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モデル&料理家の自宅キッチンへ! 「バルミューダ」のある暮らし 料理家・渡辺康啓編

2017/09/21

 幼い頃から洋服が大好きで、迷うことなくアパレル業界に就職して「コム デ ギャルソン」で働くも、とある出会いにより、料理家に転向した渡辺康啓。持ち前の美的センスから、おいしく美しい料理を提案し、料理教室主宰をはじめ、雑誌への寄稿、イベント出演など多忙な毎日を送っている。そんな彼が2年前、長年住んだ東京から福岡に拠点を移した。街の中心部からほど近い場所にある自宅兼・キッチンアトリエでキッチンにまつわるあれこれを聞いた。

 

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 「福岡を訪れて3回目で移住を決め、その1年後にはこの家に住み始めました」。築40年のビンテージマンションをリノベーションした物件は、広々としたキッチンにパントリーまでが備え付けられており、まさに料理家のためのような家だ。「キッチンダイニングが一面窓で開放的なのが決め手でした。キッチンは1日で一番長くいる場所だから居心地がいいのが一番です」。そもそもなぜ、縁もゆかりもない福岡を選んだのか。「街を歩いたときに“この街はいい”と思った。それだけです」。その直感は2年住んだ今、確信となっている。

 

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 この日、取材スタッフとの待ち合わせは“博多の台所”と呼ばれる柳橋連合市場。「博多の市場の充実ぶりを見てほしくて」と言う。その言葉通り、例えば東京・築地と比べるなら規模はコンパクトながらも、青果、鮮魚、乾物、蒲鉾、豆腐……と地元の食材をそろえた魅力的な店舗が軒を連ねる。ここで料理教室の食材を購入することも多い。「この焼きあご(トビウオ)、立派だね」「落花生、まとめて買うから3000円でどう?」。店の人と和やかに会話をしながら買い物をする姿は仕事の枠を越えてとても楽しそうだ。「福岡で明太子を買うならここ!」とうれしそうに教えてくれたり(実際、驚くほどおいしかった)、「福岡の人は青魚が大好きなんです」と食文化について話したりしながらも、両手に食材が入った袋がどんどん増えていく。もう、持てないのでは?と思った頃「もう1カ所、おすすめの市場があるので行きましょう」と顔をほころばせた。

 

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 渡辺家の食卓に上る食材はほとんどが九州産だ。「野菜、魚、肉、乳製品までもほとんどが九州産でそろう。福岡は本当に食が豊かな街です」。出汁はあごでとり、青魚を焼き、青唐辛子を酢漬けにする。この街に来て、作る料理は変わったかという質問に「料理のスタイルは変わらないけれど、使う食材はとても増えた」と言う。そして意外な言葉を口にする。「僕の料理はシンプルであるがゆえによく“引き算”と言われるけれど、実は“足し算”。素材に何かを足しておいしくなったらそこで終わり。野菜に塩とオリーブオイルだけでおいしくなれば完成だし、足りないと感じればハーブやフルーツを加える。足し算料理だからこそ、食材の豊かさは重要です」。新しい土地で出合った食材は、レシピのレパートリーを広げたようだ。

 

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 キッチンの印象を一言でいうと「センスがよく無駄がない」。調理道具も食器もシンプルで必要最低限の数だ。「この仕事をしているわりには器の数が少ないね、とは言われます。10年も料理家をしていると、おのずと自分の料理に合うもの、必要なものは分かってくるので」。それでは今、必要なものの基準はなんだろうか?「調理器具であれば使っている自分が想像できるか、器であればシンプルで料理が映えるものか、ですね」と明確な答えだ。例えばレードル。ヴィンテージの「クリストフル」からイタリアの金物屋で2ユーロで購入したものまでとさまざまだ。けれど、共通しているのは「手にしっくりなじんで、盛り付ける姿が美しいこと」。料理は盛り付けだけでなく、作る過程も美しくあるもの。この審美眼があるからこそ、彼の料理は人を魅了するのだろう。

 

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 朝食はトーストで始まる。食パンの中で一番好きだという「ペリカン」のパンを3.5㎝と厚めにスライスして「BALMUDA The Toaster」の中へ。トースターの前でキツネ色に焼き上がるのを「いまかいまか」とのぞき込んでいる姿はまるで子どものようにキュートだ。「焼き上がりのベストなタイミングを逃したくないので(笑)。それに、トースターの中で食材が変化していく様子を見るのが純粋に好きなんです」。焼き上がったパンにはたっぷりの発酵バターと味付け海苔を。シンプルだけど最高においしい朝食の完成だ。

 

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 朝食がトースト派であるのは祖母の影響という。「幼い頃、近所にある『モノクロ』という喫茶店で祖母とモーニングを食べるのが大好きでした」。そこでよく食べたのが、海苔バタートースト。今でも心をつかまれる思い出のメニューだ。

 

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 もともと料理を始めたのは、大好きな洋服を買うために自炊をして節約したかったから。それがいつしか人を呼んで料理を振る舞う腕前になった。「実家が来客の多い家で、いつも大人数で料理を囲んでいました。だから料理はみんなでワイワイ食べるもの、という習慣が根付いていたんです」。ファッション業界で働いていた頃も、焼いたスコーンを配るなど“料理好きの渡辺さん”として有名だった。しかし、とある人の言葉で“料理家の渡辺さん”になった。「お店のお客さんだった方から、還暦のパーティーで料理を作ってほしいと頼まれて。パーティーの日、その方から『渡辺くんは料理の世界に行ったほうがいいんじゃないかな』と言われたんです」。それから10年、その人と食事をするたびに「ほら、渡辺くんはこっちの道が合っていた」と言われるという。「まぁ、事実なんですけどね」と照れたように料理家は笑った。

 

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 料理家になって考えたことがある。なぜ、自分は料理に惹かれたのか。「料理は、はかないじゃないですか。どれだけ時間をかけて作っても食べれば一瞬でなくなってしまう。その瞬間の美しさみたいなものが好きなのかもしれません」。それは料理を彩る器やガラス製品についても言えること。「ガラスは僕にとって特別な存在。世界中で買い求めています。ガラスの食器は透けているから料理の色がとても映える。その美しさに惹かれるとともに、そこに料理を盛るという特別なことに興奮を覚えます。少し、マニアックな思いかもしれませんが(笑)」。

 そう話しながら、先ほど市場で購入した食材を取材スタッフに分けてくれる。「出汁をとるなら焼きあご1尾につき水は1リットルで。青唐辛子は酢漬けにした後、刻んで冷奴にのせたりチャーハンに入れてもおいしいですよ」。楽しそうに話す彼の顔には、料理が大好きという気持ちがあふれていた。

 


 

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photographs:Tadaaki Omori
text:Maiko Nakaya

 

問い合わせ先
バルミューダ
0120-686-717