月21日の記者会見では、金融庁に加え、理事を務めるみずほ、三菱UFJ、りそな、SBI新生、みずほ第一フィナンシャルテクノロジーの担当者が登壇し、連携を強調した。金融庁の池田賢志国際室長チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサーは「金融庁が行なっている企業のサステナブル情報開示も基本、上場企業が対象だった。非上場企業が開示に取り組むことが彼らの競争力を高めるためにも重要だ」とコメントしている。
各社の発言で共通したのが、中小企業・非上場企業が情報開示する難しさ、意義・目的の重要性だ。みずほフィナンシャルグループ兼みずほ銀行の末吉光太郎サステナブルビジネス部副部長は、「日本のサステナビリティの実現には、産業構造の9割以上を占める中小企業の参加が不可欠。すでに実施していることを開示していただき加速したい。参加する人のメリットが重要だ」と話し、「グローバルに見ても中小企業に向けた情報開示の仕組みはないから世界的に見ても新規性がある」と続けた。
三菱UFJ銀行の太田悟史サステナブルビジネス部業務推進グループ次長は「大企業に始まった情報開示の波は、中小へと押し寄せてくる。“やらなければならない”ではなく、開示する以上はリアリティを持って企業のパーパスを考える機会とし中小の潜在力をステークホルダーへアピールするものへとしたい」とコメント。地方銀行と連動するSBI新生銀行の長澤祐子・執行役員サステナブルインパクト推進部長は、「開示しなくてはならないという義務感だけで人を動かすのは難しい。社会課題をサポートしてゆくための、あくまでツールとしてスタンダードを開示することが望ましい」と話している。
金融各社はここ数年、各社ごとにサステナビリティ情報開示の議論を進めてきた。吉本圭吾りそなホールディングス グループ戦略部サステナビリティ推進室長は「銀行各社がベストなサステナビリティ情報開示を突き詰めると、聞かれる側である企業にすれば大きな負担。平瀬さんの言葉を借りれば“みなでやれば遠くに行ける”と考える」と連携の背景を話している。
◾︎一般会員
SBI新生銀行、いよぎんホールディングス、きらぼし銀行、コンコルディア・フィナンシャルグループ、サステナブル・ラボ、しずおかフィナンシャルグループ、ちゅうぎんフィナンシャルグループ、ふくおかフィナンシャルグループ、ほくほくフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、みなと銀行、りそなホールディングス、りそな銀行、阿波銀行、関西みらい銀行、岩手銀行、宮崎銀行、九州フィナンシャルグループ、広島銀行佐賀銀行、埼玉りそな銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、三十三銀行、三菱UFJ銀行、山陰合同銀行、山口フィナンシャルグループ、四国銀行、滋賀銀行、千葉銀行、第四北越フィナンシャルグループ、鳥取銀行、東京きらぼしフィナンシャルグループ、農林中央金庫、八十二銀行、百十四銀行、北陸銀行、名古屋銀行、損害保険ジャパン、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー
◾︎特別会員
サステナブル・ラボ、有限責任監査法人トーマツ
◾︎賛助会員・オブザーバー
金融庁(オブザーバー)、全国銀行協会、第二地方銀行協会、CRD協会、FINOLAB
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