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コンゴのファッショニスタ「サプール」を追いかける写真家ボードワン・ムアンダが語る「サプール」の魅力とファッションの持つ力

 京都で5月10日まで、国際写真祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2015」が開催中だ。3回目となる今年は、京都市内15カ所に会場を設置し、9カ国14組の写真作家が参加している。四条河原町からほど近い場所に位置する村上重ビルのギャラリーでは、アフリカ・コンゴの写真家、ボードワン・ムアンダ(Baudouin Mouanda)の写真作品を展示中だ。1981年コンゴに生まれ、93年に写真家としての活動をスタート。自国の現代芸術展を目的としたアーティスト集団「コレクティフ・ジェネレーション・イリリ」の創設メンバーにも携わるなど、活躍の場を広げている。また彼は、コンゴのファッショニスタ集団「サプール(SAPE)」と常に行動を共にし、彼らを撮り続けている。

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 「サプール」とは、“サップ”と呼ばれるコンゴ発祥のファッション美学を実践する人々。フレンチシックを独自にアレンジしたエレガントな紳士たちの装いが話題を呼んでいる。同展では、ムアンダが撮りためた彼らの写真を展示中だ。ムアンダに、「サプール」の魅力と彼らが示すファッションの可能性について聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):「サプール」を撮るようになったきっかけは?

ボードワン・ムアンダ(以下、ムアンダ):始めは内戦で親を亡くし、ストリートで生きるコンゴの孤児たちを撮影していたのだけれど、何か明るいものを撮影したいと思って「サプール」を撮り始めたのがきっかけ。他のカメラマンもたくさん彼らを撮影しているが、多くは1週間ぐらいだけ撮影しに来ておしまい。私は彼らと常にそばにいて、2009年から現在まで撮影している。

WWD:彼らの魅力はどんなところ?

ムアンダ:人生を楽しもう、毎日の生活のすべてを祝福しよう、という姿勢。コンゴでは、素敵なスタイルをしている人には皆「いいね、素敵だね」と声をかける。欧米は人々の間に距離があるけれど、コンゴの人々の関係はもっと親密だ。見ず知らずのおしゃれな「サプール」二人がばったり道で出会ったら、初対面なのに20〜30分も話しこむこともあるほど。彼らを見ることで、楽しい雰囲気になる。皆がハッピーになって、笑顔が生まれている。

 例えばこういう「サプール」がいる。ずっと外出していても、家に帰る前に、わざわざバーに立ち寄ってその場で1時間ただ立っているんだ。じっと動かず、皆に自分のカッコよさを見せるための1時間を持つ。彼にもし「何をしているの?」と聞いたら、そこから会話がはじまる。それを彼はとても喜ぶんだ。

 会話がウィットに富んでいるのも、「サプール」の魅力。例えば「君の足元見てみなよ。クロコダイルがいるよ!」と「サプール」の人に言われる。そう言われて下を見たら、彼の自慢のクロコダイルの靴を見させられるってわけ。うるさい人がいたら、「ごめんね、『サンローラン』さん(自分のジャケットを指して)がうるさいって言っているよ」とかね(笑)。誰かと話すことを恐れない、自分に自信のある人でないと、「サプール」ではいられない。

WWD:コンゴの人たちにとって「サプール」はどんな存在になっている?

ムアンダ:コンゴの文化の代表的な存在になっている。国や町の公式イベントには必ず「サプール」の姿がある。国の公式のイベントで何かの行進があったとすると、「サプール」が中に必ずいる。しかも列の一番後ろに!「サプール」を見たくて来ている人も多いので、「サプール」を最後の列にしておかないと、行進を見ないで帰ってしまうんだ。

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