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「知る」こそ「考える」の契機
障害児教育を専攻していた大学時代、北欧には障がい者向けの性風俗サービスがあって、公的補助さえ受けられると聞いて驚いた記憶があります。サービスの利用者、提供者に取材した書籍を読んで、「そうだよね。何にも変わらないハズだよね」と感じた記憶が蘇りました。性風俗という存在自体賛否両論なのでしょうが、実在するサービスであれば、「障がい者だから受けられない」は問題です。
授業では、「障がい者向けの性風俗サービスは、日本でも提供されるべきか?」について討論会が行われました。最初はふざけ半分だったり、“距離を置きたい”感を醸し出していたりの生徒も、最終的には真剣に考えるようになりました。「知る」が「考える」の契機になることを学びました。この取り組みが、そんな存在になればと思ったのです。
テンガが障がい者福祉事業に進出 「障がい者=性に不自由でも仕方ないという考え方を変えたい」
男性向けセックストイの「テンガ(TENGA)」を手掛けるテンガ(東京、松本光一社長)は、障がい者福祉事業に進出し、就労を通して自立を後押しするプロジェクト「エイブル プロジェクト(able! project)」をスタートさせる。就労継続支援B型事業所「エイブル ファクトリー(able!FACTORY)」(埼玉県川越市)を4月下旬に開設し、障がいのある人の就労・生活支援を行う。
“性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく”というビジョンの基、看板商品“テンガ オリシナル バキューム・カップ”などのセルフプレジャーアイテムを展開してきたテンガだが、性機能の悩みや妊活をサポートする製品の開発、中高生向けの性教育サイト「セイシル」での情報発信など、さまざまな取り組みも行っている。また、手が不自由でも使える“テンガ用カフ(補助具)”を作業療法士と共同で開発するなど、障がいを持つ人の性の悩みに向き合ってきた。
就労継続支援B型事業所は通所型サービスで、モノづくりの技術を学びながら働き、働き方に応じて工賃を得ることができる仕組みだ。「エイブル ファクトリー」では、衣料品の印刷、パソコンのレストア、通販サイト運営などを行う。また、同所でシュリンクフィルム包装作業を行って完成するバキュームカップ“able! TENGA”のパッケージには、障がいを持つアーティスト・山野将志の作品を採用した。事業所内にはドッグカフェと屋外ドッグランを備え、障がいの有無に関わらず大人から子ども、犬まで分け隔てなく楽しめる施設となっている。
松本社長は、「働く喜びやお客さんに喜んでもらえるうれしさを広げたいという気持ちが始まり。それを自分たちでできるやり方で提案したいと考えた結果であり、アダルトグッズを手掛けているテンガだから、という特別なものはない」と前置きした上で、「それでもテンガが関わる意義があるとしたら、性の悩みについてだと思う」と話す。「障がいのある人の“性の問題”は、これまでタブー視され、蓋をしてしまっている。性欲は人の根源的な欲求であるにも関わらず、不自由でも仕方がないと思われがちだ。しかし、自分の意思で性的なことを満たせない状態というのは、“目の前に大好きなごはんがあるのに、何日も食べられない”のと同じこと。それを障がいがあるから満たされなくても仕方がないという形にはしたくない。このプロジェクトをはじめ、障がいがある人への支援を広げていきたい」と語った。
渋谷109が「卒業写真」をプレゼント 「コロナ禍で遊びを制限された若者を応援」
ファッションビルの「渋谷109」は、今春卒業式を迎える学生を対象に、プロのファッションフォトグラファーが渋谷駅周辺で無料で撮影するイベントを実施する。「卒業生の多くがコロナ禍で様々なイベントや遊びが制限されてきた。若者たちの、かけがえのない“いま・ここ”をファッションの力で応援できることを考えた。今はスマホできれいな写真が誰でも撮れる時代だが、プロが撮影する写真はまた特別。友人たちとの特別な1ページになれれば」(同社広報)という。卒業生は中学校、高校、大学、専門学校が対象。
特設ページから申し込みを受け付ける。撮影イベントは3月28〜30日の3日間で、1日6組、合計18組を抽選で決定する。1組2〜4名を想定している。当日は「何気ない日常・放課後・友達との時間」などをテーマに、渋谷109や渋谷周辺のスポットをプロのファッションフォトグラファーと相談しながら決めて撮影。フォトグラファーは大森文暁、内川幸貴、照井康平の3人で、通常のファッションシューティングと同様にレタッチ処理を行って2〜3週間後にデータを提供するほか、当日はインスタントカメラを参加者に渡し、自分たちでも撮影できる。また買い物券1000円分を人数分プレゼントし、申し込みは21日まで。
デサントがゴルフ4ブランドを集めた旗艦店 銀座に19日オープン
デサントは19日、東京・銀座の並木通りに旗艦店「デサントゴルフ コンプレックス銀座(DESCENTE GOLF COMPLEX GINZA)」を開いた。2018年4月から営業していた「マンシングウェア クラブハウス銀座」を全面改装し、「マンシングウェア(MUNSINGWEAR)」だけでなく、「デサント(DESCENTE)」「ルコックスポルティフ(LE COQ SPORTIF)」「ランバン スポーツ(LANVIN SPORT)」まで同社の4ブランドをそろえる。3フロアで売り場面積は約330平方メートル。3年後に売上高2億円を計画する。
1階にもっと勢いのある「デサント」を置き、並木通りの歩行者にアピールする。「マンシングウェア」「ルコックスポルティフ」「ランバン スポール」はメンズを2階、ウィメンズを3階に並べて、落ち着いた空間でじっくり選べるようにした。
18年に「マンシングウェア クラブハウス銀座」開店した際は、売上高に占める訪日客の割合が4割に達していた。コロナで訪日客は消失したものの、3密を避けたレジャーとしてゴルフ人気が高まっている。「並木通りは20〜30代のお客さまが多く行き来する」(同社)ことに着目し、若い女性の支持が高い「デサント」をはじめとした複数ブランドの旗艦店として再スタートを切ることになった。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。