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PVH、株価急落も改革は着実
PVH、株価急落とのことですが、改革は着実に進んでいる印象があります。先行しているのは、「カルバン・クライン」。若い世代にも“頑張れば買える”価格帯のモードなスタイルに原点回帰し、デザインの中枢はNYに移転。商品は、シーズンを追うごとにレベルアップしています。一方の「トミー ヒルフィガー」は、同じようなプライスレンジで、プレッピーなスタイルを打ち出すことでしょう。
そして、共にジーンズラインが若い世代の支持を集めています。課題は、共にトップラインの販路の再構築。日本の店舗網も変わってきそうです。
「カルバン・クライン」親会社のPVH、24年の減収見込みで株価急落 23年は2%増収
「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」などを擁するPVHコープ(PVH CORP以下、PVH)の2024年1月期決算は、売上高が前期比2.1%増の92億1770万ドル(約1兆3918億円)、EBIT(利払前・税引前損益)は同97.3%増の9億2880万ドル(約1402億円)、純利益は3倍以上(同231.1%増)の6億6360万ドル(約1002億円)だった。なお、EBITには為替差益の1100万ドル(約16億円)が含まれている。
主にコスト削減やサプライチェーンの合理化、在庫率の改善などにより利益は増大したものの、地政学上の先行き不透明感やマクロ経済の悪化によって欧州市場が減速し、売り上げは微増にとどまった。ブランド別に見ると、「トミー ヒルフィガー」の売上高は同3.6%増の48億2460万ドル(約7285億円)、「カルバン・クライン」は同3.5%増の39億1450万ドル(約5910億円)だった。
同社は、売上高のおよそ90%を占めるこの2ブランドに注力するべく、21年7月に「ヴァン ヒューゼン(VAN HEUSEN)」「アイゾッド(IZOD)」「ジェフリー ビーン(GEOFFREY BEENE)」「アロー(ARROW)」の知的財産権やその他の資産をブランドマネジメント会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP)に2億2000万ドル(約332億円)で売却し、ヘリテージブランド事業を終了。23年11月には、傘下のアンダーウエアブランド「ワーナーズ(WARNER'S)」「オルガ(OLGA)」「トゥルー&コー(TRUE & CO.)」を、アパレルの開発やOEM(相手先ブランドの生産)を行うベーシック・リソーシズ(BASIC RESOURCES)に1億6000万ドル(約241億円)で売却している。
ステファン・ラーソン(Stefan Larsson)PVH最高経営責任者(CEO)は当時、これを「主力2ブランドを、世界で最も好まれるライフスタイルブランドに育て上げることを軸とした中期的な事業戦略“PVH+ プラン(PVH+ Plan)”の一環」と説明。今回の決算説明会においても、「レガシーブランドを買収する企業から、リーディングブランドを育成する企業への進化だ」と語った。このため、当面は新たなブランドを買収する予定はないという。
同社はまた、24年2~4月期(第1四半期)の売上高が前年同期比11%減、通期では前期比6~7%減となる見通しを発表。これを受け、同社の株価は前日比22.2%安の108.68ドル(約1万6410円)と大幅に下落し、時価総額18億ドル(約2718億円)が消失した。同社の取締役会は市場のこうした反応に備え、自社株買いプログラムに20億ドル(約3020億円)の追加を承認していたが、現時点で株価は戻っておらず、106ドル(約1万6000円)台で推移している。
「フィービー ファイロ」、米百貨店で4月11日から期間限定で販売 実店舗での取り扱いは初
「フィービー ファイロ(PHOEBE PHILO)」は、ファーストおよびセカンドコレクションを、米高級百貨店バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)で4月11日から期間限定で発売する。ウエアやバッグ、アクセサリーを100アイテム以上そろえる。売り切れ次第、販売終了の予定。
同ブランドは、2008年から17年12月まで「セリーヌ(CELINE)」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたフィービー・ファイロによるもので、23年10月27日にファーストコレクションを披露して以来、公式サイトのみで販売を行ってきた。実店舗での取り扱いは今回が初めてとなる。バーグドルフ・グッドマンは、ニューヨーク5番街にある旗艦店の4階にインストアを設け、“エクスクルーシブな体験”を提供するという。商品の入荷は4月と5月の2回で、同百貨店のオンラインストアでは販売しない。なお、将来的にほかの百貨店やECでも取り扱いを開始するのかなどについては、明らかになっていない。
バーグドルフ・グッドマンのユミ・シン(Yumi Shin)=チーフ・マーチャンダイジング・オフィサーは、「フィービーは、ファッション史上で最も先見の明があるデザイナーの一人。彼女の妥協のない、タイムレスでラグジュアリーなコレクションを、当百貨店が提供できることを光栄に思う」とコメントした。
「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。