大草直子がデニムを選び続ける理由

「レッドカード歴は業界で一番長いかも」と語るスタイリストの大草直子。第一線で活躍し続けるかたわらで、自身のおしゃれに悩み、惑うこともあったという。「迷いも経験し、今が一番デニムを楽しんでいる」。そう笑う彼女の描く“これからの10年”とは？

PROFILE

大草直子：1972年生まれ。大学卒業後、婦人画報社（現ハースト婦人画報社）に入社。編集のキャリアを積んだ後、独立。数多くの雑誌、カタログを中心にスタイリスト・エディター・ウェブマガジン「mi-mollet」コンセプトディレクターとして活動。「大草直子のSTYLING & IDEA」ほか著書多数。私生活では3人の子を持つ母。

スタイリストとして描く、
次の10年

スタイリストとして、セオリーや自分らしいスタイルに自信を持てたのは35歳ごろ。それから10年が経ち、キャリアだけでなく体形や顔立ちも変わりました。訪れるそうした変化を、できるだけポジティブに楽しみたいと思っています。さまざまな経験を経て、自分を客観的に見ることができるようになった今、やっと等身大で40代から50代のミドルエイジにピタリとはまるスタイリングが提案できるような気がしています。“楽しそうな大人”のおしゃれを、この先の10年をかけて見せていきたいですね。それは決して「ブランドのバッグを持って」というように女性を追い詰めるものではなく、「こんなアプローチもあるんだ」という発見や、年齢を重ねた自分を愛せるようなものとして伝えていけたらと。そんな風に思っています。

着こなしの軸となる
マイコレクション

「レッドカード」に出合ったのは、ブランドがデビューした10年前。初めて足を入れた時のことは今でも鮮明に覚えています。メンズっぽさを感じる本格的なたたずまい。それでいて、はいたそばからなじんでくれる程よいストレッチと美しいシルエット。“拒絶せず、私を認めてくれるような”デニムに出合えたことがうれしかったですね。当時は仕事はもちろんのこと、子育てにも奮闘中。どういう気持ちでおしゃれしていたのか、どこに住んでいたかも覚えていないほど。そんな余裕がない私を救ってくれたのが、「レッドカード」のデニムでした。トップスも靴も選ばず、スタイリングがキマる。子どもとも汚れを気にすることなく遊べますしね。お気に入りはたくさんありますが、中でも「アニバーサリー」シリーズはつかず離れず、ずっと一緒にいるような頼れる1本です。

最旬・セルフスタイリングを披露

「ボーイッシュ」や「マスキュリン」という要素は、もともとデニム自体が持っているもの。だからこそ、デニムのスタイリングには清潔感のある女っぽさを意識しています。年齢を重ねたことで、艶っぽさをてらいなく出せるようになった気がするんです。今回のような、バックコンシャスなボーダートップスもお気に入り。ヒールや、ミュールを合わせてみたり、バッグをチェーンバッグにしてみたり、と女っぽさを足していくバランスが気分です。この10年の中で、女性として仕事人として様々なシーンのおしゃれの課題にぶつかってきました。体形にもうれしくない変化が訪れた数年前には、デニムが急に似合わなくなったように感じて、はくのを休んでいた時期も。こうした経験が糧になり、デニムの新しいはき方をもっと提案できる気がしています。今が一番、デニムと向き合うのが楽しいんです。