Fashion. Beauty. Business.

TOPICS

ラグジュアリー・ストリートの雄、去る

“ラグジュアリー・ストリート”ブームをけん引したブランドの一つ「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン」の創業者マルセロ・ブロン=クリエイティブ・ディレクターが退任を発表しました。後任は置かず、今後はデザインチームに託すとのこと。かつてのミラノ・メンズ・ファッション・ウイークに活気を与えていたブランドで、2年前の2023年春夏コレクションでは、設立10周年を祝してデザイナー本人がショーにサプライズ登場する“モデル・俺”の演出でゲストを楽しませてくれました。

寂しい気持ちもありますが、当時の“ラグジュアリー・ストリート”のムーブメントを作ったデザイナーやブランドの多くは転換期を迎えています。「パーム エンジェルス」のフランチェスコ・ラガッツィや、「ヘロン・プレストン」のヘロン・プレストンは、大企業との協業に光明を見出しています。多くの“ラグ・スト”ブランドを擁し躍進したニューガーズグループは、ブームが去った現在の状況からどのように立て直しを図るのでしょうか。

大塚 千践
NEWS 01

「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン」の創業デザイナーが退任 今後はデザインチームがコレクションを制作

アパレル企業ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)は4月22日、傘下ブランド「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」の創業者であるマルセロ・ブロン=クリエイティブ・ディレクターの退任を発表した。後任は置かず、今後は同ブランドのデザインチームがコレクションを制作するという。なお、同氏のこれからの動きについては明らかになっていない。

ブロン創業者は、アルゼンチン・パタゴニア地域生まれ。ティーンエイジャーの頃にイタリアに移り、1990年代後半にミラノのクラブでドアマンとして働き始めたことを機会に、ファッション関連の業界人と顔見知りになった。友人らのために制作したTシャツが話題を集め、2012年に「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン」を立ち上げた。14年には、メンズ最大の見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」の若手支援プログラムに選出され、コレクションを発表。南米のカルチャーとテクノを融合した作風で一躍有名に。15年には、人気セレクトショップのアントニオーリ(ANTONIOLI)を運営するクラウディオ・アントニオーリ(Claudio Antonioli)と、ミラノ発のカジュアルブランド「ヴィンテージ55(VINTAGE 55)」の創業者ダヴィデ・ドゥ・ジーリオ(Davide De Giglio)と共同で出資し、NGGを設立した。

親会社ファーフェッチの事情で
NGGの先行きも不透明

しかし、19年8月に高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)がNGGを6億7500万ドル(約1039億円)で買収。現在は、「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」「アンブッシュ(AMBUSH)」「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」など10ブランドを擁するほか、故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)による「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」(以下、オフ-ホワイト)をライセンス生産し、「リーボック(REEBOK)」のヨーロッパにおける小売や卸を手掛けている。なお、「オフ-ホワイト」の商標権を持つオフ-ホワイト合同会社(OFF-WHITE LLC)は21年、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)に過半数株式を売却している。

一方、ファーフェッチは23年12月15日に経営破綻に陥っていることが明らかになり、18日に韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)によって買収された。24年2月には、ファーフェッチの創業者であるジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)会長兼最高経営責任者(CEO)が辞任。社内メモによれば、同氏はコンサルタントなどの役割でファーフェッチに残っており、現在はクーパンの創業者であるボム・キム(Bom Kim)CEOとファーフェッチのエグゼクティブチームが事業を率いているようだ。

なお、1月には伊ファンドのスタイル キャピタル(STYLE CAPITAL)がNGGの買収を検討していると報じられたが、現時点では実現していない。また、ファーフェッチが擁する英セレクトショップのブラウンズ(BROWNS)や、スニーカーのリセールサイト「スタジアム・グッズ(STADIUM GOODS)」など、ほかの資産の今後についても不透明なままとなっている。

トップページに戻る
NEWS 02

「イプサ」が値上げ ベストセラー“ザ・タイムR アクア”など17商品

「イプサ(IPSA)」は6月18日、ベストセラーの薬用化粧水“ザ・タイムR アクア”やスティック状美容液“ザ・タイムR デイエッセンススティックe”など17商品の価格を改定する。原材料などの価格高騰を受け、最大1100円値上げする。

“ザ・タイムR アクア”(100〜300mL)は2640〜5500円から2970〜6050円に、“ザ・タイムR デイエッセンススティックe”は3190円から3410円に、“ザ・タイムR リップエッセンス”は2750円から2970円に、“ザ・タイムR アクアオイル”は5500円から5940円に、“ザタイムリセット マイクロミスト”は2420円から2640円に、“ブライトニング セラム”(20〜50mL)は6600〜1万3200円から7260〜1万4300円に、“クリエイティブコンシーラーe”は3850円から4180円に変更し、このほかクレンジングなど17商品を対象に220〜1100円値上げする。

トップページに戻る

最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。