Fashion. Beauty. Business.

TOPICS

驚きの「ザラ」創業50周年

「ザラ」、創業50周年だそうです。驚き、ですよね?

「H&M」が停滞、「ギャップ」はようやく低迷から復調の兆しを見せる中、「ザラ」の強さが際立ちます。背後からは「ユニクロ」が追いかけてはくるものの、このスゴいコラボはもちろん、スマホ起点のECから、パリではラムダン・トゥアミとカフェを作っちゃうリアル店舗まで、そして、だんだん値段勝負ではなくなってきた商品まで、「スゴいな」と思うことがしばしばです。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

「ザラ」創業50周年 ナオミ・キャンベルら50人の豪華モデルをスティーブン・マイゼルが撮影

「ザラ(ZARA)」は、創業50周年記念プロジェクト「50 Years, 50 Icons」を開始、写真家のスティーブン・マイゼル(Steven Meisel)が50人のトップモデルを撮影、イメージを手掛けた。

ナオミ・キャンベルやツイッギーら
50人のトップモデルが集結

イメージは、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)や、リンダ・エヴァンジェリスタ(Linda Evangelista)、シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)、クリスティ・ターリ ントン(Christy Turlington)、ツイッギー(Twiggy)ら50人のモデルが一堂に会し、マイゼルの演出のもと撮影。それぞれ「ザラ」の新たなアイテムを着用した。スタイリングをカール・テンプラー(Karl Templer)が、メイクアップをパット・マクグラス(Pat McGrath)、ヘアをグイド・パラウ(Guido Palau)、アートディレクションをジェイソン・ドゥザンスキー(Jason Duzansky)、キャスティングをピエルジョルジオ・デル・モロ (Piergiorgio Del Moro)が担当した。イメージ内で着用のコレクションは、「ザラ」銀座店および公式オンラインで販売している。

マルタ・オルテガ・ペレス(Marta Ortega Perez)=インディテックス社会長は、「クリエイティビティーこそが『ザラ』の核であり、私たちの心臓部のようなものだ。スティーブン・マイゼルによるこの素晴らしいフィルムは、創造の自由を体現し、私たちが常に届けたいと願っている魔法そのものだ。この作品には、世界を代表する50人のモデルが出演している。その美しさはもちろんのこと、それぞれの個性、強さ、そして人間としての魅力を称える存在として登場し、『ザラ』の50周年を彼らと共に祝えることを誇りに思う。このキャンペーンは、『ザラ』チームがこの50年間で築き上げてきたすべてへの賛歌であり、彼らの情熱、才能、そして無限のクリエイティビティを讃えるものだ」と語っている。

「ザラ」は、アマンシオ・オルテガ(Amancio Ortega)が1975年に1号店をスペイン・コルーニャにオープン。2025年現在は、98の地域に実店舗を、また214のオンラインマーケットを展開する。

トップページに戻る
NEWS 02

「中国不況」「トランプリスク」 バロック村井社長が考える難局打破の“非常識力”

バロックジャパンリミテッドが中国ビジネスの再構築に動いている。現地の不動産不況と景気低迷が続く中、ビジネスパートナーであるベル・インターナショナルに連結子会社2社の全株式を譲渡し、直営ビジネスから手を引く。これまで成長ドライバーだった中国ビジネスのスキームを転換する決断は重かったはずだが、村井博之社長の表情に悲観の色は見えない。中国ビジネスの再設計と今後の戦略について聞いた。

WWD :中国事業を、これまでの直営型からロイヤリティー+卸型へ移行する。この判断に至った背景は。

村井博之バロックジャパンリミテッド社長(以下、村井):まず最初に伝えておきたいのは、「中国から撤退するわけではない」ということ。あくまでビジネススキームを変更しただけで、現地での事業運営自体は何も変わっていない。

これまではベル・インターナショナルとの合弁会社を通じて直営店舗を展開していたが、今後はベルグループによる一括直営方式に切り替える。ベルに株式の持ち分を譲渡することで我々は資本リスクを外す一方、商品開発や監修、ブランディングにはこれまで通り関与し続ける。ビジネススキームをシンプルにし、より効率的に中国市場に携わっていく。

WWD:店舗スタッフなど、現場の運営体制に変化は?

村井:全く変わらない。現場のオペレーションにも支障はない。スタッフやエリアマネージャー、事業部長といった中核メンバーは、バロックが独資で展開していた頃から採用し、一緒に戦ってきた人材たちだ。資本的には手を引いたが、事業的にはむしろ継続性が強化されたと考えている。中国ビジネスはここ数年、コロナや景気後退の影響で赤字が続いていた。将来的にさらに悪化した際の備えとしてリスクをあらかじめヘッジした。

WWD:ビジネススキームの変更により、バロックの利益は減るのか。

村井:むしろ逆だ。以前は中国での利益が厚かったが、ここ数年は赤字が続き、持分法損失が発生していた。今回のスキーム変更により、持分法損失のリスクを回避しつつ、売上高に応じたロイヤリティー収入を得ることができるようになる。

WWD:ベル主導で強化していくポイントは。

村井:EC販売は、ノウハウの厚いベルグループに期待できるだろう。我々も意見はさせてもらうが、基本的には(ベルに)任せる。

トランプ影響は「メリットが大きい」

WWD:グローバルで、今後の成長ドライバーになる地域は?

村井:北米だ。中国と比較すれば規模は大きくないが、比較的ビジネスは安定している。米国では「マウジー ビンテージ(MOUSSY VINTAGE)」の日本製高級デニムが好評だ。ただ、為替の影響が大きかった。円安が進んだことで国内の生産ラインが他ブランドに占有され、供給が追いつかない事態もあった。しかし最近は円高に転じて追い風が吹きつつある。

現地のチームを仕切っているのは、もともと当社にいた社員。コロンビア大学のMBAを取得した後、米国のアパレル企業に就職し、永住権を取得した女性だ。マーケティングやセールスも、純粋な米国人メンバーが担っている。米国市場で勝負するためには、彼らの嗜好や文化を理解した人材が動かすのが一番。日本からの過干渉を避け、現地のメンバーに任せられる体制を作りたい。

WWD :ドナルド・トランプ大統領の再登板によるリスクはどう見ている?

村井:それほど大きな懸念はない。1985年、私が当時キヤノンのサラリーマンだった頃、レーガン政権がやったのとまったく同じ手法だった。強いアメリカを掲げて輸入品に関税をかけ、円高に誘導する。スーパー301条(アメリカの通商法の一部で、他国の不公正な貿易慣行に対して、報復的な貿易制裁を発動できる権限をアメリカ政府に与える規定)でキヤノンも大打撃を受けた。

今回も同様のシナリオになる可能性は高い。ただ、われわれアパレルにとってはメリットが大きい。ここ数年、原材料費の高騰に苦しんできたが、円高によってそれが緩和される可能性がある。ドル通貨圏からのインバウンドには多少のマイナス影響が出るだろうが、トータルで見ればプラスになると見ている。

大人向け新ブランドを始動

WWD:国内市場について。「マウジ(MOUSSY)」「スライ(SLY)」といったヤングカジュアルに強いブランドポートフォリオを、今後どう拡げていくのか。

村井:今年度中に、大人世代(40〜50代)をターゲットにした新ブランドを立ち上げる予定だ。この世代には、かつて「マウジー」を愛用していた人も多い。今はお子さんの学費負担も終わり、自分のためにお金を使えるようになった層が増えている。

WWD:この春で休止した「ブラックバイマウジー(BLACK BY MOUSSY)」の延長線上にある?

村井:完全にそうというわけではないが、「ブラックバイマウジー」を好きだった方々にも響く要素は取り入れる。特にジーンズのカッティングやシルエットにはこだわる。マウジーを立ち上げ期から愛してくれていた世代にもう一度、自分の服と感じてもらえるような商品を作っていく。

WWD:“バロックらしさ”に立ち返ると。

村井:それさえできれば、既存ブランドもまだまだ伸び代を作れる。私たちは、“非常識”を受け入れる度量を持たなければならない。「アズールバイマウジー(AZUL BY MOUSSY)」を立ち上げた当初は、商品がろくに見えないような暗い店内で、エッジーなデザインの服を並べるという、普通なら「あり得ない」と思われるようなことでファンを夢中にさせた。

これは自戒を込めて言うことでもあるが、今はどのリアルクローズブランドも、分析やデータに頼ってばかり。結果、ショッピングセンターやファッションビルはどこも似た店構えで、似た商品ばかり並ぶようになった。私たちもそこに迎合していたのでは、ビジネスをしている意味がない。創業時の「自分たちが着たい服を、自分たちで作る」という原点をもう一度見つめ直す。

WWD:長期的な展望は。

村井:次世代を担う人たちに残していく会社を作るため、「100年企業とは何か」を考えるようになった。短期的に収益を上げろと言われれば、それはある意味簡単だ。儲かるブランドだけ残し、他は畳めばいいだけなのだから。ただ、それでは持続可能な企業にはならない。

一見無駄に見えるブランドやプロジェクトが、いつか花開くことがある。そこから、時代を変えるような商品やサービスが生まれる。すべてを合理化してしまえば、そういった“奇跡”は起きない。今の決算は「お見苦しい」部分があることは自覚している。ただ経営者として、次世代を担う人材とともに、この局面をどう乗り越えていくかを考えたい。

トップページに戻る
2009386"]

最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。