「アクリス」が“Ai”に込めた哲学、バッグ誕生10周年を迎えて

2020/03/30

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2010年春夏コレクションで発表された「アクリス(AKRIS)」のシグネチャーバッグ“アイ”が、誕生10周年を迎えた。洗練されたぜいたくなミニマリズムという美学に基づき、ブランドロゴを前面に打ち出さないスタンスで、“ディスクリート(主張し過ぎない)ラグジュアリー”と絶賛される「アクリス」のクリエイション。多様性に富み、静かなパワーで着る人の個性を引き出すコレクションは、「ファッションとは、その人に付随するもの。まず女性ありき。何を着るかはその次のことです」と語るクリエイティブ・ディレクター、アルベルト・クリームラー(Albert Kriemler)の信念から生まれている。現代女性のライフスタイルに必要な機能性を持ち、モダンでエレガントな“アイ”バッグに込められたそのブランド哲学を、5つのキーワードでひもとく。

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INSPIRATION
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インスピレーション源となったのは、メキシコ人建築家タチアナ・ビルバオ(Tatiana Bilbao)が2007年に設計した、中国の金華建築芸術公園のパビリオンだ。その巨大な台形の建物を目にしたとき、ブランド名の頭文字の“A”を連想。幾何学的な美しさを備えたミニマルな台形シルエットを、“従来のブランドロゴとは異なるロゴの一種”と解釈し、“アイ”バッグのデザインとして採用した。ちなみに日本語で愛を意味する“アイ”の名称は、日本の競走馬の名前に由来する。
左.台形シルエットが控えめでミニマルなブランドの魅力を体現。ホースヘア素材を使用した“アイ スモールトップハンドル”。42万円 下.着想源となった金華建築芸術公園にあるパビリオン

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インスピレーション源となったのは、メキシコ人建築家タチアナ・ビルバオ(Tatiana Bilbao)が2007年に設計した、中国の金華建築芸術公園のパビリオンだ。その巨大な台形の建物を目にしたとき、ブランド名の頭文字の“A”を連想。幾何学的な美しさを備えたミニマルな台形シルエットを、“従来のブランドロゴとは異なるロゴの一種”と解釈し、“アイ”バッグのデザインとして採用した。ちなみに日本語で愛を意味する“アイ”の名称は、日本の競走馬の名前に由来する。
左.台形シルエットが控えめでミニマルなブランドの魅力を体現。ホースヘア素材を使用した“アイ スモールトップハンドル”。42万円 下.着想源となった金華建築芸術公園にあるパビリオン

Designer’s Comment

Portrait

“ 建築やアートは、
コレクションを作る
情熱の源 ”
アルベルト・クリームラー
「アクリス」
クリエイティブ・ディレクター

プライベートでは展覧会によく足を運び、作品集を見たり、アーティストたちとも実際に会ってたくさん対話をしています。ただ、インスピレーションは“セレンディピティ(すてきな偶然の出合い)”によるものがほとんど。例えば2019-20年秋冬では、クリエイティブスタジオのスタッフがたまたまゲーテの著書『色彩論』を見せてくれたのがきっかけでした。直感によるものが大きいですね。建築やアートへの情熱は、建築家であった叔父の影響です。日々の生活の中で、建築や家具、絵画や彫刻など、“ファッション以外”のものを見るのが大好きなんです。ワクワクしますし、新しいコレクションを作る上でエネルギーを与えてくれます。建築とファッションの共通点を語るなら……「明確な目的がある」という点。建築は人が集って住まい、ファッションは人が着用する、というところですね。
PROFILE:「アクリス」創業者の孫として、1960年スイス・サンガレンに生まれる。80年「アクリス」に入社。87年、弟のピーターとともに、3代目として事業を引き継ぐ

建築やアートの世界に造詣が深いクリームラーのクリエイションは、建築のダイナミックな構造面やアート作品から着想を得たものが多い。2016年春夏シーズンには、日本が誇る建築家、藤本壮介とコラボレートしたコレクションで話題を集めた。ステンレス製の網約250枚を組み合わせ、浮き島を表現した“直島パビリオン”に感銘を受けたクリームラーは、「自然と建築物そのものの関係性を追求する、藤本氏の姿勢に強く感銘を受けました」とコメント。さらに、まるで現代美術のキュレーターのような感性でアート作品をバッグに昇華する手腕も、バッグに唯一無二の個性を与えている。

2016 S/S

2016

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© JIN FUKUDA

藤本壮介が設計した「直島パビリオン」からインスパイアされた“アイ”バッグ。

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2019

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Geta Brătescu: Linia / The Line (detail), 2012
Marker pen and collaged paper on paper
© Geta Brătescu. Courtesy Hauser & Wirth and Marian Ivan Gallery

1960年代からルーマニアのコンテンポラリーアート界の中心的な存在だったジェタ・ブラテスク(Geta Bratescu, 1926-2018)のコラージュ作品「The Line」にインスパイアされた配色使いが特徴。コラボレーションは、アーティスト本人と実際に意見交換しながら進められた。

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小説、叙事詩、詩劇など幅広い分野で重要な作品を残したドイツの文豪、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe, 1749-1832)によるオリジナルのカラーチャートがインスピレーション源。鮮やかな色彩のコロラマ・プリントをホースヘアで表現している。

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Johann Wolfgang von Goethe: Plate no. III from the supplementary
volume of his Farbenlehre (Theory of Colours), 1810
Copper engraving and aquatint, hand-painted
© Goethe-Museum Düsseldorf

小説、叙事詩、詩劇など幅広い分野で重要な作品を残したドイツの文豪、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe, 1749-1832)によるオリジナルのカラーチャートがインスピレーション源。鮮やかな色彩のコロラマ・プリントをホースヘアで表現している。

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SUSTAINABLE HORSEHAIR
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“アイ”のデビューコレクションで採用され、以来シグネチャーマテリアルとなっているホースヘアには、「全ては素材から始まる」と、独自の素材開発に並々ならぬこだわりを持つクリームラーの情熱が反映されている。ホースヘアは熱や摩擦に強くて丈夫。軽量で美しいシルエットを保つことができる上、経年とともに風合いが深まるのが特徴だ。モンゴルで育った遊牧馬の尾の毛を殺生せず採取するので、アニマルフレンドリーでもある。遊牧民の伝統的生活を支えるサステナブルな素材として今、注目を集めている。
上. 馬の尾は生涯で5〜8回しか採取できない希少な素材 左下.ホースヘアを専門に扱う英国のテキスタイル会社で漂白・染色 右下. 熟練のクラフトマンによって1つずつ丁寧に仕上げられる

左. 馬の尾は生涯で5〜8回しか採取できない希少な素材 右上.ホースヘアを専門に扱う英国のテキスタイル会社で漂白・染色 右下. 熟練のクラフトマンによって1つずつ丁寧に仕上げられる

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VERSATILITY
“アイ”の最大の特徴は、両端をフロントへ折り畳むと“A”のシェイプに、中央のクロージャーを外すとトートバッグに、内側で留めると台形シルエットにと、3通りに変化するユニークなデザイン。中にはリバーシブル仕様のものもある。あらゆるスタイルやオケージョンに対応するその多様性あるデザインは、「アクリス」が大切にする哲学の象徴。シンプルなフォルムを引き立てる、最高級素材のバリエーションも魅力だ。

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アーティスト、アントニオ・カルデラーラが描くパステルカラーの色調に着想を得た“アイ ミディアムメッセンジャー”。20万8000円

リバーシブル

リバーシブル

モーヴのチェルボカーフとピンクのソフトカーフを使用したリバーシブル仕様の“アイ スモールショルダー”。17万5000円

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WOMEN EMPOWERMENT
「目的を持ち自立した女性のためのブランド」というスローガンを掲げる「アクリス」。素材の特性を生かしたシンプルなデザインと、機能性を兼ね備えたハイクオリティーな“アイ”は、世界の第一線で活躍する知的な女性たちの定番バッグとして、デビュー以来、高い支持を得ている。主張し過ぎないのに存在感があり、持つだけで自信と安心感を与えてくれる“アイ”は、女性たちの心強い相棒だ。

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NEW COLLECTION
“アイ”誕生10周年を記念したニューモデル“アイコン”バッグが、2020年春夏にデビュー。3通りにアレンジできる機能性はそのままに、トートスタイルでもアイコニックなAシェイプがトロンプルイユで浮かび上がる遊び心満点のデザインだ。価格は20万8000円。

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“アイ”誕生10周年を記念したニューモデル“アイコン”バッグが、2020年春夏にデビュー。3通りにアレンジできる機能性はそのままに、トートスタイルでもアイコニックなAシェイプがトロンプルイユで浮かび上がる遊び心満点のデザインだ。価格は20万8000円。

TEXT : MAKIKO AWATA
問い合わせ先
アクリスジャパン
0120 -801-922