世界に大きな影響を生む「ギャップ」のサステイナブル革命

2018/10/12

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 ギャップ社はいち早くサステイナビリティーへの取り組みを推進してきたファッション企業だ。その社名を受け継ぐ「ギャップ(GAP)」は今秋、グローバルキャンペーン「Good Creates Good(良い行いはさらに良いことを生み出す)」を打ち出し、「ギャップ」が実践している地球にとってより良いプロダクトを作るためのプロジェクト “GAP FOR GOOD”を発信している。ここでは、ギャップ社が目指すサステイナブルのモノ作りについて、デイビッド先生に解説してもらった。
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デイビッド・へイヤー/ギャップ財団プレジデント兼ギャップ社グローバルサステイナビリティー シニアバイスプレジデント
PROFILE:2005年にギャップ社に入社し、グローバルサプライチェーン部門でチェンジマネジメントの取り組みを指揮。15年にグローバルサステイナビリティー バイスプレジデントに就任。17年から現職。プライベートでは2人の息子の父。趣味はバスケットボールで、現在コーチも務めている。好きな食べ物はチョコレートがけのナッツ(少しナッツアレルギーがあり少量しか食べることができない)
PROFILE:2005年にギャップ社に入社し、グローバルサプライチェーン部門でチェンジマネジメントの取り組みを指揮。15年にグローバルサステイナビリティー バイスプレジデントに就任。17年から現職。プライベートでは2人の息子の父。趣味はバスケットボールで、現在コーチも務めている。好きな食べ物はチョコレートがけのナッツ(少しナッツアレルギーがあり少量しか食べることができない)

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 ギャップ社の創業者、ドン&ドリス・フィッシャー夫妻が1969年にギャップストアをオープンしてからずっと、“商品の製造に携わる人々、環境に利益を還元すること”を企業理念に掲げている。ギャップ社は1996年に初めてサプライヤーの行動規範を公表。工場と協力をしながら、労働状況の改善や、環境負担を最小限にとどめることができるよう取り組んでいる。現在12カ国以上に約75人いるサステイナブル担当はこの10年間、協業先を “一緒に高品質な商品を生み出していく”という価値を共有できる工場とサプライヤーに絞り、彼らとより密な関係性を構築することに注力している。それにより戦略的に提携工場数を25%以上削減した。

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 ギャップ社の創業者、ドン&ドリス・フィッシャー夫妻が1969年にギャップストアをオープンしてからずっと、“商品の製造に携わる人々、環境に利益を還元すること”を企業理念に掲げている。ギャップ社は1996年に初めてサプライヤーの行動規範を公表。工場と協力をしながら、労働状況の改善や、環境負担を最小限にとどめることができるよう取り組んでいる。現在12カ国以上に約75人いるサステイナブル担当はこの10年間、協業先を “一緒に高品質な商品を生み出していく”という価値を共有できる工場とサプライヤーに絞り、彼らとより密な関係性を構築することに注力している。それにより戦略的に提携工場数を25%以上削減した。

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 “GAP FOR GOOD”は節水、水質管理をしながら、持続可能なコットンを使い、商品製造に携わる女性たちをサポートする取り組みのこと。現在、 “GAP FOR GOOD”のマークを店頭サインや商品のタグで打ち出し、消費者にサステイナブルなモノ作りの重要性を伝えていくことを大切にしている。

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 “GAP FOR GOOD”は節水、水質管理をしながら、持続可能なコットンを使い、商品製造に携わる女性たちをサポートする取り組みのこと。現在、 “GAP FOR GOOD”のマークを店頭サインや商品のタグで打ち出し、消費者にサステイナブルなモノ作りの重要性を伝えていくことを大切にしている。

水の利用効率を促進
節水や水質監視を強化
 アパレル商品の製造時には大量の水が使用される。ギャップ社では工場とデニム洗浄で、水の利用効率を促進。デニム洗浄で使われるすべての水が安全な状態で工場から排出されるように、特殊な処理方法で水質監視プログラムを強化。また、水の使用量を20%削減可能な洗浄技術「ウオッシュウェル」を取り入れている。

→詳しくはQ.3で解説!
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コットン
サステイナブルで品質の高い
“ベター・コットン”を調達
 デニムやシャツなど、コットンは重要な素材の一つ。ギャップ社は2016年にサステイナブルなコットンの生産を目指す「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」に参画した。現在、BCIの基準を満たした“ベター・コットン”を1億2000万ポンド(約6万8000トン)以上調達。商品のクオリティーを重要視する中で、21年までに100%の持続可能な綿の調達を目標にする。
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P.A.C.E.
16カ国で6万8000人以上の女性が参加
女性エンパワメントプログラム
 ギャップ社の商品の製造に携わる8割が女性。2007年、工場で働く女性に向けたエンパワメントプログラムP.A.C.E.(Personal Advancement & Career Enhancement)をスタートさせた。彼女たちが必要とするライフスキルやキャリアにまつわるトレーニングを提供し、個人的な能力を向上させることを目指す。現在、プログラムは16カ国で運営されており、これまでに世界中でおよそ10万人の女性が参加している。
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 工場やサプライヤーと協力し製造工程を改善することで、2020年までに100億リットルの節水を目指している。この節水で実現できる水の量は、50億人分の飲み水に値する。15年からの3年間では24億リットルの水を節水した実績がある。またギャップ社では、商品開発やデザインする段階で水の使用量や化学薬品の使用を減らす方法を模索し、まだまだ改善の余地はあると考える。

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 工場やサプライヤーと協力し製造工程を改善することで、2020年までに100億リットルの節水を目指している。この節水で実現できる水の量は、50億人分の飲み水に値する。15年からの3年間では24億リットルの水を節水した実績がある。またギャップ社では、商品開発やデザインする段階で水の使用量や化学薬品の使用を減らす方法を模索し、まだまだ改善の余地はあると考える。

ウオッシュウェルとは?

 「ギャップ」が導入しているスマートなデニムの洗浄技術で、デザインやはき心地はそのままに節水することができるもの。従来の使用する水の量を20%減らし、米国農務省(USDA)がBioPreferred®として認定した植物由来の柔軟剤を使用している。
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 ギャップ社はグローバルファッションアジェンダによる「サーキュラー・システム・コミットメント」に加入し、エレンマッカーサー財団「メイク・ファッション・サーキュラー・イニシアティブ」のコアパートナーになっている。この取り組みに参加することで、リソースの回収、リサイクルを促進させるだけでなく、業界全体を前進させていきたいと考えている。アップサイクル素材にも着目し、ペットボトルから作られたポリエステルやナイロンなどを採用している。2017年には2500万本のペットボトルをリサイクルした実績がある。

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 ギャップ社はグローバルファッションアジェンダによる「サーキュラー・システム・コミットメント」に加入し、エレンマッカーサー財団「メイク・ファッション・サーキュラー・イニシアティブ」のコアパートナーになっている。この取り組みに参加することで、リソースの回収、リサイクルを促進させるだけでなく、業界全体を前進させていきたいと考えている。アップサイクル素材にも着目し、ペットボトルから作られたポリエステルやナイロンなどを採用している。2017年には2500万本のペットボトルをリサイクルした実績がある。
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 今、ファッション産業は大きな転換期に直面している。ドン&ドリス・フィッシャーがギャップ社を創業した1969年から小売りビジネスの在り方や経済状況、天候が変わっていても、“いい商品を持続可能な形で届けていく”というギャップ社の使命は変わっていない。それは“Good people make good business(善良な志を持った人々が善良なビジネスを生み出す)”という考えに基づくもの。「ギャップ」の商品がクローゼットでお気に入りのアイテムになり、長く愛されるようクオリティーの向上を図っていく。

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 今、ファッション産業は大きな転換期に直面している。ドン&ドリス・フィッシャーがギャップ社を創業した1969年から小売りビジネスの在り方や経済状況、天候が変わっていても、“いい商品を持続可能な形で届けていく”というギャップ社の使命は変わっていない。それは“Good people make good business(善良な志を持った人々が善良なビジネスを生み出す)”という考えに基づくもの。「ギャップ」の商品がクローゼットでお気に入りのアイテムになり、長く愛されるようクオリティーの向上を図っていく。

デイビッド先生が9年間愛用中の
「ギャップ」の“1969ジーンズ”

 「ギャップ」の“1969ジーンズ”を2009年に購入し、週2回はいています。はき心地がよく、バックポケットにはフラップが付いていているところが気に入っています。このジーンズと共に15カ国以上を訪れ、サンフランシスコの美しい夕焼けやロンドンの雪景色を見て、ベトナムで泥だらけになるなどさまざまな体験をしてきました(笑)。すり切れてしまった部分は妻にパッチを貼って修復してもらっています。それでも9年もはき続けていて、クオリティーの良さを実感しています。
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2020年までの
「ギャップ」の目標と計画

2020年までの
「ギャップ」の目標と計画

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