Fashion. Beauty. Business.

TOPICS

いよいよ、本当に「次こそは」

 やはりモノづくりのお人なのでしょう。三陽商会の大江社長を取材させていただいた時に印象的だったのは、同社の高品質、ゆえに高価格帯な商品についてニコニコ話していた姿でした。

 大江社長がそんな商品を届けたいと考えていることを象徴する、「ミドルアッパー市場(世帯年収800万〜1500万円)の今後には全く悲観していない」の言葉、頷けるところがあります。ラグジュアリーがラグジュアリーすぎて、この市場にとってはちょっと遠いものになり始めています。三陽商会ができることは、たくさんありそうです。

 「いよいよ、次こそは」。そんな記事を書き続けている私たちの想いは、本当に「いよいよ、次こそは」現実のものになるのではないでしょうか?

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

三陽商会が新中計 基幹ブランドの直営出店とセカンドブランドに活路

 三陽商会は、2025年2月期を最終年度とする新中期経営計画を発表した。同期末に売上高625億円(22年2月期は496億円)、営業利益43億円(同10億円の赤字)を目標値に定める。計画は大江伸治社長が就任(20年5月)以後進めてきた人員や店舗整理などの構造改革、仕入れの絞り込みによる収益力改善が前提となる。基幹ブランドに経営資源を集中し、アッパーミドル市場(世帯年収800万〜1500万円)でのシェア拡大を成長のドライブにする。

※三陽商会は2023年2月期から会計基準を変更。百貨店取引における販売手数料を販管費として計上する。記載の数値は新基準を適用し調整したもの。適用前の売上高は386億円

 重点強化するのは「マッキントッシュ フィロソフィー(MACKINTOSH PHILOSOPHY)」「ブルーレーベル/ブラックレーベル クレストブリッジ(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」「エポカ(EPOCA)」といった基幹の百貨店ブランド。それぞれの個性や世界観の発信拠点となる直営店の出店を進め、25年2月期の直営店売上高は22年2月期から2.8倍に増やす。

 これらのブランドからは、価格を抑えた若者向けのセカンドブランドを派生させ、同社のポートフォリオにおいて手薄なファッションビルやSC販路の開拓を進める。すでに21年春夏にはユニセックス商品をそろえる「マッキントッシュ フィロソフィー グレーラベル(MACKINTOSH PHILOSOPHY GREY LABEL)」をスタートし、新宿ルミネ1に店舗を構えた。今秋冬には「シービー クレストブリッジ(CB CRESTBRIDGE)」を立ち上げ、期中に5店舗を出店する。

 百貨店チャネルの売上高は22年2月期との比較で17%増を見込む。ただし、「出店は高効率な立地に絞る」(大江社長)。OMO(オンラインとオフラインの融合)推進による既存店舗の収益力向上に軸足を置く。「シービー クレストブリッジ」の1号店となるららぽーと横浜店には、NRIデジタルとプレイド(東京都、倉橋健太CEO)と合同で店頭設置カメラなどによる来店客の行動分析をトライアルし、他ブランドへの展開も視野に入れる。

 新型コロナの影響長期化により、同社の2022年2月期の業績予想は期初から2度の下方修正を余儀なくされた結果、営業損益は10億円の赤字。バーバリーショック以来6期連続の営業赤字に終わった。消費の二極化傾向が進む中で、特に同社が強みとするボリュームゾーンの婦人服フロアは一層厳しい状況が予想される。だが大江社長の戦略方針は揺るがない。「当社の販売状況をみると、高価格帯のテーラードスーツの売れ行きが上向いており、クオリティーやグレードの高さを求める消費者のニーズは高まっている。ミドルアッパー市場の今後には全く悲観していない」。

トップページに戻る
NEWS 02

サマンサタバサが社長交代、後任にエステー元社長の米田氏を内定 6期連続の赤字で

 バッグ大手のサマンサタバサジャパンリミテッドは新社長に、スギホールディングスとエステーの社長を務めた米田幸正氏を内定した。5月26日の株主総会後に正式に就任する。サマンサは2019年12月からアニエスベージャパンのトップなどを歴任した門田(もんでん)剛社長の下、親会社のコナカ主導で経営再建を進めてきたが、2022年2月期も純利益が6期連続の赤字に沈むなど苦戦が続いていた。複数の大手企業でトップを務めた経験豊富な米田氏の下で再建に取り組む。

 米田氏は1950年10月22日生まれ。伊藤忠商事を経て、2007年にピジョン常務取締役、09年にスギホールディングスとスギ薬局の社長、12年にエステー社長を務め、21年5月からはサマンサの社外取締役に就任していた。

 5月26日付で門田社長のほか、永井利博取締役管理統括本部長と小嶋裕之取締役も退任する予定(小嶋氏は子会社バーンデストローズジャパンリミテッドの社長は続投)。

 サマンサタバサジャパンリミテッドの22年2月期決算は、売上高が前期比12.3%増の253億円と5期連続の減収に歯止めをかけたものの、営業損益が27億円の赤字(前期は35億の赤字)、経常損益が24億円の赤字(同35億円の赤字)、純損益が41億円の赤字(同100億円の赤字)だった。2月末時点の自己資本比率は10.8%に落ち込んでいる。23年2月期は売上高が307億円、営業利益3億6000万円、経常利益3億6100万円、純利益1億円と黒字化を計画している。

トップページに戻る

最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。