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「ザラ」のリセールプラットホーム

 数年前、他業界で働く友人に言われました。「自動車業界だと中古車もトヨタならトヨタ、日産なら日産のディーラーが扱っているけど、なんでファッションはそうじゃないの?」。ガツーンと頭を殴られた気分でしたが、ファッション業界もいよいよそれが当たり前になりつつあります。「ザラ」がそのようなリセールの場を英国で試験的にスタートするようです。詳細は記事1本目をご覧ください。

 先日、ユニクロが国内の店舗にリペアコーナーを初導入したことも話題になりました。消費者に長く大切に着てもらい廃棄を減らす。それでも必要がなくなった商品は、次の持ち主のもとへスムーズに届けられるようにする。「ザラ」や「ユニクロ」といったガリバーの動きが、業界全体にいい影響をもたらしそうです。

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

「ザラ」が英国でリペアとリセールプログラム始動

 「ザラ(ZARA)」はサステナビリティ戦略の一環で、リペア、リセールおよびリサイクルからなる循環型プログラム「プレ オウンド(Pre-Owned)」のパイロット版を11月3日に英国で始動する。

 リペアサービスは、自社製品のみを対象とし、英国国内の60の店舗と公式オンラインサイトで受け付ける。着用年数は問わない。利用者は、ボタンやジッパーの付け替え、シームの補修など修繕にかかる費用のほか、オンラインの場合は送料も負担する。商品の到着後、10日以内に返送する。

 同プログラムの第2の柱は、顧客間で「ザラ」の中古商品の売買ができるリセールプラットホームの立ち上げだ。出品者がアイテムのタグやバーコードをスキャンすると、該当アイテムの写真と情報が自動的に「ザラ」から提供される仕組みで、出品者は必要に応じて写真や詳細を追加できる。出品手数料は無料で、購入者は1ポンド(約168円)の手数料と5%のサービス料を支払う。

 また、2015年に始動した店頭での衣料品の回収および寄贈プログラムを拡大する。自宅での回収にも対応するほか、他社商品も回収対象とする。英国赤十字社と提携し、同団体が仕分けや再販、リサイクルを行う。19年時点では3万4000トンの中古商品を回収した。

 パウラ・アンプエロ(Paula Ampuero)「ザラ」サステナビリティ責任者は、「使用できない衣料も信頼できるルートを見つけ、埋立地に行く廃棄衣料がなくなるよう英国赤十字社に求めている」と話す。同氏は現状の繊維リサイクルの難しさに言及した上で、「私たちは、廃棄衣料をごみとは呼ばず新たな資源として捉えようとしている」とも述べた。

 「バーバリー(BURBERRY)」や「グッチ(GUCCI)」といったラグジュアリーブランドをはじめ、マス向けブランドの「リーバイス(LEVI’S)」「ナイキ(NIKE)」、「ザラ」の競合に当たる「H&M」、その姉妹ブランドの「コス(COS)」などもリセールプラットホームの設立や投資を開始しており、「ザラ」は出遅れたかたちとなっていた。

 アンプエロ=サステナビリティ責任者は、「このプログラムは当社にとっても初の試みだ。英国でどのように機能するかを検証し、市場の全体を理解に役立てたい」と話す。

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NEWS 02

「シーイン」が世界初の常設店舗、東京・原宿に

 「シーイン(SHEIN)」は、東京・原宿に世界初の常設店舗「シーイン トーキョー」をオープンする。2012年にスタートした「シーイン」は、店舗を持たず、安さと圧倒的な商品力を武器に公式通販サイトやアプリなどを通して、中国の自社倉庫から世界中の顧客に直販することで急成長を続けてきた。2021年度の売上高は、中国の経済メディア「晩点Latepost」によると200億ドル(約2兆9600億円)に達しているとされ、すでにグローバルSPAブランドの一角を占めるまでになっている。これまでも米国の各都市やスペインなどで期間限定店をオープンしてきたが、常設型の店舗は世界初となる。ただ、店舗では販売を行わず、商品や試着室、SNS投稿用のフォトブースなどを設置したショールーミング型の店舗になる。

 店舗のオープンは11月13日午前11時、場所は裏原宿エリアのキャットストリート沿いの1・2階。店舗面積は201㎡。3つの試着室を設置。主力の婦人服のほか、紳士服、インテリア、ペット用品、子ども服、化粧品、アクセサリー、シューズ、バッグなどを展示する。商品に付属したQRコードタグを読み込むことで公式アプリに飛ばす仕組みになる。

 「シーイン」は現在、大阪でも来年1月27日まで長期間の期間限定店をオープンしており、オープン時には4000人が行列を作るなど話題を集めていた。これまではインスタグラムやTikTokなどのSNSへの広告プロモーションがメーンだったが、こうしたリアル店舗に加え、11月にはテレビCMもスタートするという。

 「シーイン」は母体を中国企業が運営しており、カットソーなら200円から、アクセサリーなら100円以下からという低価格で販売。1品番数百枚を販売しながら、デジタルマーケティング技術で、売れ筋だけを追加投入するビジネスモデルを確立している。店舗なしのD2C型、中国の巨大倉庫から150カ国の消費者に直接配送する越境ECモデル、非上場など、これまでのグローバルSPAの常識を覆すビジネスモデルで急成長を遂げている。

■SHEIN TOKYO
オープン日:11月13日
時間:11:00〜19:00
定休日:年末年始
店舗面積:201㎡
場所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4丁目25­9 1・2F b-town C棟

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。