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神戸、百貨店秋の陣開幕!
神戸阪急が本日31日にリニューアルオープンします。新館はラグジュアリー&デザイナーズの雑貨を強化、本館は化粧品強化です。新館にできた世界発の「クロエ」のジェラートスタンドがどんな感じか気になります。コロナ前に訪れたパリのギャラリー・ラファイエットのシャンゼリゼ店も「ジャックムス」のカフェなどが入っていましたが、あんなイメージでしょうか。
一方で神戸といえば大丸神戸店のお膝元です。煽るつもりはないですが、神戸の百貨店秋の陣開幕ですね。ただ、関西の商業というと近年は梅田や心斎橋の再開発の話が中心でした。「阪神大震災以来、盛り下がってきた神戸が盛り返すチャンス」と、神戸にゆかりのある業界人は先日話していました。神戸地区全体が盛り上がるといいですね。
神戸阪急がファッションフロアを新装 神戸の“美意識”に応えるジャンルレスな売り場
神戸阪急は31日、本館・新館の一部フロアを新装オープンする。新館1〜3階は、「ハンキュウ モード コウベ」と銘打ち、神戸の感度の高い消費者に向けてコンテンポラリーファッションを軸にビューティや雑貨もミックスする。本館2〜4階はデジタルを活用したパーソナルな化粧品の提案に磨きをかけ、「コウベ ハンキュウ ビューティ」としてリニューアルする。
同店がある三宮の周辺には、大丸松坂屋百貨店の主力店舗で強固な顧客基盤を持つ大丸神戸店がある。また阪急本店の所在する梅田駅にも電車で約20分と、商圏が近接している。30日に開かれたメディア向け内覧会で杉崎聡店長は、「品ぞろえの物量や新しさで(他店と)張り合うつもりはない。神戸に住む人々の価値観や審美眼をいかに理解し、寄り添えるか。これが当店の存在意義になる」と語った。
新館の「ハンキュウ モード コウベ」は、「ジル サンダー(JIL SANDER)」「ケンゾー(KENZO)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」といったコンテンポラリー・ハイデザイナーズファッションを主役とする一方、雑貨や食などの比率を約3割まで高めた。「神戸人はトレンドに流されることなく、エレガントな遊び心を持ち、自分なりの美意識を持って物を選ぶ。売り場もそれにマッチしたものでなくてはならない」と杉崎店長。
フロア中央は、「クロエ(CHLOE)」による世界初のジェラートスタンド「クロエ・ル・グラシエ(CHLOE LE GLACIER)」(2階)や香水セレクトショップの「ノーズショップ(NOSE SHOP)」(同)、ビンテージのレアスニーカーショップ「ワームコウベ(WARM KOBE)」(3階)などをジャンルレスに集積する。その他にも神戸初出店の英国インテリアショップ「ザ・コンランショップ(THE CONRAN SHOP)」(3階)があったり、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」(2階)にバーが併設されていたりと、画一的でないフロア構成が回遊する楽しさを生み出す。神戸ならではの店内演出として、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」では神戸港の造船所の木材を、「マルニ(MARNI)」では景観維持を目的に間伐した市街地の材木を什器に取り入れた。
本館「コウベ ハンキュウ ビューティ」の2階は“ラグジュアリービューティ”をテーマに国内外約30ブランドをラインアップ。中央には「ビューティステーション」を設置してメイクアップイベントやライブ配信などのイベントを行う。資生堂やコーセーの「コスメデコルテ(DECORTE)」はオンラインカウンセリングに特化したカウンターや個室を用意し、「M・A・C」はタブレット端末によるバーチャルメイクが可能。3階は「アヴェダ(AVEDA)」「サボン(SABON)」といった比較的値ごろなバス・ボディーケアで若年層やギフト需要を取り込む。4階は、顔専門のトレーニングプログラムを提案する美顔機器の「ヤーマン(YA-MAN)」をはじめ、体験型コンテンツが豊富だ。
阪急阪神百貨店は約80億円を投じ、23年秋までに神戸阪急の全館営業面積の9割を改装する。旧そごう神戸店(〜2019年10月)時代から長らく大規模改装がなされないまま、婦人服に偏っていたカテゴリーバランスをテコ入れする。神戸市による三宮地区の再整備事業とも足並みをそろえ、エリア密着型百貨店として刷新を進める。6月には新館1階に「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「セリーヌ(CELINE)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」をオープンした。
壁が動いた「ネグレクトアダルトペイシェンツ」やユニホーム企業「ハイドサイン」など異色ぞろい 「WWDJAPAN」が選ぶ東コレ2日目のヒットブランド
2023年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」(以下、東コレ)が8月29日に開幕した。9月3日までの6日間、国内外のバイヤーやジャーナリストに向けて、全49ブランドがリアルショーやオンライン形式でコレクションを披露する。
「WWDJAPAN」は今シーズンも、総力をあげて東コレを取材。ここでは、取材班が“イケてる!面白い“と思ったブランドを毎日リポートする。2日目は「ハイドサイン」「ネグレクトアダルトペイシェンツ」「ホウガ」をお届け。
東コレ取材5シーズン目
編集部 美濃島
「ハイドサイン(HIDESIGN)」1 / 1
見どころ:普段はプロ向けのユニホームをデザインするハイドサインが、スタイリストでファッションディレクターの山口壮大をクリエイティブディレクターに迎えて、ファッションブランド「ハイドサイン」として東コレに参戦!ブルーカラーやホワイトカラーに分類されない労働者=“グレーカラー“に向けた新しいユニホームを提案しました。日本のワークウエアらしい緑がかったグレーをキーカラーに、マルチポケットのギミックと、アームカバーやベストによるレイヤードで、作業着をファッションとしてアレンジ。それぞれのポケットがハンマー用、ヘラ用、カッター用と特定の用途があるのも、ユニホーム企業ならではです。さらに、「当たり前のようにこだわってきた、長く使える耐久性」(吉井秀雄ハイドサイン社長、チーフデザイナー)と、東レが開発した植物由来の素材を採用し、環境にも配慮しました。いくつかのピースは一般消費者向けに販売する予定とのことで、ビジネス面の成果も楽しみです。入り口で来場者一人一人がタイムカードを切る演出からも、現場仕事へのリスペクトを感じられました。
東コレ取材2シーズン目
ソーシャルエディター佐立
「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATIENTS)」1 / 1
見どころ:毎シーズン、プレイフルな演出で観客を楽しませてくれる「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATIENTS、以下ネグレクト)」。今回は、「ランウエイなのに歩かなかったら」という渡辺淳之介デザイナーのアイデアから、"可動式の壁"に最初のモデルが乗って登場しました。恒例の麺を食べるパフォーマンスは、麺を用意まではしていたけど「そろそろいいかな」と卒業を決断。自由なクリエイションが「ネグレクト」らしいです。1990年代を感じさせるルックは、英国ロックバンドのブラー(Blur)などブリットポップの音楽シーンがインスピレーションだそう。"可動式の壁"の花柄模様は「SONG2」のミュージックビデオを再現。スポーティーな素材、ゆったりとしたシルエットやトラックスーツなどは、英国で"チャヴカルチャー"とステレオタイプ的に呼ばれた労働者階級の若者のファッションを連想させます。
東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「ホウガ(HOUGA)」1 / 1
見どころ:「ホウガ」は今季、ロックやパンク、ストリートの要素が加わった力強いコレクションを見せました。「ほっこりとした、甘いテイストのブランドだと言われることが多い」と石田萌デザイナーが話す通り、実は私もそのようなイメージを持っていた一人でした。しかし、その印象は一変。得意とするラッフルやギャザーなどの要素はありつつも、フリルがランダムに接ぎ合わされていたり、ボリュームが増していたりと、反骨精神を感じさせます。シーズンテーマも「MY WILL, OUR WILL(私の意思、私たちの意思)」と、意思を持つことで「世の中の当たり前に流されないで」という思いを込めたそうです。目を引くシルバーやルビーピンク、サファイアブルーなどのカラーパレットは、石田デザイナーが幼少期から少しづつ集めてきた鉱石や宝石の色から着想を得たそう。「大切なものを守るため、自分の意思に自信を持てるように」と。社会問題や環境問題が避けられないトピックになっている今、そいうったメッセージのある服は、人の心を動かし、共感を得られるはず。“かわいい”や”かっこいい”だけでなく(見た目は大前提ですが)、ファッションの持つパワーを感じられたコレクションでした!
「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。