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異文化を取り入れる難しさ
ジャミロクワイにオマージュを捧げたコレクションでアラフォー世代の心をつかんだ2022-23年秋冬シーズンの「ジュンヤ ワタナベ マン」でしたが、協力を得ていたはずのメキシコ文化庁から「対応が不十分で非倫理的」と批判を受けています。ブランド側は文化庁と「ペンドルトン」の協力を得てサラぺ柄を使ったと説明していたものの、文化庁はコレクション発表の時点で交渉は合意前だったと主張しています。
さすがに見切り発車でコレクション制作を続けていたとは思えませんが、最終的な食い違いでこのような事態になると、異文化を取り入れる難しさを改めて感じてしまいます。実物がとても素敵だっただけに、これが“文化の盗用”の事例の一つにされてしまうのは少し残念です。
「ジュンヤ マン」の最新コレクションをメキシコ文化庁が“文化の盗用”と批判
渡辺淳弥が手掛ける「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN以下、ジュンヤ マン)」の2022-23年秋冬コレクションが“文化の盗用”だとして批判を受けている。
1月にデジタルで発表した同コレクションは、イギリス発のバンド、ジャミロクワイ(Jamiroquai)にフォーカスし、ジェイ・ケイ(Jay Kay)のファッションスタイルを「ジュンヤ マン」流に再解釈した。「ジュンヤ マン」は、メキシコ文化庁と毛織物ブランド「ペンドルトン(PENDLETON)」の協力を得て、サラぺ柄をプリントや切り替え、パッチワークに落とし込んだと説明していたが、メキシコ文化庁は同ブランドの対応が不十分で非倫理的だとコメントした。
両者は2021年11月から交渉に入ったものの、合意に達する前に「ジュンヤ マン」がコレクションを発表したことで、メキシコ文化庁は「倫理面における合意よりも商業的なスケジュールを優先した」と批判している。
交渉過程でメキシコ文化庁は、デザインの根源を示すようなラベルを衣服に付けることやデザイン使用料の支払い、素材や機材に対する資金的な支援のほか、集団的権利に関する国際的なセミナーの共同開催などを求めていた。「ジュンヤ マン」の親会社であるコム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)側も、将来的には職人とのコラボレーションを検討すると提案していた。
「ナイキ」VS「ストックX」商標権侵害訴訟 NFT市場における商標利用を問題視
ナイキ(NIKE INC.)は2月3日、リセールスニーカーのオンライン取引所「ストックX(STOCK X)」に対して商標権侵害を理由に損害賠償等を求めてニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提訴した。
「ストックX」は「実物の所有権に紐づいたNFTに投資できる体験」ができるプロジェクト“ヴォルトNFT(Vault NFT)”を公開。この中には「ナイキ」のスニーカーも含まれており、ナイキは「許可なく『ストックX』が『ナイキ』の商標を使用したNFTを発行している」「『ナイキ』が発行者ではない“『ナイキ』のNFT”が発行されている」と主張している。この問題について「ストックX」のスポークスパーソンは、法的問題にはコメントしないという声明を発表している。
ナイキによると、「ストックX」では2022年版“ダンク ロー(Dunk Low)”のレトロ ホワイト/ブラックのヴォルトNFTが平均809ドル(約9万3000円、2月3日時点)で取り引きされていたが、実物は「ナイキ」のECサイトで100ドル(約1万1500円)で販売していたという。
また、「ストックX」が発行した「ナイキ」のヴォルトNFTに対する消費者の反応の例として、TikTokユーザーの「ナイキによる金銭を搾取するためのばかげた詐欺行為」というコメントを示し、「『ストックX』による『ナイキ』商標の使用は、マーケットプレイスの消費者を混乱させ、『ナイキ』の有名な商標を希釈し続ける」と主張している。
ナイキは21年12月、ファッションやスニーカー分野のNFTを多く扱うスタートアップ企業RTFKT(アーティファクト)を買収。22年2月にはRTFKTと共同で複数のバーチャル商品を発表予定だった。また、1月18日には自社の従業員に対して「『ナイキ』のバーチャル製品の開発やWeb3、メタバース、ブロックチェーンベースの体験をコアビジネスと連携して提供する専門の部門として“ナイキ バーチャル スタジオ”を立ち上げる」構想を自社の従業員に対して発表するなど、デジタル領域への進出の動きを強めている。
「WWDJAPAN」12月8日号は、2026年春夏シーズンのメンズ・リアルトレンド特集です。この特集は、国内アパレル企業やセレクトショップのクリエーションの“今”を捉えるために、毎シーズン続けている恒例企画です。今回は特に、「シャツの着こなし」に焦点を当てました。夏の暑さがますます厳しくなる影響もあり、26年春夏の欧州コレクションでは、シャツの見せ方がより自由で軽やかになり、着方そのものがクリエーションとして際立つブランドが目立ちました。その発想や潮流は、国内のリアルクローズ市場ではどのように解釈され、取り入れられているのでしょうか。