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笑いあり涙ありの東コレ開催中

 2022-23年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京」が19日まで開催中です。「WWDJAPAN」では若手主体の取材チームが連日連夜駆け回っており、臨場感のある情報を記事やSNSを通じて発信しています。今回は参加54ブランドのうち半数以上の30ブランドがリアルのショーを実施。正統派のファッションショーから、ツッコミどころ満載な奇天烈インスタレーションまで表現はさまざまで、ファッション・ウイークの自由な雰囲気を少しずつ取り戻しているようです。

 「WWDJAPAN」の3人の記者が、それぞれの視点で選んだブランドをピックアップして振り返る“今日の東コレダイジェスト”も毎日熱量たっぷりに更新中。取材歴10年目のベテランや初取材に挑戦しているルーキーらの個性的な着眼点が、まさに今の東コレっぽくて面白いです。

大塚 千践
NEWS 01

期待の若手「タナカダイスケ」や前代未聞の「ベッドフォード」ARショー 記者3人が選ぶ“今日の東コレダイジェスト”

 2022-23年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が3月14日に開幕しました。3日目は華々しいデビューショーを飾った「タナカ ダイスケ(TANAKADAISUKE)」や実験的なショーを行った「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」など、多彩なラインアップが目白押しです。記者3人がその日に発表したブランドから面白かったブランドを“今日の東コレピックアップ“と題してダイジェストでリポートします!


東コレ取材4シーズン目
編集部 美濃島
「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」

見どころ:「ベッドフォード」の実験的なショーが面白かった!経済産業省による“産業高度化推進事業“の一環で、ボリュメトリクス撮影(撮影物の形や位置、動きなどをデータ化し、ARなどに応用できる技術)を活用。QRコードを読み取ると該当ルックの3Dデータがスマホに現れ、カメラと連動してその場がランウエイになります。ルックのイメージが伝わってくるし、モデルのウオーキングもリアル。服の細部まで見えるわけではありませんが、今後の可能性を感じました。フィジカルショーは、バックステージとランウエイを一体化させた開放的なロケーション。「親しみのあるスタッフやモデルとショーの仕事ができるのが、東京で発表する価値」と山岸慎平デザイナーが語った通り、ショーの前後でモデルやスタッフがそれぞれに会話を楽しんでいたのが印象的でした。コレクションテーマは“男の子“。クラシックで色気のあるテーラードジャケットやひもを垂らしたシャツなどを軸に、花のモチーフや星のバッジ、仮面ライダーのようなスカーフ、長い耳当てが付いたハットなど、少年時代に親しんだ要素を散りばめました。淡いブルーやイエローのカラーパレットもどこかノスタルジック。現場の和やかな空気感とウエアのビュアなムードがマッチした、気持ちいいコレクションでした。


初取材のルーキー
編集・記者 福永
「チノ(CINOH)」

見どころ:茅野誉之デザイナーの「チノ(CINOH)」は、前シーズンに引き続き、オンラインでコレクションを発表しました。映像は、それぞれ異なるカラーのコートをまとった女性が勇ましく歩く後ろ姿からスタート。茅野デザイナーの「表面の質感にこだわった」という言葉通り、凹凸でうねりを表現したアイテムや、立体感のあるベルベットを使った素材感が目を引きました。ダブルのコートやベスト、ハイネックのニット、スラックスなどのタイムレスなアイテムが多く、“洗練されたナチュラル“という印象です。中盤以降は、一面に草と林が広がる空間。都会的なファッションと自然背景のギャップが、人の持つ生命力をより鮮やかに映し出しているように見えました。着る人の内に秘めた強さや輝きを際立たせるのは、このような普遍性がベースにある服なのかも――そう感じ取れる映像でした。


東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「タナカ ダイスケ(TANAKADAISUKE)」

見どころ:田中大資による「タナカ ダイスケ」が、母校である大阪文化服装学院のサポートで初のショーを開催しました。田中デザイナーは、「ケイタマルヤマ(KEITA MARUYAMA)」で経験を積み、刺しゅうアーティストや衣装デザイナーとしても活動。デビューから2年目ですが、デザイナー自ら手掛ける繊細な刺しゅうでロマンチックなスタイルを確立し、業界にもファンを増やしています。デビューショーでは、アイコニックな刺しゅうをふんだんに施したドレスやテーラードアイテムがズラリ。モデルにスポットライトを当て、スパンコールをのせたシースルーのドレスがキラキラと輝いていました。メンズモデルが着こなした、背面に羽を刺しゅうしたジャケットとパンツのセットアップなども印象的。日常と非日常の狭間を美しく描きました。ショー後に「楽しかった!次もショーを行いたい」という田中デザイナーは、やる気も実力も充分。手の込んだ刺しゅうアイテムが多いため、現在は卸を行わず、ECでの受注生産が中心とのこと。今後の動向にも注目したい期待の若手です。

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NEWS 02

「フミエ タナカ」が初のショーで見せた涙 平和への祈りを込めたフィナーレ

 田中文江による「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は16日、2022-23年秋冬のファッションショーを行った。20年春夏にブランド名を「ザ・ダラス(THE DALLAS)」から「フミエ タナカ」に改名後、ショーは初となる。会場の恵比寿ガーデンプレイス中央広場は、故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が20年前に「シャネル(CHANEL)」の東京でのショーの会場に選んだ特別な場所であり、もともと「フミエ タナカ」が(コロナ禍でキャンセルになった)20-21年秋冬ショーを計画していた念願の地だ。

35人のモデルたちが着こなす
無国籍でエキゾチックなスタイル

 コレクションはビンテージ、クラシック、ミリタリー、アウトドアなどさまざまな要素を融合した「フミエ タナカ」らしいミックススタイル。スリットを入れたジャケットとパンツのセットアップがあれば、エキゾチックな花柄や幾何学柄のドレス、ミリタリーやアウトドアの要素を入れたアウター、ロマンチックなレースのフリルドレスまで豊富にそろう。カラーパレットは、ブラウンやカーキ、グレーを基調に、ブルーとシルバーの差し色がポイント。枠にはまらない無国籍でエキゾチックな持ち味が全面に出ていた。そのウエアの多様な個性を表現するように、肌の色もジェンダーも異なる35人のモデルたちがコレクションを着こなした。

 東京発の「エフシーイー(F/CE.)」と初めてコラボレーションし、シルバーバックルとフリンジを施したバックパックやクラッチバッグも発表。コーディネートとして合わせた「レッド・ウィング(RED WING)」のシューズもスタイルを際立てた。

 ラスト4ルックには、ブロンドのウィッグの毛を使った、ショーピースのスカートやドレスが登場。ブロンドは田中デザイナーを象徴するヘアカラーであり、幼い頃に人形遊びが大好きだったという自身のアイデンティティーが現れている。

テーマの“エリア23”と
フィナーレに込めた平和への祈り

 今季のテーマ“エリア23(Area 23)”は、田中デザイナーのラッキーナンバーであり、“ふみ”の語呂でもある。また数字の2は“人への感謝”を、3は“周りには仲間がいるから、勇気をもって前に進める”を意味しているという。

 フィナーレでは、ランウエイに一筋の光が差し込み、モデルたちが広場に集合していく。そして大きな輪になり、静かに空を見上げた。「今、世の中で起こっていることを考えて、生きていることが当たり前ではないということを、モデルやスタッフ、来場者のみんなで再認識する時間にしたかった。ショーが開催できたこの一瞬の幸せを噛み締めて、日々の感謝を伝えたかった」。モデルが退場すると、涙を流す田中デザイナーも姿を見せた。その姿に「ブラボー」と歓声が上がり、涙ぐむ者もいた。平和への願いを込め、感情に訴えかけるコレクションと共に、「フミエ タナカ」は強く前進する。

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最新号の読みどころ

記録的な熱波に見舞われた今季のメンズ・ファッション・ウイークは、価値観をアップデートする2つの意味での「解放」がキーワードになりました。1つは、堅苦しいイメージも強い伝統的なテーラードスタイルからの解放。もう1つは、「男はこうあるべき」という固定観念からの解放です。「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」や「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」に象徴される、繊細さや脆さを併せ持つしなやかなマスキュリニティー(男性性)の表現を起点に、メンズファッションの現在地を総括します。